つい先日、紅葉のレストラン・ベルソー(滋賀・伊吹町)に寄せていただきました。
じつは私の誕生日を祝っていただくため。本当にありがたいことです!
シャンパンとモン・ドールに続き、カキで晩餐がスタートします。
王道、シャブリ・グランクリュと!
琥珀がかった色味。深いあじわいと香り、もう言うことはありません。
伊吹のクレソンのサラダ
下には、かわいい野菜がたくさん隠れています。
ここからはマダムから、パリより一時帰国中の息子さんの松田君に料理人は交代。
大根の中には、カキとイクラが隠れています。
帆立のお皿。手前にはバニラの入ったグレープフルーツのジュレが乗っています。なんておいしいのでしょう!
ヒラメのお皿。秋トリュフがちらり。
松田君の、ロデヴ旅行のときのお土産のワイン(ロデヴ普及委員会の話を回りからたくさん聞かされ、彼も一人で行ってみたそう。マニアックです)。
あれ、この絵、もしかして、ロデヴの町のサン・フラクラン教会なのでは! なんとも感動的です。
しっかり濃いぶどうの味がして、なんだかロデヴを旅行した日々を思い出させます。
牛ほほ肉の煮込み。
しっかり柔らかく、じっくり地味豊かな煮込み。お肉のおいしさが堪能できます。
そろそろおなかも相当にいっぱい!
合わせるのはポイヤック。贅沢、この上なしです。
私にとっての大切な方々が集まってくださること、こんなにもたくさんのおいしいもの、おいしいワインを頂き、楽しい時間が過ごせたこと。また一つ、人生の宝物が増えた気分です。
そして最後に出された、冒頭のデザート。
これは松田シェフの洋梨のタルトです。一口くちに入れた瞬間に、ふわっとその時の味が蘇ってきました。いつ、何のとき食べさせてもらったのかは覚えていません。でも、これはまぎれもなくシェフの味。とても優しい、優しい味です。シェフがここにちらと舞い戻られたかのよう。
昔むかし私が、今よりはるかに何も分かっていなかった頃ですが、シェフとマダムとの料理談義に加えてもらったものでした。懐かしい。
シェフが亡くなって2年と少し。マダムとお嬢さんと息子さんの力でまた新しい風が吹き始めています。一方で松田シェフの味が、ご家族によってゆるぎなく守られているとは、ちょっと涙がでてくるような気分です。ブルターニュのカンペール焼きの、タルトの乗ったお皿も、あのときのまま。
よいご縁を私に残してくださった松田シェフにも、感謝しなければなりません。
言い尽くせぬ感謝の気持ちの夜でした。