また生活のリズム――というよりもバランスが傾いてきた。しかも、いい方向にである。
初めは気のせいかと思うぐらいだった。
「最近ネズミの害が出てきたわね」
オルータはわずかに表情を曇らせた。そういえばそうだなとぼくは思った。
イモがかじられ、夜中になればネズミが天井をうるさく走り回り、段々迷惑になってきた。
すべては猫が消えてからの話である。それを知ったトンガラはうちに一匹の子猫を連れてきた。
「もらってやってくれ」
トンガラは言い、子猫をぼくに渡した。
白黒茶の三色の雌猫だった。とてもきれいな顔立ちをしていた。
「おまえはつくづく三毛(ミケ)だな。そういうことでおまえの名前はミケだ」
一瞬のひらめきで命名した。
「ニャー」
この新しい友がひと声鳴いた。
ぼくの新しい友(アダコア―2002年)