鶏のフォン fond de volailleの取り方 | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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フランス料理とお菓子の教室を開いています。おいしいものにまつわる話し、教室での出来事など、たくさんお届けします。
 

料理講座の皆様に向け、フォンの取り方を解説します。

*仔牛のフォン、鶏のフォン、魚のフュメは、それぞれ時間がかかるため、授業と平行して作るということがなかなか難しいものです。そこで通常は私が先に取り、冷蔵・冷凍保存したものを授業では使っています。基礎講座2年の間にすべての方に少なくとも1回は直にご覧いただけるように考えておりますが、それまでのつなぎとしてご利用ください。

鶏のフォン fond de volailleの取り方

1 L environ/約1L分
1kg carcasses de volaille 鶏ガラ、手羽 1kg(約3羽分)
100g carottes にんじん 100g(1/2本)
50g oignons + 1 clou de girofle 玉ねぎ 50g(1/4個)
 +クローヴ1個
1/2 blanc de poireau ポワロー 1/2本
2 gousses d’ail にんにく 2かけ
1 branche de céleri セロリ 1本
2 L d’eau 水 2L
1 bouquet garni ブーケ・ガルニ 1個
10 grains de poivre blanc 白粒胡椒 10粒

1. できれば地鶏のガラを準備します。ブロイラーとはできあがりの香りも違いますが、コラーゲンの溶出量に違いがあるのか、ぶるんぶるんの度合いがあきらかに違うのです。コラーゲンの多くでたフォンはうまみやまろやかさが強く感じられます。



2. 時々水を変えるか、あるいは丸ごとを流水にさらして充分に血抜きをします。本当は「脂や内臓をよく取り除き、ぶつ切りにして水にさらす」が正解ですが、家庭で大きな包丁を振り回すのは大変すぎますから、私は順序を少し違えて作ります。
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2. 鶏ガラにかぶる程度の水を入れ、ゆっくり沸騰させます。いったん湯を捨て、鶏ガラをよく洗います。
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内臓や血管を丹念に取り除き、水でよくよく洗います。この丁寧さが、あとあとのアクの少なさにつながっていきます。

3. これを手でばりばりと割っていきます。
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まず首をはずし、背中の途中、骨盤と割ります。いったん茹でたものは包丁を使わずに楽に分割することが可能です。ただし首はそのままの長さに(後で必要になります)。

4. 香味野菜、ブーケ・ガルニ、白粒胡椒を準備します。つぎにまず水を、最終的に取れるであろう量(つまり1リットル)だけ加えます。そして煮上がりの水位を自分の目で「このくらい」と確認します。つまりここまで煮詰めたらだいたい適正値という目安を先に知っておくということです。
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5. 残りの水を入れ、ゆっくりと沸騰させます。沸いたら弱火にして煮ます。ぶくぶくに沸騰させると濁るので、ふつふつくらいに。ぼこぼこに沸かし続けると、材料から溶け出した脂肪が小さい粒子となってフォンの中に分散するから濁るのだそうです。
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(といいながら、ちょっと目を離した隙に、今回はぼこぼこに沸かしてしまいました・・・。先が心配)

6.
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そのまま2時間~2時間半ほど煮込みます。よくアクをすくいながら。



7. 煮上がりの目安は、首で確認します。
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トングで持ち上げて、するりと途中から抜けるような感じになったら終了です。これ以上煮ると、雑味がでてきます。


8. 
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シノワで漉します。濁りのもとになるので、押してはいけません。



9. できあがり!


10. もし浮いている脂を効率よく取りたかったら・・・
粗熱が取れたらラップをぴったりと表面につけて、一晩冷蔵庫に入れます。
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翌朝ラップをはがすと、べろんと表面の脂が一気に取れてくれます。うまくいくと非常に実用的、かつ感動ものです。
ただしそもそもの脂の量が多いと、うまく行きません。


11. 翌日のぶるんぶるんのフォン
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冷蔵庫で2.3日。あるいは密閉できる保存袋に入れて冷凍します。


ブレスや名古屋コーチンなど上等の鶏をローストにしたときは、残ったガラも大切なものです。水を加えてもう一度煮出せば、おいしいフォンが取れます。あるいはお腹の詰め物(タイムやローリエ)を完全に取り除き、白ねぎや生姜を入れてだしを取れば・・・、おいしいラーメン・スープに変身します。