今夜は「七夕」という事もあって、

ちょっと頑張って書き下ろししてみます。

蓮キョの「七夕」の過ごし方は?

BGMは勿論…福耳の


 『星のかけらを探しに行こう』



「最上さん。今夜…時間…開いてないかな?」

「今夜ですか? 今日は最終の撮りが夕方で、

あとは事務所でお手紙の整理とかがありますが…」

偶然に出くわした幸運な時間に、

俺は想いを込めて行動することにした。



  『星のかけらを

        探しに行こう』



「星のかけらを探しに行かない?」


「星のかけら…ですか?」


 
何やら彼女は戸惑っている。

……どうして?

夜に男と気軽に出歩いちゃいけないって、

この前注意したせいか?


「あの…折角ですが、

七夕の日に…何故…

『星のかけら』なんですか?」

…成程…。ロマンチストの彼女らしい言葉。

「『星』には手が届かないけど、

『かけら』になら手が届きそうだから…」

「でも…お星様のかけらって、なんか寂しいです。

キラキラしていても、一つが砕けた『かけら』って…」

「『かけら』も集まれば、『星』になるよ…」

「えっ?」

「星の誕生はガスや星の元になるモノたちが集まって、

そして気の遠くなる時間を掛けて星という形を作る。

地球なんか、生き物まで住んでる奇跡の星だよ…」

「……奇跡の星…。それって凄い偶然が重なったから

生まれた星って事ですよね?」

彼女の目がキラキラと輝いて来た。

「そうだよ。

地球の位置が、ほんの少し太陽から遠くても、

ほんの少し近くても、地球は生まれなかったて言われてる」

「……そう考えると、『かけら』も必要なんですね…」

「…だから…見にいかない? 『星のかけら』を…」

彼女はやっと笑顔で頷いてくれた。



そして俺は、社さんの協力もあって『星のかけら』を見る場所まで

彼女を連れ出す事に成功した。

以前に撮影スタッフから訊いた、内緒に星が見える場所。

私有地ギリギリの場所のお陰で、

観光スポットになる事を免れた場所。

其処に着くまで七夕の話をして楽しい時間を過ごした。

「七夕の彦星と降り姫は、恋人でしょうか? それとも夫婦でしょうか?」

 知っていそうで知らない事を彼女は質問してくる。

「恋人じゃないの? 夫婦なら…1年に1度の逢瀬はなお辛いよ…」

「恋人と思っている人が多いんですが、実は夫婦なんです」

彼女の言い方は、まるで凄い秘密の話の様に聞こえて

笑みが零れる。

「でも敦賀さん、私だったら恋人でも夫婦でも

1年に1度だけなんて…寂しいと思います。

……それでも…1年に1度でも会えたらいいのかな……」

「…そんなに…逢いたい人は誰?」

「…コーンです。もう…10年逢ってないのかな…。

……逢いたい…」

俺は言葉に詰まった。

それからは目的地までは沈黙が2人を支配した。



「着いたよ、最上さん」

車に揺られて疲れもあったのだろう彼女は

船を漕いでいた。

「わ、私ったら助手席にいて、寝ちゃうなんて~!」

慌てて謝ってくれるけど、そんな事はどうでも良かった。

「気にしないで。それより、ほら…星が綺麗だよ…」

東京からそれ程離れていないにも拘らず、

空気が澄んでいるのか星もよく見えた。

山の中腹で余分な都会のネオンも無い。

キョーコは両腕をいっぱいに広げて…、

星に溶け込んでいこうとして見えた。

「最上さん。此処でなら言えそうな気がするから

…訊いてくれない?」

「何ですか?」

「…俺は君が好きなんだ。愛している…」

「えっ?」

「そして…君の逢いたがっていた…、

『コーン』なんだ…」

「……ウソ…。そんな偶然…。

敦賀さんが…私を好き? それも『コーン』…?」

「俺達も子供の時に

彦星と織り姫の様に離れてしまっていた。

でも、こんな偶然に出会う事を許された。

…俺は君に出会うまで、

恋する事、愛する事の本当を知らなかった。

だから、君とはもう離れない…。

『最上キョーコ』と向き合って付き合いたい…」

彼女は言葉もなく涙していた。

「……私…そんな欲張りでいいの?

『コーン』も敦賀さんもなんて……」

「それは俺を受け入れてくれるって事?

付き合ってくれる?」

キョーコはコクリと大きく頷くと、

俺の元に走り寄ってきた。

「コーン、コーンなのね?」

「そうだよ、キョーコちゃん」

昔…あの頃に戻って呼び合った。

そして伝えた気持ち…。

「で、キョーコちゃんは俺の事…

敦賀蓮の事をどう思ってくれているの?

「そ、その…好き…です……。気が付いたら…」

俯いてしまった彼女。

そんな言葉だけで嬉し過ぎる俺は、

軽く抱きとめていた腕でキョーコを強く抱き締めた。

「つ、敦賀さん!」

「蓮…と呼んで…。俺もキョーコって呼ぶから…」



出会って別れ、再び出会う…。

その偶然を大切にしたい。



「ねえ、いつかあの河原に行って星を眺めない?」

「いいですね…」

「必ずね…」

「…はい…」

静かのキョーコは答えて、蓮の腕の中で星空を見上げた。


                 fin



初めて書き下ろしやってみました。

とにかく甘甘詰め込み放題!!

2人が出会ったのは偶然じゃ無くて必然!


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