通常営業で深夜営業、どうもです。
ご訪問いただき、まことにありがとうございます♡


いやはや主任、ちょっと頑張ってよー!
アンニュイ爆発させてんじゃないわよー!

なんか、ひさしぶりに出てきたと思ったら弱気ですいません。
さて、そろそろ本気出すのか主任!?


そして、いいね!とかコメントとかくださる皆様。
ほんっとに、嬉しいですこんなに放置してたブログなのに……(号泣)

コメ返の遅さは、主任のお手手の速さに反比例しておりますが
コメ欄でお話しできるのもとっても嬉しいんです
おヒマがあれば、ひとこといただけるととってーも喜びますw


というわけで、今夜もいってみよう第四話!!!
めんどくさいぜパク主任www(爆)








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そのまま突入した連休。
主任と顔を合わさないのには、ちょうど良くて。
休みの日、部屋の掃除をしながら考えた。


主任は、いろいろ考えて、もう答えを出したんだきっと。
なんでなんでってぐるぐる巡ってた考えも、部屋と一緒に片付いてきて。


あたしも今のうちに引いたほうが

きっと主任を傷つけずに済む




やっと通常営業の月曜日、気づけば、あの映画の日から2週間近く経っていて。
そして主任は、相変わらずのポーカーフェイスだ。


気まずいと思うほど、そんな時に限って早瀬は別ロケで作業からの直帰。
二人で残業コース。
時計はすでにてっぺんに近づいていて、オフィスには他に人の気配もない。


「連休とかさー、仕事溜まるばっかだよな」
「そうですよね、ほんと」
「申し訳ないっすね、早速こんな時間」
「いえ、あたしの担当案件ですし」


ふと席を立った主任、すぐに戻ってきた。手に、コーヒー2つ。


「ほい」
「え、いいんですか」
「もっちろん」
「あ、しかも高い方だ(笑)」
「あと、これ。ジャーンっ」
「あ!『雪の宿』じゃないですか!」
「食う?」
「やったーっ」

「いつだったかさ、二人で徹夜だった時、食いたいって言ってなかったっけ?こないだ下のコンビニで見つけて、ふた袋買っちゃった。一緒に食おうと思って^^」

「主任……」
「あん時、まだ寒かったっすよねー」
「そう、でしたね……」


「今日は、早く終わらそうなー^^」




それからこんな感じで、主任は優しくなった
前よりもう少し

そんな風に微笑まれて、困ります


そんな風に優しくされて、どうしたらいいんですか






それから数日、今日は課長と主任が外出で直帰。
あたしと早瀬は意外と早めに片付いて、こんな時だしって21時前にはあがることに。彼女に電話してる早瀬を置いて、先に出た。
1階、エレベーターのドアが開くと、ちょうど向かい側が開いて、志田くんが降りてきた。


「あ、お疲れ」
「お疲れ様です。いま帰りですか?」
「うん」
「今日は、早いんですね」


そのまま駅へ向かってたら、せっかくだし一杯行きませんかって言われて。




志田くんと飲むのは、たぶん初めてで。
赴任してた頃の海外あるある話とか、なんで早瀬はあんなに空気が読めないのか話とかで盛り上がったりして、モヤモヤしてた気分が少しだけ軽くなる。


「あ、先輩つぎ何飲みます?」
「そだなー、あ、カルヴァドスある」
「じゃあ、僕も同じにしようかな」
「クラッシュアイスって頼めるかな?」


そして2つ運ばれてきて、いい香り。ドライフルーツをひとかじり。


「先輩、覚えてるかわかりませんけど」
「ん?」
「新人研修の時言われたこと、今も覚えてることがあって」
「あたし、何か言ったっけ」
「テーマもらってプレゼンする課題で、僕結構評価良かったのに、先輩は結構厳しいコメントだったんですよね」
「ごめん、そうだっけ(笑)」

「言われたんです。『論破するつもりじゃなくて、自分と全く違う価値観・考え方の人にどれだけすんなり聞いてもらえるかって作るんだよ』って」

「言ったかなぁ」
「僕、完全に論破する気満々で作ってたんで、面食らっちゃって。けど、価値観や考え方を塗り替えてやろうなんておこがましくて、自然体で受け入れてもらえる方がいいに決まってるんですよね。北風と太陽なら、先輩は太陽のやり方だったんです」
「まぁ、そうかな」
「で、どうやってやるんですかって聞いたら」
「?」

「『脳内に、自分とは正反対なもう一人の自分に出てきてもらって、お話しする』って(笑)」

「え、笑わないでよ!」
「いや、なんかちょっと、想像したら可愛いなぁと思って(笑)」
「あたしも若かったんだよ(笑)」
「僕もやりましたよ、もう一人の自分とお話し」


ザ・エリート君かと思ってたけど、意外と愛らしく、眉毛を下げて笑っていた。
旦那にするなら、とか言ってた綾の言葉が、一瞬脳裏をかすめた。




駅に着くと、志田くんの住んでるとこは反対方面で。


「じゃ、ここで。今日はありがとうございました」
「いやいや、こちらこそ。楽しかったよー」

「こないだ、隣歩いたら可愛く見えるかなって言ったじゃないですか」
「?」


「そのままでも充分ですが、そう思ってもらえるなら、それもアリじゃないでしょうか?」


「……え?」
「では、おやすみなさい」


ひとつ礼をして、志田くんは改札を抜けていった。

えっと、今の、どういう意味……?






「先輩、ちょっといいですか」
「はい?」
「さっきから、少々冷ややかな視線が突き刺さるんですが」
「……へ?」


また、うちらのチーム脇の打合せスペースで。
別件で相談ってことで志田くんが来てて、話してたら急に。


「おたくの主任の視線が、痛いです」


まさか、振り返ってパク主任を見るも、別にこっちなんか……


「え、こっち見てないよ」
「技巧派ですね」
「?」
「視線を外すタイミングが実に巧妙です」

「え、ちょっ、志田くん……」


立ち上がった志田くんが、つかつかと主任のデスクの方へ歩き出した。


「あの、何か?」
「は?」
「さっきから、突き刺さってますけど。何かおっしゃりたいことがあるなら」
「別に、ないっすけど」
「はぁ、そうですか……」


眼鏡の奥で主任の目、だいぶヤバい気がするんですけどっていうか軽く殺意……?


「先輩、ちょっと二人でミーティングルームでどうですか?」
「え、いや、あたしはあの……」

「おい、勤務時間中っすけど。個人的な話なら、」
「いえ、至極業務に関する打合せですが」
「あっそ」

「そちらこそ、部下を私物化するのはどうかと思いますが」

「ナっ!?」


これには主任も、さすがに表情を変えた。
っていうか、睨み合ってる!?
火花的なものが見えるのは気のせいですか……
なんなのこれ、なんなのこれ!?
ふと早瀬を見たら、こんな時確実にいじってくるはずの早瀬までが、見て見ぬフリしてた。


「先輩、昨日はありがとうございました。また飲みに行きましょう二人で」


そう言って、志田くんは去っていった。


「ふぅーん……。ああいうのと、ねー」

「……ハイ?」
「別に。独りごと」


主任、それはどういう意味でしょう?
そしてこの一件を境に、パク主任の態度は(ついでに志田くんも)明らかにおかしくなった。






「なんか最近、スカート率高くないっすか」
「ハァ?別に、いつも通りですけど」

「今日、メイクちがくない?予定あるわけ?」
「ありませんけど。なんなら朝まで仕事できますけど」

「もしかして、痩せた……!?」
「毎晩測ってますけど誤差500グラムの間で推移してますがよろしいですか!?」


毎日のように、パク主任とはこんなやり取りが続き……




「ちょっと、見に来た方がいいって!」
「何が?」
「うちのレーン、相当面白いことになってる」
「へ……?」


年に一度の、部内レクリエーション大会。
毎年、5月後半の金曜の夜にあって、ボーリングやってから宴会。部内と言っても100人単位いるわけで、どっちも貸切で行われる。

ボーリングのレーンはくじ引きで決められるんだけど、綾に手を引かれて見に行くと、綾のレーンにまさかのパク主任と志田くん。と、綾とあと2名。


「スコア、見てみ?」


第10フレームを残して、主任と志田くんのスコアには蝶々と旗のマークが連発し、ド素人のあたしが見てもとんでもないことになってるのがわかった。


「なんだありゃ」
「ガチンコもいいとこなんだけど、たぶんに原因はキミだと思うよ(笑)」
「ハァ!?あたし!?」
「まぁ、見ときなよ」


先攻、パク主任。
一投目8ピンに留まるも、二投目でスペア、三投目はなんとストライクを出した。
ギャラリーから歓声があがり、気にしてない顔してるけどあたしにはわかる。あれはドヤ顔だ。


「……で、どうなるの?」
「今までで若干志田くんリードだから、主任と同じなら志田の勝ちだね」


志田くんは、主任をチラリと睨んでからポジションに立った。
その時、ギャラリーのあたしに気づいて、主任が近づいてきて。
耳元で、そっと囁かれる。


「……俺が勝ったら、チューしてね♡」


んなッ、どゆこと!?
自分から「普通の上司部下に」とか言っときながらマジどういうこと!?

怒りが、お腹の底からフツフツと湧き上がってきて……


「頑張れっ!!!志田くんっっっ!!!><」


思わずあたしは、全力で叫んだ。

……が、次の瞬間。
志田くんは、見たこともないようなコケ方で(長い足が前後にツルーンと割れた)レーンに倒れ、ゴインという鈍い音とともにボールはガーターへ落ち、ゴロンゴロンと虚しく転がっていった。


「……プッ(笑)」


主任が、思わず噴き出した。

ったく、なんなのこの人ーーーっ!!??






そして、週が明けて。
14階から乗り込んだエレベーター、13階で開いて乗ってきたのは、志田くん。


「あ」
「どうも」


なんで、あたしが気まずさ感じなきゃいけないんだ……
二人きりの密室は下がっていく。
そして降りる7階の直前、彼は長い首をかがめるように、あたしの肩のそばでつぶやいた。


「主任より、僕にしておきませんか?」




ドアが開くと、目の前にパク主任が立っていた。嗚呼神様、なんてタイミング……。
でも、もう関係ないし。何も考えたくないし!
志田くんに続いて、黙って降りて、行こうとしたら。

思いっきり、腕を掴まれた。


「ちょ、痛っ……!」
「いいからちょっと」


驚く志田くんを残して、あたしは主任にもう一度エレベーターに強引に引き込まれた。


ドアが、閉まる。再び、密室。
主任は最下階=B3のボタンを押した。


「何するんですか」
「何って」
「痛いです」


「勝ったらキスって言ったよね」


からかってるの?それとも、本気……?
攻めるように見下されて、思わず息を飲んでしまう


「なぁ、アイツがいいの……?」
「関係……ないじゃないですか」


壁際に、追い込まれる

いつもこうだ
あたしは、この人のこれに抗えない


「やっぱ前言撤回」

「……?」


「アイツはダメ」


そう言って力なく、あたしの肩に顔を伏せた




ものすごく勝手なのに
腹が立つのに

抗えない


あんな切ない顔するんだもん

それは反則


狡いよ主任