6-1 イルカからの贈り物 1 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

 また生活のリズム――というよりもバランスが傾いてきた。しかも、いい方向にである。
 初めは気のせいかと思うぐらいだった。
「最近ネズミの害が出てきたわね」
 オルータはわずかに表情を曇らせた。そういえばそうだなとぼくは思った。
 イモがかじられ、夜中になればネズミが天井をうるさく走り回り、段々迷惑になってきた。
 すべては猫が消えてからの話である。それを知ったトンガラはうちに一匹の子猫を連れてきた。
「もらってやってくれ」
 トンガラは言い、子猫をぼくに渡した。

 白黒茶の三色の雌猫だった。とてもきれいな顔立ちをしていた。
「おまえはつくづく三毛(ミケ)だな。そういうことでおまえの名前はミケだ」
 一瞬のひらめきで命名した。
「ニャー」
 この新しい友がひと声鳴いた。 

ぼくの新しい友(アダコア―2002年)
 
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