自宅から16キロ離れた所で運送屋兼引越屋のアルバイトをしてる。

ネームバリューも無く、地元で30年根付いた小さな会社だ。

この職場にも3年間お世話に成っている。

引越屋の正社員で働き営業マンと偽り、同業他社でアルバイトをしていた。

会社を退職した時は25歳。

独立して起業を考えた事も多々あった。

経営のノウハウと経験量、そして縦社会の中で横のつながり(人脈)の大事さを知り、自分なりのアクションを起こしてきた。

不器用に遠回りして時を刻み

いつしか抱いた野望は資金作りに没頭する日々で、随分と味気ない人生を送っていた。

現場作業でしか培えない能力

現場毎に変わる段取り

一流を追い求め、数々の職場から吸収出来る事を成長の糧にしてきたつもりだった。

自身のパフォーマンスを顧客の反応から次なる心を打てる言動へと磨きを掛けることを念頭に置いて、仕事に臨んでいた。

時には冷静に客観視して改善を図る。

以前の勤めていた会社が引越業の一流だとライバル視し、その報いとして完膚なき叩きのめしてやろうと退職時に心に誓った。

プロ意識は気持ち次第で誰でも持てる。

だが、感性を磨き自身を高める事は容易じゃない。

持って生まれたモノでもあるが、模範的なモノが身近になければ気付けない。

流れ作業の効率かつ丁寧さは見る者を魅了する。

プロでもアーティスト性(芸術家)の美しさを求めなければ顧客への感動を与えられないと感じた。

そんな事を思いながら日々過ごしていた。

初対面で6時間語り合った仲間が出来た。

以前に自分が勤めていた会社の自分の後任になった人物だった。

入社2年半後に管理職まで上り詰めた一つ上の方だった。

全く同じ経歴で正社員でありながら、営業マンと偽ってバイトとしてやってきた。

身体能力の高さ、接客レベル、梱包技術、サービス精神・・・全てに於いて非の打ち所がない仕事振りだった。

会社引越が今日の作業内容だったものの予定より3時間も早く終われた。

久し振りに心が躍る仕事と成った。

ロゴで言うと

パンダ、アリ、ゾウ、元ドラえもんの引越会社大手を渡り歩いた彼は全ての引越会社で培った技術を余すこと無く魅せてくれた。

奇跡と呼べる偶然で出会い

知り得たかった2年間の空白の時間を聞くことが出来た。

・・・あの会社はCSに相変わらず全力に取り組んでいた。

そんな彼の夢は引越会社を起業することだった。

自分の後任となった人物は人間的にも任せられる人柄だった。

多角面から引越業界に携わってきた者同士、意気投合し過ぎて日を跨いで語ることとなった。

Android携帯からの投稿