11/05/09 忙しいあなたの代わりに新聞読みます 月曜コラム | ON THE STREET CORNER インディーズ取材日記

11/05/09 忙しいあなたの代わりに新聞読みます 月曜コラム

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[9] 月曜コラム「ON THE STREET CORNER」
                   松本由歌子:音楽フォトグラファー
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ゴールデンウィークが終わりましたね。皆様はどのように過ごされましたか。

私は、Legend of Rock ライブイベントの撮影の他に、クラシックコンサート
を聴きに行ったり、美術展をめぐったりしました。

美術展の中で一番楽しみにしていたのが、国立近代美術館で行われた、「岡本
太郎展」です。今年は生誕百年にあたり、年間を通して様々な企画があるのだ
そうです。

展示は、太郎氏の芸術家としての足跡を、時系列にたどる構成になっていまし
た。作風の変化が、とてもわかりやすく解説されていて、誤解されがちだと言
われている「太郎像」のゆがみを修正しようとする、努力と工夫に満ちていま
した。

作品を解説している「音声ガイド」に、NHKのドラマで岡本敏子役だった常盤
貴子さんが参加していたので、借りました。貴子さん演じる敏子氏のセリフは、
生前のインタビューや文章から起こしているので、本人自身の解説に限りなく
近い再現となっています。

最近はこんな風に、俳優が美術展のガイド音声を吹き込むケースが増えていま
す。演技力が活かされた内容になるので、無味乾燥なナレーションよりも、楽
しめるのです。私も以前と比較して、利用することが増えています。三菱一号
館美術館で開催されいていた「ヴィジェ・ルブラン展」の音声ガイドは、大地
真央さんがナビゲーターでした。ヴェルサイユ宮廷に集まった画家や画商、モ
デルとなった貴族などの声を、大地さんが男女それぞれ演じ分けて、まるで
「ひとり宝塚状態」でした。山種美術館の「ボストン美術館浮世絵名品展」で
は、歌舞伎役者の市川亀治郎さんで、この展示は今後も全国を巡回します。こ
れからもますます、こういう傾向は続くでしょう。楽しみです。

岡本太郎氏の作風は、よく知られていますし、スタイルにぶれがないので、美
術展は基本的に「有名な作品の本物を間近で確認する」ということになるので
すが、その中で、縄文式土器を太郎氏自ら撮影した写真には驚かされました。
すばらしい写真でした。土器そのものは同じはずなのに、燃えるような迫力を
感じました。画家の撮る写真だ、個性が際立っていると思いました。

岡本太郎氏はパリ大学で、フランス民族学の父であるマルセル・モースの門下
性として民族学を学びました。太郎氏のフランス語は、難解な議論にも不自由
しないレベルだったそうです。ですから、民族学者としても一流人なのですが、
炎が燃えるような造形を「日本人の源流」とした解釈は、発表当時はとても斬
新な論評だったそうです。

そして太郎氏は、「なまはげ」などの、原始的な祭りを取材し、「日本人の文
化は「わび・さび」だけだと決め付けがちな風潮に、異議を申し立てた。

千利休が完成させた「わび」の世界は素晴らしいです。しかし、日本人の持つ
世界観はそれだけではありません。バサラと呼ばれるケバケバしい趣味もあり
ました。能の持つ幽玄の世界と、威勢よく神輿を担ぐお祭りと、どちらも日本
の文化です。無駄のない洗練された茶碗と、過剰に装飾された縄文土器とは、
同じくらいのパワーを持っています。現代の日本車は動力学的に無駄のない
スッキリしたフォルムが愛されていますけれど、「デコトラ」もまた、日本文
化の側面なのです。千利休は権力者秀吉に対して恐れずに発言していて、その
姿勢は、岡本太郎とよく似ています。

そして、展示の目玉のひとつである「明日の神話」の元絵ですが、渋谷駅連絡
通路の壁画に、福島第一原子力発電所の事故を思わせる絵を描いたベニヤ板が
貼り付けられていた事件が報じられたのが、ゴールデンウィークの最中の2日
でしたね。私がLegend of Rock ライブイベントのために渋谷駅を通過したのが
4日で、美術展を見に行ったのが7日と、自分にとって連続していたので、とて
もタイムリーな出来事となりました。そのおかげで、段階を経ながら、いろい
ろな考えがめぐったのです。

「明日の神話」は、原爆に焼かれる骸骨の絵ですから、福島原発事故直後に見
た時にはとても恐ろしく感じたのです。5月4日に見たときには、事故後よりも
更に恐ろしい地獄絵に見えて、心が揺れました。しかし、敏子氏の解説文を読
むと、この絵は、悲劇に負けない力強さ、被害に負けないぞという強いメッ
セージが込められているのだそうです。確かに、絵のタッチは活力に満ち溢れ
ていました。だから原発事故の前に見てもそんなに怖く感じなかったのですね。
それが急に恐ろしく見えてしまったのは、震災のショックで自分の心が弱って
いたからなのだと気づかされました。美術館で見た、太郎氏の筆遣いが感じら
れる元絵を見た時には、もう私の中に恐怖心は無くなっていました。

日本人は性格がおとなしくて、自己主張をする勇気もなくて、酷い現実の前で
じっと我慢をするだけの民族ではない。ほとばしる情熱を爆発させる力強さも
あるんだ。昔から何度も、自然災害に打ちのめされては、たくましく復興して
きたのも、「日本人の特性」なのです。みんなの中にそれがあるということを、
教えてくれたのが岡本太郎で、多くの人に今もなお愛され続けている理由なの
だとわかりました。


岡本太郎「明日の神話」詳細については、こちらの公式サイトをご覧ください。
http://www.1101.com/asunoshinwa/

壁画の「いたずら」についてのニュースリンクです。
岡本太郎さん作の壁画にいたずらの絵 原発事故描写か
http://www.asahi.com/national/update/0502/TKY201105020282.html
壁画には元々、「欠けた部分」があるのですが、この画像を見ていると、その
欠けた部分はこうやって新しい事を書き足すために取っておいた余白だったか
のように思えてしまいます。


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http://ameblo.jp/yukko-i4r/entry-11096450496.html



カチンコ補足コラム

年末モードになり、記事の整理をしています。

メールマガジンの転載漏れをフォローしたいのですが、

今年は本当にいろいろありましたね。


今年は岡本太郎さん生誕百年で、いろんなイベントがあったのですが、

思ったほど足を運べず残念でした。



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ロックミュージシャンのステージ写真ほかをお楽しみくださいね音譜