昨日の朝刊の特集記事より
大切なメッセージを抜粋、シェアします☆

おせっかい直言 Vo.58

『利他の心で創意工夫』



読売新聞 新春特集 2015/01/04

[語る 戦後70年]

~強い思いと努力で復興~ 

 京セラ名誉会長 稲盛和夫さん(82)

 終戦当時、焼け野原の中で、貧しい人たちがひしめきあい、生きていかなければならなかった。逆境から抜け出したい、もっと豊かになりたいという強い思いがあった。
 1959年、私が27歳で京都セラミツク(現京セラ)を創業した当時、この会社を京都一にしよう、さらに日本一、世界一にしようと、強い願望を持って始めた。絶縁材料の研究開発という狭い分野。持っている技術はたいしたものではなかったが、誰にも負けないほど努力した。
 強い思いがあり、昼も夜もなく努力する。期せずして、日本が復興していった要因と全く同じだった。

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 日本人はもともと器用で、木工製品、金属製品、陶器など世界でも巧みな技を持っていた。ものづくりの立派な資質と、なんとか国を伸ばしたいという思い、それを実現するための努力が重なり、大きな発展を遂げていった。そしてGNP世界2位の経済大国になった。

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 日本人特有の勤勉さや、努力、丁寧なものづくりという資質はすたれていない。慈愛に満ちた思いやりの心は、一番の宝だ。東日本大震災時にも略奪などが起こらなかった。人の困っているところにつけ込んで、自分が得をしようとは思わない。経済が強い、軍事力が強いということよりも、そうした美徳という点で世界が尊敬してくれる。

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 世界市場では新興国が台頭し、国内では少子高齢化が進む。安住していては駄目になってしまう。「みんなでがんばろうやないか」。国民全体から声が上がることを期待したい。

 


「利他の心」で創意工夫

 日本人が持っているおもてなしの精神を、サービス産業ではもっと発揮すべきだ。作られた笑顔ではなく、心からのおもてなしの気持ち。お客様が思っていることを気持ちよくしてあげることが一番大事になる。

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経営が厳しい地方の中小企業でも、創意工夫がカギになる。現在のビジネスをこのまま続けていて良いのか。通りいっぺんのやり方で、なかなか利益が出ないと嘆いていてもうまくいかない。どうやったら利益が出るか、考えて工夫しないといけない。

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 自らの利益をただ追求するのではなく、自分以外の周囲の人たちが豊かになるように考える「利他の心」が大事だと思う。今も、中堅・中小企業の経営を助ける活動をボランティアでしているが、利他をベースに経営している会社は非常に順調にいっている。

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 世界で貧富の格差が問題になっている。ますます、思いやりや礼儀正しさといった日本人が持つ良さが称賛される時代が来ると思っている。