ハーバライフ社製のサプリメントを摂取していた63歳の女性における、サプリメントとの因果関係が疑われる急性肝障害に関する症例報告論文が出ました。

・Toxic hepatitis by consumption Herbalife products a case report

 それに関して、独立行政法人 国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報にも、本日付け(2009/12/09)で情報がアップされました。

・サプリメントとの因果関係が疑われる1例の急性肝障害(症例報告)


 ハーバライフ社製のサプリメントに関しては、過去にも肝毒性に関して注意喚起が行われています。

・フィンランド食品安全局(EVIRA)がハーバライフ社製品との因果関係が疑われる肝毒性を調査

 
 サプリメントによる健康被害は、ハーバライフ社製のサプリメントに限られたことではなく、程度の差こそあれ、ほぼ全てのサプリメントに関して、その可能性があると考えた方が良いでしょう。
 もちろんそれは、原材料が天然素材である/なしには関係ありません

 医薬品と異なり、サプリメントの場合はこうした健康被害があっても、体系付けたデータが上がってくることは少なく、よって副作用情報も乏しいものになります。副作用情報が乏しいから安全ではなく、副作用情報が体系付けて管理されていない分、医薬品よりも危険とすら考えられるのです


「医薬品は副作用が怖いから、サプリメントを飲んでいる」などというのは、非科学的であるのはもちろん、そうした形でサプリメントを盲信するのは命に関わる危険があると言っても過言ではないのです


 どのようなサプリメントにも、健康被害をもたらす副作用の可能性があるのです
 ですから、サプリメントを使用していて体調不良を感じたり、何らかの不快な症状が出た場合は、絶対にサプリメントを盲信したりせずに即座にサプリメントの摂取を中止し、必要に応じて医師の診断を受けるべきなのです。


 上掲のハーバライフ社は、アメリカでMulti Level Marketing(MLM)と言われる販売方式で製品を販売しています。それは、日本においては特定商取引に関する法律(特商法)で規制される連鎖販売取引に当たるものです。
 連鎖販売取引とは、一般にマルチ商法とかネットワークビジネスと呼ばれているものです。

 この商法は、何の専門知識もない消費者が販売者となり、販売組織を構築することができるものです。そのため、先に申し上げた「サプリメントに対する盲信」や「非科学的な思考」が、全く無批判にまかり通ってしまいます
 どのようなサプリメントでも健康被害が起こる可能性があるとはいえ、マルチ商法のこうした特性が、他の流通形態のサプリメントよりも健康被害を生じやすい土台を造っていたとしても、何ら不思議はありません。


 上でリンクした「フィンランド食品安全局(EVIRA)がハーバライフ社製品との因果関係が疑われる肝毒性を調査」のページに記載されている「食品サプリメントの安全な使用のための助言」を以下に転載します。
 サプリメントを使用する上で、大変に重要な項目です。よろしくご参照下さい。

食品サプリメントの安全な使用のための助言
・ 包装に記載されている使用方法に従うこと。
・ 短期のみの使用とする。
・ ビタミン、ミネラル、及び脂肪酸以外の成分を含むサプリメントについては一般に長期摂取の影響は知られていない。
・ ナチュラル製品あるいは天然由来製品は、安全な製品と同義語ではない。
・ 複数のサプリメントの同時使用は避ける。
・ 医師には必ず使用していることを伝える。
・ 子どもに使えるか確認する。子どもに与える場合は専門家に確認してから使用する。
・ 有害な影響は報告する。
・ 知らないところからサプリメントを購入しない。