1話に当たるお話はゆきひめさんへプレゼントラブラブ


 ゆきひめの城  さまへ



魔女っ子キョーコちゃん 6


 クー前魔王のパーティーが明日に迫ってきた。
 キョーコは一度は大丈夫と思ったものの、前魔王であるクー様主催。そう考えればどんな来賓がいらっしゃるかと考えて、不安が消えることはなかった。


 蓮魔王から、キョーコに衣装合わせとして前日から屋敷に来るようにと連絡があった。
 今までも数回訪ねたことはあったが、侍従や次女たちの半分近くは、キョーコの事をまだ認めていない態度をとっていた。
 キョーコ自身が自分に自信を持てずにいれば、余計に認めるものも増える筈がない。
『自信を持って堂々としていればいい』
 蓮魔王にそう言われはするが、まだまだと…謙遜の気持ちも大きなキョーコには、どう自信を持っていいかなど分からない。
「キョーコ様。お部屋とドレスのご用意が出来ました。こちらへどうぞ…」
 この屋敷の中で、最も好意的な侍従の社がキョーコを部屋へと案内してくれた。
「社さん、ありがとう」
「キョーコ様、「さん」などお付け下さらなくとも「社」とお呼び下さい。キョーコ様は、蓮魔王のフィアンセで、遠からずお后になられるお方です。堂々となさっていらして下さい」
 社は笑顔でキョーコに話しかけると、キョーコを部屋へと案内した。
「社さんは、私のことを魔王の后になる事を、歓迎してくれてますよね? どうして?」
 呼び捨てでいいと言われても、目上の人に対しては呼び捨てには出来ないキョーコ。
「簡単です。蓮魔王が選ばれた方です。蓮魔王としても、ただ好きになったと言うだけで、后になることは許していないでしょう。キョーコ様を選ばれた…それが理由です」
 蓮を敬愛している社は、必要以上のことは言わなかった。
「蓮魔王のことを、尊敬なさっているのね…」
「蓮魔王様は、早くに魔王になられました。ですが人を見る目はお持ちです。キョーコ様の良さを知り、お后様になられても大丈夫と判断されたのです。自信をお持ち下さい」
 にっこりと社は笑みを浮かべて、部屋をノックした。
「キョーコ様をお連れしました」
「入れ!」
 聞こえてきたのは魔王の声。
「蓮様もいらっしゃるの!?」
「居たら悪いか、キョーコ?」
「いえ、お忙しいのでどうかと…」
 キョーコはそう言いながらも蓮魔王に近付いていった。
 蓮魔王はそっとキョーコを引き寄せると軽く唇を合わせた。
「どうだ。少しは気持ちの準備が出来たか?」
「まだ緊張はしていますけど、前魔王は素晴らしい方だと訊いています。素直な気持ちでお会いしたいです」
「それこそ、キョーコらしくて良いな」
 蓮魔王は微笑むと、社に合図して取り出されたのは、純白のドレスだった。しかし純白に見えて、光の加減で虹色にも光る。そして襟刳りは少し大きめに開かれたロングドレス。襟刳り、袖口そして裾にもふんわりとしたファーが付けられ、シンプルながら可愛らしいドレスとなっていた。
「可愛い…。それにファーがとっても柔らかくて素敵…」
 キョーコは蓮魔王の用意してくれたドレスに一目惚れしたようだ。
「キョーコの良さを出すドレスにしようと思ったのだ。それには余計な飾りをゴテゴテと付けるのが躊躇われた。だからアクセサリーはこれだけだ」
 蓮魔王が赤い石の付いたネックレスをキョーコに付けた。
「この石は…」
「お前に送った石と対になっていたものだ。お前を守護する力も付けておいた」
「蓮魔王の守護を受けたなら、何も恐れるモノはないですね…」
 キョーコは嬉しそうにネックレスの石を両手で包み込んだ。 
「実はな、最初はジェリーにお前を魔法で変身させるつもりでいた」
「ジェリー様に?」
 キョーコは憧れのジェリー先生に、直々に術をかけてもらえるのかとときめいた。
「だがそれでは、お前の本当の良さが伝わらん。オヤジにキョーコの良さを知ってもらうには、意味がないと思って止めた」
「蓮様……」
 キョーコはジェリー先生に魔法をかけてもらうことより、蓮魔王が自分を思って色々と考えてくれたことが、なによりも嬉しかった。
 早速キョーコが別室で着替えてみた。
「思った通り、似合っている……。後は仕上げのメイクとかは明日でよかろう。気に入ったか?」
「はい。私にはもったいないぐらい素敵なドレスで、嬉しいです!」
 キョーコが目を細めて笑顔を見せると、蓮魔王も笑みを浮かべた。
「キョーコ。今夜は我が屋敷へ泊まれ。希望とあらば、添い寝もするぞ」
「そ…添い寝!?」
 蓮魔王の言葉にキョーコは頬を染めた。
「腕枕でも良いぞ」
「う…腕枕!?」
 叫ばんばかりのキョーコの反応に、蓮魔王は微笑ましくて声を上げて笑った。
「蓮魔王様が…声を上げてお笑いに…」
 付き添っていた社が驚いて呟いた。
 それほど蓮魔王の心を解して差し上げているのだな、キョーコ様は…。良い方に出会われた…。
 社は心の底からそう思った。
「冗談はこれぐらいにして、ゆっくり休め。キョーコ。明日の用意は色々とあるぞ」
「……はい…」
 明日に迫ったクー前魔王のパーティーは、無事終わるのかしら…?


       《FIN》


おーいパーティーは何処いった(苦笑)

今回こそパーティーに行く筈だったんですけど、何故でしょう?

キョーコちゃんのドレスは、

録画しといてまたもや放置していた百恵ちゃんの衣装が、

キョーコちゃんに着せたい可愛さだったので、

丈はロングじゃなかったですがデザイン拝借。

で、今回社っちまで出てきちゃいました!

こうなったら勢揃いさせようかとも思いましたが、

それやったら地雷踏むことになるんで止めますあせる

でもまだ若干出てくる人もいますけど…(^▽^;)

ラストまではあと何話?

当たった人のリクに応えるって言うのはいかがかな?

(書いてる私が一番分かんなくなってます)

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