ボクは五才 | 映画プログレ桜田淳子

映画プログレ桜田淳子

タイトルのテーマを中心に、好きなものを書き綴ります

監督:湯浅憲明 1970年

 

高知市の郊外に暮らす5歳児が、出稼ぎに行ってなかなか帰って来れない父親に会おうと、電車やトラックや観光舟や保線用軌道モーターカーや観光バスやフェリーを乗り継いで、たった一人で大阪まで無銭旅行してしまう話。実話を元にしているとのこと。

 

 

とにかく秀逸。

 

まずは、2年前に父親(宇津井健)に連れられて大阪に行ったときにクレヨンでスケッチブックに描いた絵をガイドブックがわりにして旅を続けるというアイディア(実話ベースなら実際そうだったのかも)が秀逸。次に、大阪に行くにあたっての最大の難関が、近所に住むおせっかいで人の良いタバコ屋のおばちゃん(ミヤコ蝶々)で、いつも彼女に見つかってしまうため高知から一歩も出ることが出来ない、といった子供目線が秀逸。そして、このタバコ屋のおばちゃんをはじめ、預かっていた孫が脱走したのを心配して大阪まで追いかけてくる老夫婦(左ト全、北林谷栄)、幼稚園の先生、軌道モーターカーに乗せてくれた線路の保線工、もぐりこんだ観光バスのガイド、父親が住んでいたアパートの管理人夫婦など、登場人物が悉く善男善女なのが秀逸。こうした子供を見つめる優しい眼差しは、さすが昭和ガメラシリーズの名コンビ(監督:湯浅憲明/脚本:高橋二三)の仕事である。

 

そしてラスト、遂に父親と巡り会うことが出来たときの感動は、とても言葉では言い表せない。