山本洋一ブログ とことん正論

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元日経新聞記者が政治、経済問題の裏側を解説!

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 平成に次ぐ新元号が“令和”に決まった。内容自体の評価は専門家に譲るとして、今回の選定過程で非常に気になったことがある。政府による過剰なほどの情報漏洩対策だ。

 

 報道をまとめると、安倍晋三首相が3月1日に数人の専門家に新元号候補の考案を委嘱(依頼)。集まった案の中から菅義偉官房長官が書きやすさや読みやすさなどの観点から整理し、4月日の朝に内閣法制局長官の意見を踏まえて6個に絞り込んだ。そこから立て続けに有識者懇談会、衆参両院正副議長からの意見聴取、閣僚会議を開催して令和を選定。最後に閣議で正式決定したという。

 

 「平成」を選んだ前回の改元は昭和天皇の崩御に伴うもので、急場の作業となったのはやむを得ない。しかし、今回は憲政史上初の生前退位に伴う改元。十分な準備期間があったはずなのに、なぜ、わざわざ4月1日の朝に会議を詰め込んで決めたのか。それは新元号がマスコミに漏れ、報道されるのを菅官房長官が極度に恐れたからだ。

 

 有識者懇談会では出席者がトイレに行くのにも政府職員が付き添い、衆参両院議長から意見聴取する際にも「携帯電話を預かる」と伝えて赤松広隆衆院副議長を怒らせたという。さらには官邸内では携帯が通じにくくなり、妨害電波が流されたとの疑いまである。すべては菅官房長官が発表するその瞬間まで、外部に新元号が漏れないようにするためである。

 

 恐らく報道各社の政治記者は連日連夜、取材合戦に明け暮れただろうが、結果的には菅官房長官の大勝利となった。当日の朝刊はおろか、ネットやテレビでも発表前の「特報」はなかった。菅官房長官の誤算といえば額を持った際に少し傾いてしまい、字体の一部が見えてしまったことくらいだろう。

 

 だが、新元号を漏らさないことがそれほど大事なことなのだろうか。最も大事なのは、この国の歴史に紐づき、国民に愛され、今、そしてこれからの時代を象徴する元号を選ぶことではないだろうか。

 

 令和にケチをつけるつもりはないし、緊急世論調査でも多くの国民が支持しているとの結果が出ている。しかし、最終候補に残った「英弘」「久化」「広至」「万和」「万保」はいずれもピンとこない。有識者会議等で令和が最も支持されたのはもっともだろうが、もっとじっくり検討したら、もっといい案が出た可能性もあるのではないかと考えてしまう。

 

 新元号選定という非常に大切な儀式を、まるでマスコミ相手のゲームのように扱う。そのあたりにも長期政権のおごりがみてとれるのは私だけだろうか。