2013年映画ベスト10 | 映画プログレ桜田淳子

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2013年も映画を見まくった。そこで、備忘も兼ねてベスト10を選んでみた。もちろん、2013年に新作公開された作品限定。外国映画と日本映画は区別しない。


第1位
「セデック・バレ」
お気に入りの映画の一等賞を決めるなど、いつもなら不可能なんだが、昨年公開の映画に限っては、ほぼ迷うことなくこの壮大な歴史作品に決定。276分という長尺を、最後まで飽きさせずに見せきった監督の手腕と執念には脱帽。素人を使った山岳民族のリアリティーも流石。台湾映画恐るべし。

第2位~7位
2位以下の6作品に関しては、途端に順位が決められなくなった。以下、1作品づつ簡単に解説するが、全て同率2位。“良かった順” ではありませんので、あしからず。


「魔女と呼ばれた少女」
世界には想像も出来ないような残酷な人生がいっぱいあって、でも、そんな人生は決して対岸の火では無いし、そんな人生に芽生える様々な感情は我々のそれと少しも変わることは無いのだ、という当たり前のことを改めて突きつけられた作品。こういう世界をもっと知りたくなる。


「父の秘密」
メキシコにおける学校でのイジメは日本と同じだ。そういう意味では、「彼女が消えた浜辺」なんかと同じく、舞台を日本に置き換えても成立する作品だ。などとたかをくくって見ていたら…ラストに大激震。ああいう終わり方、今の日本映画に出来るだろうか。ショックを受けた。


「世界にひとつのプレイブック」
自分の恋が実らなかったことを悟り、ひとりダンス会場を後にするジェニファー・ローレンスに、「違うんだジェニファー。君の恋は実ったんだよ。だから会場に戻るんだ。」と、思わず声をかけてしまいそうになった作品。とにかくジェニファーの魅力が大炸裂。精神的マイナスを抱え込んでない人間なんていない、というテーマもよかった。


「樹海のふたり」
低予算でシネコンにもかからないような映画を見るチャンスはそう頻繁には無いけれど、こういう作品が品質面において日本映画界を支えているんだと思う。こういう優れた作品があるからこそ、我々は映画ファンを続けていられるんだと思う。


「飛べダコタ」
佐渡でしか拾えないテーマ、佐渡でしかパッケージできない空気感、佐渡でしかワープできない過去、そして、その結果引き出される佐渡ならではの演技。そんな、ならでは感に溢れた作品。
完成までには紆余曲折あったと思うが、これぞ地方発映画のお手本の様な作品。


「ゼロ・グラビティ」
この作品については今さら語ることはないだろう。究極の体感映画。映像技術の進歩が演出の可能性を拡大した好例。

第8位~10位
やはり順番は決められないので、以下、同率8位3作品を解説。


「コン・ティキ」
子どもの頃から大好きだった「コンチキ号漂流記」を、映像&心理描写の面で補完してくれた有り難い作品。一方で、本作もまた映像技術の進歩の賜。「ライフ・オブ・パイ」や「キャプテン・フィリップス」など、大海原漂流映画が一気に増えたもんね。「太平洋ひとりぼっち」もリメイクされるんじゃなかったっけ?


「キャプテン・フィリップス」
今年はハリウッドが新時代に突入したように感じた。本作や「ゼロ・ダーク・サーティ」みたいに、主人公はもちろん、あらゆる登場人物への感情移入を禁じた作品が増えている(ような気がする)。下手な感情移入など必要なし、畳みかける出来事を描けばそれでよし、というハリウッドの自信。これも映像技術の賜か。


「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」
一方こちらは「キャプテン・フィリップス」とは対照的。出来事の畳みかけよりムードで勝負。体を張ったアクションよりけだるい空気感で勝負。大海原より大都会で勝負。大人数による総合力よりジャームッシュひとりの個性で勝負。久々に見た署名入りの作品。

とまあ、以上が今年のベスト10。これら以外にも、「遺体」「奇跡のリンゴ」「四十九日のレシピ」「テッド」「マッキー」「HK/変態仮面」「桜姫」「鑑定士と顔のない依頼人」なんかがお気に入りなのであった。