病気や老化に関して、抗酸化物質は役に立つとされ、サプリメントとしても様々な種類が販売されています。しかし、カンサス州立大学の最近の研究では、抗酸化物質が我々の体に害をなす可能性が示されました。

・Antioxidants aren't always good for you and can impair muscle function, study shows

 彼らは、筋肉の血流コントロールとその際における抗酸化物質の果たす役割についての動物実験の過程で、「過酸化水素のような一部の酸化物質(oxidants)が血流増加を促す」という結果を得ました。

 これはつまり、過剰な抗酸化物質が正常な筋肉の機能(骨格筋だけでなく心筋も)を阻害するかも知れない、ということなのです。
 

 実際に、生体内における抗酸化物質と酸化物質の前駆体とのバランスは非常にデリケートなのです。

 酸化物質は、免疫機能の一部でウイルスを駆除する時に使われることはよく知られていますが、それ以外にも血流増加や筋肉機能にも関与していると示された今回の結果は、もちろん今後の更なる追試が必要であるのは言うまでもありません。
 しかし、無批判に「抗酸化物質は体に良いものだ」と考えて多量に摂取することは、控えた方が良いでしょう。
 

 拙ブログではこれまで、マルチビタミンなどの抗酸化サプリメントに関して、いくつか問題提起をしてきました。今回の記事と併せてご参照いただければ、幸いです。

・抗酸化サプリの功罪
・マルチビタミンと死亡率
・ビタミンサプリは、多大なるお金の無駄?
・抗酸化物質は我々を糖尿病に罹りやすくする、かも知れない?
・高容量ビタミン・ミネラルサプリはがんに効く証拠はない、それどころか・・・