妻夫木聡主演
『ジャッジ！』
最近某自動車メーカーのCMでののび太くんや、「ロト夫木」部長として見る事の多い妻夫木聡君。
それらのCMでのイメージを背負ったかのような情けない役で主演したのがこの映画です。
ストーリー大手広告代理店・現通 の落ちこぼれクリエイター太田喜一郎（妻夫木聡）は、真面目でお人好しだけれど、どこかずれてる不思議ちゃん…
情熱はあるけれど、腕はイマイチのだめ社員。
同姓でバリバリに仕事のできるギャンブル好きのきつ～い美人太田ひかり（北川景子）からはいつもバカにされている。
しかも、いい加減で身勝手な上司・大滝一郎（豊川悦司）から無茶ぶりされてはその尻拭いをさせられている。
ある日、大手のクライアントから超駄作の「ちくわ」CMをサンタモニカの世界的な広告祭で優勝させるように圧力をかけられた大滝は、自身が出席予定だったそのコンペの審査員として、喜一郎を身代わりに行かせる事にする。
「太田喜一郎」＝「おおたきいちろう」＝「大滝一郎」ローマ字表記ならばれないというのがその理由。
英語が苦手な太田は、ひかりの旅行代を自腹で出す事を条件に、ひかりにコンペへの同伴を依頼する。最初は断固拒否していたひかりだが、ラスベガスのカジノと聞いて色めき立ち、同行する事を決める。
ところが、そのコンペは不正が横行していて、とても公正な審査とは言いがたいものだった。
しかも、会場のホテルに着いた喜一郎に太田から電話が入り、
「ちくわCMが優勝しなければ会社をクビにする」
と告げられる。
さて、そんな厳しい状況を喜一郎はどう切り抜けるのか…？
私は昔からCMが好きなので、民放の楽しみは面白いCMを見つける事。
でも、最近は携帯各社のCMのような「何が言いたいのかさっぱりわからない」CMが増えていて、日本のCMってつまらなくなったな～…と感じます。
海外のCMは芸術的だったり、感動出来たり、広告というより作品のようなCMも少なくはなくて、文化の成熟を感じます。
この映画は、かなり大げさにデフォルメしているとは思いますが、広告業界の裏側を垣間みる事ができて楽しめます。（○通に知り合いがいたんですが、ああ、まんまあの人みたい…って思っちゃいました）
監督は自身もCMディレクターとして活躍していた永井聡。映画の監督は今回が２度目だそうです。
脚本の澤本嘉光もCMプランナーで、カンヌ国際広告祭などで受賞しているそうです。
そういう「業界出身」のスタッフが手がけたからこそ、適度なリアリティーを持った上質なコメディーとして成立した映画なのだと思います。
妻夫木君演じる喜一郎は、ダメダメなのにとにかく真面目でお人好し、とことん生き方が不器用…しかも結構頑固者で、自分の意思を絶対に曲げない。
でも、彼のそんな純粋な生き方は次第に他国のライバル達の心も動かして行きます。日頃喜一郎をバカにしていたひかりも、ついつい放っておけなくなり、力を貸すことになります。
大滝が度々口にする「広告業界では、“無茶”と書いて“チャンス”と読む。」というしょーもない言葉も、（まぁ広告業界に限らず社会に出ればどこも似たようなものかもしれないですけれど、）これでもか…というほサイテーな男を演じる豊川さんが繰り返すと、思わず「広告業会って大変そうね」と苦笑してしまいます。
日本のコメディー映画って、正直あまり得意でない私ですが、この映画はとても面白かった。とにかく端役に至るまで有名な俳優がきちんと演じているし、ちょいちょい挟まれる「小ネタ」の絶妙な「間」には思いっきり笑わせられてしまいました
う～ん、うまい！喜一郎は出発する前に、リリー・フランキー演じる資料保管室の鏡という胡散臭くて本当に少し臭い男から、ペン回し、役に立つのかどうかわからない英語のフレーズ数個、レストランで使える英語の本、大量のオタクグッズを伝授されるのですが、一見役立たないものの寄せ集めのようなこれらが、実は審査会でその威力を発揮する事になる。その辺りも見所です
ストーリーもしっかりしているし、散りばめられたパーツが最後にはきちんと繋がって説得力を持たせています。
何でヒットしなかったのかな？
いい映画なので、かなりもったいないと思います。
『ジャッジ！』のDVDは７月９日発売です。
今宵のBGMは
関ジャニ∞ の 『無責任ヒーロー』
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