ホテルに着くとオフィスに案内された。中に入ると先ほどの代表がいた。
「あなたは一体なぜこんな事態におちいってしまったのかね」
と尋ねられた。
ぼくは言葉があふれるままにこれまでのいきさつを説明した。
イルカを求めて沖縄まで行ったのはいいが、現地は理想とは違った。ぼくは途方に暮れてしまう。
が、運命的な展開でソロモン人と邂逅(かいこう)し、ぼくはソロモンへ行くことを決意した。
やっと旅費も貯まり、航空券を購入したところ、どういうわけか料金は全財産と同額だった。
窮地に立たされぼくは最後の瞬間に母親に助けられ、なんとかピンチを脱出することができた。
とは言え、旅が終わろうとしているいまそれも使い切って、再びにっちもさっちも行かなくなってしまった――と語るぼくに代表は熱心に耳を傾けてくれた上に、最後は素晴らしい話をありがとうとまで言ってくれた。
この時に知るが、代表はこのホテルの総支配人だった。
「あなたは好きなだけここにいなさい。すぐにあなたのために部屋を準備しましょう」
総支配人はにっこりと笑った。
またしても必要なものが満たされたわけだ。