2-8 好きこそ物の上手なれ 1 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

 クワイ村ではとにかくリラックスし、ゆったりと過ごした。ぼくは海辺のいい場所を見つけては、ただぼうっと海を眺めて暮らした。
「なんて優雅な退屈なんだろう……」
 だが、気分は満たされていた。

 すると思わぬところで拳法が役に立った。もちろん村人相手に実戦で使った訳ではない。相手は子供たちである。
「アチョー」
 と奇声を上げながら拳法の真似事をすると、子供たちはキャッキャッ大喜びをした。
 お返しに子供たちは歌をうたってくれたりした。ギターがある時はギターを伴奏に、ない時は手拍子でリズムを取り、器用にハーモニーをつけ、ぼくを楽しませてくれた。

 本当に上手だった。おそらく幼い頃から教会で賛美歌をうたうことによって、自然と技量を身につけていったのだろう。

■ 外部リンク「Melanesian Choirs(YouTube)」

 

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