ハノイ中心部から30分ほど車を走らせたところに位置する工業団地の一角にたたずむ三菱重工エアロスペースベトナムに赴きました。

このタンロン工業団地は住友商事が50%出資している日系工業団地で、インフラもきちんと整備され、電力も安定供給されているということなので、ここに工場を構える企業は錚々たるメンバー! 


住友重機、住友ベークライト、住友ナコ、デンソー、NKE、YAMAHA、PANASONIC、CANON、HOYA、TOTO、KAI、NKE、KYB、そして三菱重工エアロスペース(MHIVA)。


こちら三菱重工エアロスペースベトナム(以下MHIVAと呼びます)は、20,000㎡のの敷地(このうち4500㎡が工場建物)で173名の社員で運営。(日本人駐在員5名 、研修生43名を含む。)ボーイング737のフラップの組立(翼部分の空気抵抗を調節する部分)を主要製品として事業を展開。


2007年の投資ライセンスの認可を受けてから2009年9月の開所式に至るまで2回に渡り、45名のベトナム人研修生を日本へ派遣し、日本語も含めた技術教育をして、ベトナム初の生産開始に至りました。開所式以降も研修生の教育に力を入れ、現在では7期生が研修中ということで、MHIVAの常により良い生産技術と効率化を目指している姿勢が伺えました。


工場内を見学させていただきましたが、すべての部品や生産ラインがきれいに整理整頓されていて、ミスがなるべく出にくい環境が整備されていました。


ところどころで、工場内の床で昼寝をしている作業員がいましたが、社長のご説明では、これは怠けているのではなく、家ではエアコンもなく、しっかり眠れないので、こうやってクーラーの効いた涼しいところで少しでも睡眠をとって、仕事の効率をあげようと努力しているので、会社にとってもいいことなんですよ、とおっしゃっていました。


そうです、私たちはともすれば、表面的なことだけを見て、物事の価値を決めたり批判をしがちですが、みんなそれぞれに理由があってそうせざるを得ないこともあったり、民族の習慣や価値観も違うので、お互いに認め合ってお付き合いをしていかなければならない、ということを改めて感じました。


さて、こちらMHIVAの社員の平均年齢も非常に若く、24.3歳!


研修生の中には、中学校を卒業するかしないかくらいの年齢の若い人もいるということでした。


とにかく、一刻も家族のために働きたい!という若者が多いということです。

ひとつ問題なのが、離職率も大きいそうで、作業者の勤続年数は1.6年で、実務経験年数は1.1年と短い。

せっかく時間とお金をかけて教育してもすぐにやめてしまわれては困ってしまうが、わずかな人数でも優秀な作業員に対しては、将来の設計図が描けるような待遇、あるいは特典などを与えて、人材確保をしていくことと、やめていく人間の数も計算に入れて、余裕を持ったマネージメントをしていくことが課題である、ということもつけ加えられていました。

yk