㈱いろどり 横石知二さん

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12チャネル・カンブリア宮殿(7月29日)、作家の村上龍が司会してる番組ですが、そこに横石さんが登場してました。


私は03年に横石さんと会ったことがあります。このときソフト化経済センターのソフト化賞受賞式に出席するために上京し、会場の投票でソフト化大賞に選ばれましたが、このときじっくりと話しました。


まだマスコミには売れていないときでしたが、葉っぱを売り地域の高齢者の生きがいをつくる事業について情熱的に語っていたのが印象的でした。


以後、地域おこしの成功例、社会起業の成功モデルとして売れ始め、今や売れっ子で、㈱いろどりのホームページを見ますと横石さんの講演申し込みはここ、講演代は20万円と書いてあります。


テレビで久しぶりに見た横石さんは自信にあふれており以前とは違ってましたが、こんなことを言ってました。


「まちおこしに成功するには、住んでる人が朝起きたとき何をやるか考えるようにならないといけない」


毎朝、㈱いろどりの事務所に、(青果)市場から電話が入り葉っぱの注文が入ります。会社はそれを一覧表にして約200件の農家にファックスで送ります。


農家の高齢なおばさんはこのファックスを見て、今日はどの葉を摘もうかと考え、前日の市況などを考えて受注品目を決めて電話で注文を取ります。


その後、山に入り受注した葉っぱを摘み、洗ってきれいにして包装し農協の集荷場に運んで仕事は終わります。


80才代のおばあさんは、毎朝頭を使って受注を決めることが仕事ですが、横石さんはこうならなくてはというのです。


村上龍は、いろどりの最大の教訓はこれだ、やることがなくなったときが危ない、若者だってやることがなくなると通り魔になったりするんだとコメントしてました。


「共同作業はだめ、個人が競わなくては」


横石さんは、まちおこしは共同作業では成功しない、個人が競うようになっていなくてはというのです。


この10年、まちおこしに税金を使って新しいことを始めても続かず失敗したのは、個人間で競う仕組みがなかったからだというのです。


これは卓見です。


「800才代のおばあさんでもパソコンを使うのは、知りたい情報があるからだ」


㈱いろどりに参加しているおばあさんがパソコンを使っているのが話題です。テレビの画面でもおばあさんがパソコンを使っているのを視察団が見ている画面がありましたが、珍しいので話題になります。


おばあさんは一日の終わりにパソコンを開き、その日自分が出荷した分の価格をパソコンで確認します。テレビでは27,000円という数字が出てました。さらに、その額が200人ぐらいの仲間の中で何位だったかを確認します。画面では9位でした。これが競争心です。さらに、市場情報、葉っぱは市場でいくらの値段がついてるのかを見ます。こうして明日の受注作戦を立てます。


パソコンを使ってるといってもマウス操作だけで、メールをやっているわけではない、インターネットを駆使しで情報を集めるのでもない、画面を閲覧してるだけですが、これだけでも役立ってます。


「昼間から集まって酒を飲んでいた、補助金を取って来い」


横石さんが上勝町の農協に来たとき、農民は昼間から酒を飲んで雑談しており、横石さんに補助金を取って来いと言ったそうです。


横石さんによると、今でも農村にその雰囲気はあるそうですが、そんな依存した生活ではだめだといろどりのビジネスモデルを考えたのです。


あきれた話ですが、こうなってしまってはなかなか治らない、これが地域が疲弊して立ち直れない理由で、天罰です。


「地域の独自性を発見し、それを育てて事業にすることはいくらでも見えてくる」


横石さんは有名人になり全国から呼ばれますが、そのときこう思うそうです。


斬新な着眼点で地域を見れば独自性、競争力のもとは見えてくる、それでビジネスモデルをデザインし、やればいいんだとはそのとおりです。


㈱いろどりには全国からたくさんの人が視察にきますが、学ぶことはこれでしょう。都会のコンサルタントに考えてもらうのでなく、住んでる人が自分で考えることが必要です。


テレビでは横石さんが視察団を案内している画面がありました。遠くにある丘陵地の畑を指し、「これがコンビニの棚なんですよ」と言っている画面がありました。


横石さんは、いろどりはコンビニのシステムを真似したと話してますが、数百種の葉っぱを情報処理システムを使ってうまく処理してることを言ってます。


コンビニ説は最初からあったわけでなく、見学にきた誰かが言ったセリフを使っていると想像しましたが、そう言われるだけでたいしたものです。


いろどりの不思議は、葉っぱなんて全国どこにもあるのに何で他の地域に広がらないんだろうです。


横石さんの説明は、上勝町の畑が丘陵地にあるので葉っぱの種類が多い、標高差があり葉っぱの季節が長いんだといいますが、それでも似た立地は全国いたるところにあります。


㈱いろどりの強さは、葉っぱを売ると誰も考えなかったことを事業にしたことで、その仕組みができており、独創的にやった分、ブランドを早く確立し、既にたくさんの固定顧客を持っていることです。


葉っぱビジネスなんて市場は小さく、多くの企業が参入できる市場ではない、そこでトップブランドを築いたものの勝ちで、第一勝者だけに収益逓増原理が働き圧勝します。


これはソフトビジネスの特色で、横石さんがつくったのは独創的なソフトビジネスです。クリエイティブ・ビジネスといってもいいですね。


真似るのは葉っぱでなくこの仕組みづくりで、これは社会起業です。

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毎日新聞(7.27)のコラムに、二神能基さん(NPOニュースタート事務局 代表、NPOのHPには、学校ではない学びの場、会社ではない働きの場、活動を通して、そこで出会う人との繋がりをつくり、様々な仕事を体験し、再出発を目指しますと書いてある)がニート問題について書いているが、その見出しがこれである。


二神さんはインターネットで調べると、早稲田大学卒業後学習塾経営をやってきた教育の専門家で、16年若者の自立支援活動をやり、1000人を支援し700人を就労させたそうだ。


これだけの経験を通し、二神さんにはニート問題はどう見えたのか。


若年労働力不足の時代になり、就労は容易になってきたが、「就労しても次の人生の希望が見えてこない」のが問題で、ニート問題の解決には就労させるだけではだめで、仲間をつくり、社会に役立っていることを自覚させ、自分の未来が見えるようにさせることが必要だと説いている。


コラムでは、
・正社員は隷属的な長時間労働、フリーターはワーキングプアー
・社会への消極的参加、社会への不参加、「さらば成長」の静かな哲学的ストライキ
・いつまでも経済成長の窮屈な時代をやっと卒業できそう
だといい、そこでこのNPOでは、甲府で遊休農地を借りて若者自立塾をニュースタートする。


就労だけでは自分の人生の未来が見えないはその通りだが、仲間をつくり、社会に役立ってることを実感させること自体難事だが、それができれば未来に自信ができるのかどうか、このあたりは疑問。


経済成長をやめてもニート問題は解決しない。ニートの大部分に反社会的な心が育っているのでもないだろう。


ニートになってしまった要因は、例えば10才代のとき教育機会を失してしまった、子供のときに発達障害、学習障害があり十分教育を受けられなかった、会社に入ったが思っている仕事と違い、やめて学びなおしたり自分に合った仕事を探す過渡期など、さまざまである。


ニート対策は要因によって異なる。英米で社会起業家がやる定番は専門力を習得させることで、日本の専門学校のような教育を受けさせて被雇用力を増す作戦である。


工場労働者なら職人レベルへ引き上げるような訓練、ITならプログラムを書く技術、Webデザインのような技術でもいい。高卒で終わるのでなく、カレッジでコンピューター、デザイン、看護、介護などの専門知識を学ぶようなコースをつくるような事業である。


当たり前のやり方であるが、こうしたことは公教育ではできないので社会起業家の仕事になる。


この辺のことが日本ではまだそう思われていないのは、まだ社会起業が十分に発達してないためで、社会起業によって解決できることだと思っている。

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サッカーを見るのが好きなので、ときどきネットのサッカー雑誌を読んでますが、G大阪が休園中の「エキスポランド」(大阪吹田市)敷地に新スタジアムを建設する記事が出てました。


建設費は130億~150億円、昔なら公共投資で建設できましたがもうそれができません。


そこでスG大阪はポンサー企業や市民から募金を募る方法を考えているようで、エキスポランドを所有する独立行政法人「日本万国博覧会記念機構」に建設の意向を伝え、また吹田市も機構側と府に新スタジアム建設の要望書を提出したそうです。


02年のワールドカップのときには公共投資でぜいたくなスタジアムができました。ここをホームにしてるのは浦和、鹿島、横浜、F東京、神戸、名古屋などのチームがありますが、ワールドカップのときにどういうわけか大阪にはスタジアムができませんでした。


そのためにG大阪は陸上競技場と共用になっている万博記念競技場をホームスタジアムにしてますが、収容人数2万1000人と少ないので同じ公園内の空いた敷地に3万5000人収容でき、しかも国際サッカー連盟(FIFA)の国際基準に合うスタジアム、例えばTV放映用に照度が1500ルックス以上、屋根つき、のスタジアムを建設するのです。


G大阪はJリーグのトップチームなのでこのぐらいのスタジアムでも贅沢ということはありませんが、もう公共投資というわけにはいきません。そこで民間資金により建設し、しかも毎年の収支が黒字になるようなものにすることが必要です。


民間資金でスタジアムを建設して成功した例はイギリスにもアメリカにもあり、どれも社会起業の手法でやります。この記事を読んだときすぐに浮かんだのがイギリスのケースです。


地方都市にある名門のサッカーとラクビークラブが老朽化したスタジアムを建替えたとき、社会起業の手法を使い、このケースはロンドンにあるシンクタンク・デモスの社会起業の報告書に出てきて、公共性の高い施設を民間の力でやった挑戦的な事例だ、このやり方をイギリス中に広めようと提唱してます。


これに成功したのは
1、スタジアムを建設する事業主体のトップに起業家タイプの退職した大企業のCEOがついた、一方、地方議会の幹部の中で起業家タイプの政治家が政治リスクを引く受けてこの元CEOと連携した


3、教会基金のような社会投資をやっているところから低利資金を借りた


4、スタジアムの座席の下の空間があいてるので、ここを半地下にしてショッピングセンターにして賃料を稼いだ
など、それらしいことがありました。


150億円を寄付金だけで集めるのは難事です。G大阪は松下が母体で、関電、大阪ガス、JR西日本などが出資してますが、関西財界からこれだけの寄付を集めるなんてできないでしょう。


銀行融資で建設しても毎年返済財源を捻出するのが大変です。G大阪はどうするんでしょうか。


新しい知恵がいります。社会起業としてやるとすると具体的なやり方はいろいろなアイディアが思いつきます。イギリスでもできたことですから日本だってできないことはありません。


G大阪はこれに挑戦してほしいと思ってます。

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大前研一さんは、最近のメールマガジンで、タイム誌7月14日号に載っていた日本と中国の関係がうまくいっており、日本は中国へ温暖化ガス削減技術を売ることでビッグチャンスを手にすると珍しく日本を褒めていることを話題にしてます。


国際社会で日本の地位がますます下がってるが、その反対の記事は珍しいというのです。


大前さんはこのあいだのG8でこういう実利あることをもっと強く主張すればよかったのにといってます。


たしかに中国とインドに向かって、2050年温暖化ガスを半減する協定に同調せよと迫るだけでなく、日本の技術を移転するのでそれで温暖化対策を行え、このための政府援助もしますよと提案したほうがリアリティがありました。


洞爺湖サミットでは欧米のジャーナリズムは日本政府が思っているほど伝えなかったようですが、タイム誌が伝えた視点もあり、この視点でやれば欧州だってアジアの市場を狙ってるのであせったに違いなく話題性豊富になり、日本の存在感は上がったのにと思います。


タイム誌7月14日号電子版を探しましたら「China and Japan: The Green Connection」の記事がありました。こんな記事です。


・中国の環境問題研究者は、日本は「one of the world's greenest countries」で、「energy-efficient countries in the industrialized world」なので、このレッスンとメッソードを中国へ応用できる


・応用分野は、「everything from advanced nuclear reactors to clean steel mills to hybrid cars」と広い


・GDP当りエネルギー消費量は日本は中国の8分の1


・日本は中国のエコノミック・ブームで利益をあげたが、これから eco-friendly technology を売ることでビッグビジネスをつくることができる


・例えば、東芝・ウェスチングハウス連合は、4基の進んだ原子力発電所、一基30億ドルから40億ドルするが、を建設し、新日本製鉄は、eco-friendly coke-making technology を売る


・日本はテクノロジーと資金を中国へ投入するだけでなく、インドや他のアジアの成長国へ二酸化炭素を削減する技術を売ることでビッグチャンスをつかむ


タイム誌の切り口は、へぇ、言われてみればそうだなと感心しました。


日本の資金と技術でアジアの国々の環境問題を解決する、欧米から迫まれた問題を解決する、日本が救世主の立場になるわけですが、その上成長ビジネスに主役として参入できるんですから、こんないいことはありません。


官僚にはこんな視点がないのがいけません

第一回NPO道場開催

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明治大学政治経済学部4年生の内田洋平さんから上記開催のメールをもらいました。


NPO道場:
日時:2008年7月26日(土) 4:30pm~9時(予定)
場所:都内(参加者には別途ご連絡致します)
対象:NPOサポート・社会起業に興味のある意識の高い大学生及び社会人
想定人数:50人前後
費用:500円(場所代)+懇親会のお茶代金
ゲストスピーカー:
・KATARIBA(教育)
・セカンドハーベストジャパン(食・福祉)
申し込みはここまで


数ヶ月前に内田さんに会ったことがあります。このとき大学生なのに名刺をもらい、「Collective Inteligence LLP パートナー」の肩書きがありました。今の大学生は学ぶだけでなくこんな肩書きを持っているのかと驚きました。


私のところに来たのは社会起業に関心があり、大学生にこれを広めたい、何かいいアイディアはないですかということで、10人ぐらいのリストを持っており、これを訪ねて新しい事業をデザインしたいというので、いくつかのアイディアを話をしました。


彼は3年生の夏にリクルートでインターンシップを経験し、この経験に刺激を受け、一緒に働いた4人で話し合い、大学や大学生が持っている知と経験を集めた事業をやるために前記のLLPを設立したそうです。


彼のブログ「プロボラ! ープロフェッショナルボランティアが社会を変える ー」を見ますと、MBA取得層にアプローチをする企画とありますので、MBAの知を集めて社会を変える事業をはじめたのでしょう。


MBAの知的な集団が自分の専門領域を本業だけでなく社会のいろんなところに使うのはいいアイディアです。


アメリカのビジネススクールで社会起業を学び、そのときは日本には縁のないことだと思ってたところ、日本社会でも社会起業コンセプトが広がり、昔学んだ感性が蘇り、社会を変えようと行動を起こすのは歓迎です。


日本でも社会を変えようとするいろんな挑戦が始まってるんですね。

名古屋市の昇任試験が閑古鳥

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きのうの朝日新聞ネット版にこの記事がありましたが、こんなぐあいです。


・名古屋市役所の係長昇任試験の受験者が減り続けている。98年度に1357人いたが07年度には522人となった。

・理由は出世より自分の時間を優先する生活スタイルのひろがりがあると市はみている。

・課長以上には月8万~15万円の管理職手当がつき、50才の管理職は年収1086万円、役職がないと約340万円下がるがそれでもいいと思っている人たちである。

・市は市全体を引っ張ろうという職員と、それ以外とで二極化してしまうと組織力が落ちるのではないかと心配している。


市役所の幹部は不満そうですが、自然なトレンドで心配することもないのにと思います。


これまでの職員全員が管理職を目ざすというやり方が異常で、正常化してるんだととらえればいいんです。


それで組織力が落ちるなんてことはありません。市幹部やマネジャーの力量があれば組織力は発揮できます。管理職が足りなくなったら中途採用すればいいんです。


採用のときに管理職を目ざし、野心のある市を改革する意気込みの人を多く採用しても対策になります。


閑古鳥と思うなんて、市役所よりも時代がずっと先に行ってしまった証拠です。嘆くのでなく時代適応を考えるべきことです

貸席経済

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春から今月まで大学で社会起業を教えており、準備で時間がとられブログをさぼってましたが、一段落しましたので、またぼちぼちはじめます。


大前研一さんが「新・資本論」で提唱している概念ですが、大前さんの最近のニュース・メールマガジンで、IMFが集計した07年の一人当たり国民所得で、日本の3万400ドルはシンガポールの3万5000ドルに抜かれたことを話題にしてます。


シンガポールは外資に市場を開放し、法人税率18%、所得税の最高税率が20%、相続税はなしの政策が外資が流れ込み成功したんだと述べてます。


このことにショックを受け、日本も貸席経済に転換せよという提唱を再びやってます。


IMF統計で07年世界の一人当たり所得上位5位をみますと、1位、ルクセンブルグ10万5000ドル、2位、ノルウェー8万4000ドル、3位、アイスランド6万4000ドル、4位、アイルランド6万ドル、5位、スイス、5万8000ドルとならび、以下、デンマーク、フィンランド、ネザーランド、アメリカとベスト10が続きます。


どれも人口の少ない小国、高付加価値産業、ITや金融、が主力になった産業構造になっている、教育投資(大学まで無料とか)に成功したところで英語が通じるところです。


国ごとにみると、ノルウェーは産油国、アイルランドは80年代に農業補助金を半導体、製薬、IT、金融などの産業に使途を変え産業政策に成功した国、フィンランドはリナックスのリーナス・トーパルズがリナックスを開発した国というぐあいに、国ごとに特色あがあり、貸席だけで所得が高くなったわけではありません。


クリエイティブ産業立国政策を先進国の中で早く実施した結果所得が高くなった国で、こうした点で先進国経済の先端を行っており、先進国の先を示した国々です。


日本、ドイツ、フランスなどの先進国大国は一世代前の産業が残っており、小国ほど簡単に捨てるわけには行きません。市場開放、外資導入だといっても簡単にできません。また、所得配分政策で政治家が所得を再配分しますが、既得権益へ再配分する仕組みができてしまっているので、社会部門でも資金効率が悪いというぐあいなので小国に負けます。


貸席経済へ転換せよといっても現実には時間がかかることにはリアリティがあり、小国の真似をしろといってもすぐにはできないことです。


でも向かっている方向は、日本だってクリエイティブ経済に向かっており、あとは時間の問題です。


社会サービス部門でも公共部門のムダが告発されており、かわって社会起業へ向かうトレンドがでてきました。ここでもムダな行政部門にかわり民間が起業家精神で行う社会起業が大きくなって行くのは確かなことになりました。


心配することはないのです