セクシーな料理マンガ
中華一番の精神科医。 これは、4人のドクターたちの日常を描いた愛と情熱の日記です。 |
みなさまおはようございます。ゆうきゆうです。
あなたは、「中華一番」というマンガをご存じでしょうか。
小川 悦司
真・中華一番! (1)
ちょっぴり前に週刊少年マガジンで連載されていた、料理マンガです。
主人公であるマオシンという少年が、中華料理を作っていき、
さまざまな敵と戦っていく、という、まさに「少年漫画の王道」+「料理」とも言える作品です。
実際に料理マンガ、特に料理で勝負をするマンガにおいて一番のポイントは、
「どちらの方がおいしいか」
ということを、分かりやすく読者に伝えるということ。
たとえばマンガの勝負内容が、「芸術」とか「特殊なスポーツ」などなら、我々読者は、普段からあまり接する機会もないはずですので,どちらが勝っても、
「まぁ、そういうもんか」
と思うもの。
しかし食事は普段から食べているわけですので、結果によっては、かなり好みが分かれてきます。
たとえば自分自身の大好物は、ツナとマヨネーズをご飯に混ぜた「ツナご飯」です。
そんじょそこらのフランス料理とかよりずっとオイシイと信じています。
究極VS至高みたいな料理対決で、なんか片方が何らかのフランス料理、
そしてもう片方がツナご飯だったら、間違いなくツナに軍配をあげます。
たとえ世界中の他のすべての人が、もう一方をオイシイと判断しても、そこは譲れません。
こんな風に食事には、個々人のこだわり・好みが大きく関わってきます。
ですので料理マンガで勝敗を納得させるのは、実はかなり難しいことなのです。
「なぜ片方の勝ちか。どうおいしいか」
というのを、明確に説明し、「そういうものだ」と理解させなければいけません。
では、この中華一番はどうなのでしょうか?
このマンガではとにかく「料理のスケールの大きい方が勝ち」という、
きわめて分かりやすい法則があります。
たとえば、
豚一頭を丸ごと包んだ、超ビッグ・シューマイ。
個人的にはものすごい大味になると思うんですが、それでもマンガの中では
絶賛されていました。
さらに、
牛の丸焼きの中に子豚の丸焼きを入れる。
なんだか、とにかくダブルなら2倍おいしいだろう的な発想の料理。
自分はこれを読んで、ハンバーグをステーキで挟んで食べてみたんですがなんだか個別に食べた方がおいしいということを痛感しました。
そして、この料理。
万里の長城で転がして作る、ボール状のチャーハン。
小さい頃、食べ物で遊ぶなと怒られたのを思い出しました。
スケールがデカいことは確かにデカいんですが、個人的には食べたくありません。
そして、さらにこちら。
黒い豆腐と白い豆腐でパンダを作った、パンダ豆腐という料理。
個人的には、お母さんが子供に作るお弁当みたいな感じだと思うんですが、これもマンガの中で絶賛されていました。
とにかくこのマンガの料理勝負を決めるのは、料理のスケール(とかわいさ)です。
調味料の配分とか、熱し方とか、そういう細かい話はほとんど出てきません。
僕もこのマンガを読んで、
「クジラのお腹の中に地球上の全種類の動物を入れて焼き上げる」
という、その名も「ノアの箱船」という料理を考えたんですが、
このマンガの理論で言うと、この料理は究極の味になると思います。
いずれにしても、このマンガの基本は、
論理よりもスケール。大きければ勝つ。
男です。
これが中華。
これこそが中華一番です。
もちろん、それだけでは納得できない読者も出てくることでしょう。
それを強引に納得させるのが、食べた人間のリアクションです。
テレビではレポーターが、食事を口に入れた瞬間に
「ご主人、これはすばらしい!」とか「まいう~~~」とか「味のビックバンやーーー!」
みたいな言葉を連発し、それによって視聴者は「そんなもんか」と思うものです。
食べた人間のリアクションこそが、間接的に味を理解する、重大な要素なのです。
そしてこの中華一番では、テレビレポーターなど比較にならないリアクションが連発されます。
たとえば。
食べた瞬間、汗かきすぎ。
食べた瞬間、竜巻に巻き込まれる。
食べた瞬間、なんかヤバいことしてるんじゃないか的エクスタシー顔になる。
微妙にエロティックですが、男ですから泣けてきます。
個人的に思うのですが。
食欲と性欲って、もしかして通じるものがあるのかもしれません。
ですので、
「性的に満たされた顔をさせれば、食欲を満たされた顔と同じイメージになるのではないか」
ということに気がついちゃった、日本ではじめてのマンガ家さんなのかもしれません。
もちろん女性でも同じです。
食べた瞬間、なぜか胸をはだける。
食べた瞬間、セクシー全開。
もちろんこれはイメージの中での映像なのですが、
いつかこんなグルメレポーターさんに街のラーメンとかを食べて欲しいです。
「と、とろける………!」
みたいなことを言いつつ脱ぐ。ぜひ見たい。
さらに、おいしい表現は続きます。
なんだか、おいしいとかマズいとか以前に、「汚い」と思いました。
そして、極めつけはこちらです。
「もう、息もできない!」
「重力にさえ逆らえない!」
いや、そこは逆らおうよ。
心からそう思いました。
というわけで、料理のスケールと、この試食者たちの圧倒的なリアクション。
このダブルの効果で、読者は強引にでも納得してしまいます。
余談ですが(というかここに限らずすべて余談なんですが)、
このマンガ、おいしいものを食べた人間を表現するのもウマイですが、
マズイものを食べた人間の表情も素敵です。
たとえば、こちら。
手料理を作ったときに、こんな顔されたら、自殺します。
そしてこちら。
なんだか、「お前に言われたくない」という感じです。
いや、なんか雰囲気的に。
もちろんこんなマンガですから、登場する料理人たちも、激しい変態人たちが出てきます。
例を挙げるとキリがないのですが、特筆すべきは、料理の際に、なぜか脱ぐキャラクタ。
個人的には、裸の料理人の料理って、
汗とかが入ってきそうですごくイヤです。
女性の料理人も、料理をする前に、なぜか水浴びシーンなどがでてきます。
うん。
こっちの料理人の料理なら、ぜひ食べたい。
というわけで、素敵な中華料理マンガ、中華一番。
お時間ある方は、読んでみてください。
マンガ的にはストーリーもしっかりしていて、とても面白い作品です。ぜひ。
ちなみにいつかお時間あれば、ツナご飯を食べてみてください。
味は保証します。たぶん。
↑ ツナご飯を食べているときの自分。
小川 悦司
真・中華一番! (1)