2-1 底知れぬ恐怖 2 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

「ついに念願のソロモンだ!」
 大きく息を吸い込み、やっとたどり着いた感動を全身で味わった。
 さすがに南国だけあって夜でも暖かい。体がじっとりと汗ばんだ。
 日本を離れたのは秋なので、夏に逆戻りしたような感じだった。

 ターミナルは歓迎と再会の熱気に支配され、大勢でごった返していた。
 周りを見渡した。目に入るのは肌の濃い人間ばかりで、異国人はぼくだけだった。
 だが、そこには懐かしさにも似た空気があることには自分でも驚いた。初めてなのに初めてではないのだという、そんな不思議な感覚だった。
 日本にいる間、旅行代理店を通してあらかじめホテルを予約していた。メンダナという日系のホテルだった。

 空港からはまっすぐメンダナへ行った。部屋に入るや否やベッドに倒れ込んだのは旅の疲れがどっと出たからだろう。

ソロモン・キタノ・メンダナ・ホテルの看板(ソロモン諸島ホニアラ 1994年)

 

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