メキシコや米国で発生した豚インフルエンザの人への大量感染を受け、世界保健機関(WHO)は27日、世界の警戒水準(フェーズ)を現行の「3」から、豚インフルエンザウイルスが人から人への感染力を十分に得た段階を示す「4」に初めて引き上げた。新型インフルエンザ発生を認定したことになる。日本を含む各国に感染が広がり、世界的大流行となる恐れがある。

 これを受け日本政府は、麻生太郎首相を本部長とする対策本部の設置を決めた。検疫強化をはじめウイルスの国内侵入防止と在外邦人支援の対策を進める。

 米国やメキシコを中心に、国際的な人の移動が制限されるとみられ、景気低迷にあえぐ世界経済への影響が懸念される。

 WHOは28日に開く予定だった緊急委員会を前倒しし、27日に開催、警戒水準引き上げを決めた。水準引き上げは25日の緊急委員会でも検討したが「さらに情報が必要」と見送っていた。

 人への感染はメキシコ以外に米国、カナダ、さらにスペイン、英国でも確認され、欧州に広がった。メキシコでは27日までに感染が確認されたか、感染の疑いがある死者は149人となった。

 ワクチン開発には半年程度かかるとされる。

 20世紀には3回のインフルエンザの世界的流行があり、1918年発生の「スペイン風邪」では世界で約4000万人が死亡した。


27日のメキシコ市内