砂糖は骨を溶かすのか? | 小池 ゆみえの管理栄養士的~なブログ

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フリーで働く管理栄養士。公認スポーツ栄養士・健康運動指導士・日本臨床栄養協会サプリメントアドバイザー・肥満予防健康管理士上級講師。病院・クリニック・食品会社・専門学校講師・資格講座講師・企業の健康キャンペーン・アスリートの栄養管理・・・。

小さい頃、コーラを飲むと骨がもろくなると言われ、ほとんど飲んだことがなかった。


あの毒々しい黒さがいっそう有害なもののように見えて、これまでの人生の中で10~15回くらいしか口にしていないように思う。


ま、たまに飲むと、シュワっとDASH!まずくないな、とは思うけど・・・ね。


「コーラ=骨がもろくなる」は「砂糖=カルシウムを奪う」説と共通する話だろう。

果たして、砂糖は骨を溶かすのだろうかはてなマーク


砂糖が骨のカルシウムを奪う仕組みを簡単に説明すると~

砂糖を大量に摂ると不完全燃焼して、乳酸ができ、血液が酸性に傾く。


これを中和するために重炭酸イオンが使われるのだが、それ以上に乳酸が増えると、炭酸カルシウムで中和しようとする。


炭酸カルシウムのカルシウムは骨から溶け出されたものでまかなう。

したがって砂糖は骨を溶かす、のだそうな。


さーて、検証していきましょうグー

確かに、骨はカルシウムやマグネシウム、リンといったミネラルの貯蔵場所。

海の単細胞生物が皮膚を作って、陸に上がった時、骨格という機能だけでなく、海中にあるミネラルをいつでも使えるように蓄える器官として骨ができた。


だから、必要とあらば、骨のカルシウムは使われるのだが・・・あせる


まず、砂糖が乳酸になる、というところ。

砂糖、つまり糖が乳酸になるのは無酸素性エネルギーの運動をしたとき。

酸素がないから不完全燃焼という表現なんだろうがガーン、まぁ、それはよしとしよう。


糖⇒乳酸は、無酸素性エネルギー産生機構、いわゆる解糖系だ。

解糖系は瞬発力の比較的短い時間の運動のためのエネルギーを供給する。

その結果、乳酸ができる。

これは正しい。


砂糖を大量に摂れば摂るほど、乳酸が増えるということは、コーラを2ℓ飲んだら、体が勝手に無酸素性運動:100mダッシュ走る人DASH!してしまうってことになる。


そんなことはありえない小池 ゆみえの管理栄養士的~なブログ-20101030142029.gif

エネルギーは必要なときに作られる。

エネルギー源の貯蔵はあっても、エネルギー自体は必要に応じて生成されるのだ。


血液中のグルコース(ブドウ糖)濃度は厳密にコントロールされている。

糖尿病でない限り、糖があふれることもないし、その糖が勝手に乳酸に変わることはない。

余分な糖は脂肪になるだけだ。


コーラを飲んで、ゴロンとしていれば、砂糖は脂肪になる。

瞬発系の運動をすれば乳酸もできるが、乳酸は酸素のある状態ですぐに代謝される。

100mダッシュ後に、軽いウォーキングやただはぁはぁDASH!呼吸をしていれば、乳酸は肝臓へ運ばれ(コリ回路)、有酸素性運動のエネルギー源として使われる。


それに、お米やイモのでんぷんだって糖からできている。

砂糖だけでなく炭水化物の摂取によっても乳酸ができて、血液が酸性になるなら、米食の日本人はいつも酸性の血液だ。

骨がぼろぼろの国民・・・ってことだ。


このように、砂糖を摂れば摂るほど乳酸ができ、血液が酸性に傾くなんてことはない。



次に酸性に傾いた血液をカルシウムで中和する、ってところ。


私たちの体は、pHを調節する機能(緩衝作用)やを持っている。

よほどの重病でない限り、重炭酸イオンやリン酸などで十分pH調整は可能。

酸性に傾けばアルカリに、アルカリに傾けば酸性に、それこそ厳格にコントロールされている。

カルシウムがお出ましになることはないのだ。


それに、食べ物如何によって、体液(血液)のpHが左右されるようじゃ、おちおち大食いもしていられない。


最近の栄養学では食品の酸性・アルカリ性という考え方は誤りとされている。

梅干はアルカリ食品だから体にいい、とか私も昔は言っていた。


こうして日々、栄養学も変わってくる。

いろいろな風説もまかり通る時代。


一見もっともな説もよくよく考えるとおかしいことが多々ある。

何が正しいか、きちんと科学的根拠のある話を伝えていきたいと思います。


長々、ご精読ありがとうございました小池 ゆみえの管理栄養士的~なブログ-1FL1660.gif