テリーヌとタルト・タタン 11月の料理基礎講座にて | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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フランス料理とお菓子の教室を開いています。おいしいものにまつわる話し、教室での出来事など、たくさんお届けします。
 

11月の料理基礎講座にて
11月15日16日

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テリーヌ・ド・カンパーニュ terrine de campagne
田舎風のテリーヌという意味です。テリーヌはそもそもはテリーヌ型(陶製の容器)のことをさし、その容器の中で焼いたものもいつしかテリーヌと呼ばれるようになりました。
そういえば、「テリーヌ型」という言い方はちょっと変です。テリーヌ自体が容器をさすわけですから、これは金閣寺のことをkinkakuji templeといいようなものです。
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さてテリーヌはそもそもお肉の保存のためと、端切れの肉ももれなく使い切るための、狩猟民族の知恵から生まれた料理です。その土地で一番身近に手に入るお肉を使うのが、テリーヌ・ド・カンパーニュなのです。

というわけで、今回は、一番普通に手に入る豚肉と鶏肝を使います。
ただしピスタチオを入れてしまうと田舎っぽくなくなってしまうのですが、色味がきれいでおいしいので、みなさんにはそう断って、使っています。ヘーゼルナッツで作ったほうが田舎風のイメージかもしれません。

アミューズ・ブッシュや立食なら、こんな展開でも。いずれにしろ、ピクルスは必要です。
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主菜は本当は「エイの焦がしバターがけ Raie, beurre noisette」の予定でしたが、残念ながらその日は手に入りませんでした。日本でエイは「たまたま捕れてしまう」魚なのであって、捕りに行く魚ではないらしいのです。使わない日に限って、市場にはたくさん並んでいるくせに、いざ使う日にはないなんて! とても残念です。
というわけで、主菜は
ぼうぼうのポワレ、ブール・ブラン添え rouget grondin roti, beurre blanc
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きれいなホウボウ
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ホウボウは、お腹の下ほうに指のような足のような胸鰭があって、海底を歩くように進むことができるらしいのです。「方々(ほうぼう)」行けるから、ホウボウという名前! 
びっくりするくらい大きな浮き袋を持っています。
フランスではよく売られていて、よくブイヤベースに使われます。


さて料理基礎講座の11月は毎年必ず「ボージョレ・ヌーヴォー」の解禁日にあたります。
今年もお祝い気分でボジョレーを開けます。
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私には例年より若干薄く感じられましたが、花や赤い果物の、ものすごくよい香りがします(これをガメイ種のキャンディ香と呼ぶのだそう)。本当にこれは天然なのか!?と思うほどの強い香りがあります。

この解禁日、パリはビストロもカフェも、ボージョレ一色になり、飲めや踊れの大騒ぎになります。老いも若きも関係なし! かなり楽しい一晩なので、この日にパリにいるのはオススメです(ちなみにクリスマスやお正月にパリにいるのは、よしたほうがいいのです)。
チーズは、ちょっとお遊び的ですが、ボジョレのコンフィを中心に詰めたチーズです。ほんの少し甘い香りがします。

デザートはタルト・タタンTarte Tatin
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りんごをバターと砂糖でキャラメリゼさせ、オーヴンでじっくりと火を入れます。
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ブリゼ生地をのせて、さらにもう一焼き。
ひっくり返したら出来上がりです。ヴァニラアイスを添えて、温かいところを頂きました。
甘くて酸っぱくて、そろそろ冬がやってくることを実感しつつ。

ラ・モット・ブーヴロンLa motte beuvron(ソローニュ地方)に行けば、今も発祥のオテル・タタンHotel Tatinで食べることができます。
それはそれはとても楽しい経験です。パリからそう遠くありませんので、この小旅行はおすすめです。機会があればぜひ!



プチフールには種なしピオーネを使って、ぶどう飴を作ってみました。
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冷たいピオーネに飴がけすると、かりっと、じゅわっが同時に楽しめ、想像以上においしいものに。ちょっとした驚きでした。