特区選定が大詰め 愛知は”ばかげた理由”で落選危機 | 山本洋一ブログ とことん正論

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元日経新聞記者が政治、経済問題の裏側を解説!

地域を限って規制緩和や税制優遇を認める「国家戦略特区」の地域選定が大詰めを迎えています。政府は30日に特区の選定方針を決定、3月に第一段の地域を決める予定です。愛知県も周辺自治体とともに特区構想を提案していますが、ある理由で落選危機に陥っています。


 特区は大都市で23か所、地方は複数の離れた地域をまとめて一つの「バーチャル特区」として指定する方向です。大都市で有力視されているのは東京を中心とする首都圏、大阪を中心とする関西圏、そして沖縄県です。


 モノづくり産業強靭化スーパー特区などを提案している愛知県は当初、有力視する声もありましたが、落選危機だいいます。その理由は実にばかげたものです。「大村、河村に気を使う必要はないから」(中央官僚)だというのです。


 大村とは大村秀章愛知県知事、河村とは河村たかし名古屋市長のこと。いずれも議会では与党である自民党と対立しており、最大野党の民主党や第二野党の日本維新の会とも近くありません。そのため、自公政権がわざわざ「貸しを作る」必要がないというのです。


 有力視されている東京は誰が知事選の最中ですが、国民の1割以上が暮らす首都であり、最も特区の効果を見込むことができます。大阪は知事、市長が日本維新の会の代表、幹事長を務めており、安倍政権が国政の課題を前に進めるために連携を模索している相手です。


 沖縄県は米軍普天間基地移設問題で揺れています。地元自治体や住民の理解を得るためにも優先的に特区指定し、地域経済の活性化をアピールしたいという狙いがあります。


 30日に決定する選定方針など形だけであり、実際にはそのようなばかげた理由で選んでいるのです。同様のことは新幹線など公共工事の選定などでも見受けられます。そしてそれが政治の「利益誘導」につながっています。


 例えば北海道と九州が「新幹線」の建設を求めた場合、有力政治家がいる方が優先される可能性があるのです。役人にとっては効果が大差なければ「どちらでもいい」のです。それならば有力政治家に配慮することで「貸し」を作った方が得策だと考えるからです。


 そうして出来上がったのが現在のいびつな国家、日本です。過ちを繰り返すべきではありません。特区も公共事業も公正に効果だけを基準に選ばなければなりません。愛知の逆転勝利に期待します。