侑士 チョ~SS ⑤ | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言



カーテンの隙間から差し込んだ微かな光が瞼を照らし、ゆっくりと目を開いた。


目の前には規則正しい寝息を立てるトモの顔があって、

腕の中にはトモの温もりがある。


幸せなその目覚めに笑みを零しながらトモの額にキスを落とし、

まだ夢の中のトモを起こさぬように、ベッドから起き上がった。



ひんやりとした空気が素肌に触れて、肌寒さを感じる。

秋も深まり、そろそろ冬も近い。


こうやって季節の巡りを何度数えてきたことだろう・・・?

長くもあり・・・あっという間だったようにも思う。


そんな感傷的な事を考える自分をおかしく思いながら、

手近にあったシャツを羽織り、そっと寝室を後にした。







薄暗いキッチンに明りを灯し、ポットを火にかける。


ペーパーフィルターの端を折り、ドリッパーにセットし、

それからコーヒー豆入った瓶の蓋を開け、豆をミルにかけた。

粉になったコーヒーをフィルターの中へと入れ、沸いたポットからお湯を注ぎ込む。

辺りにコーヒーの香ばしい香りが広がり、今更ながらに朝の訪れを感じた。


朝が弱いトモの為に、こうやってコーヒーを入れるのが俺の日課。

すっかり手馴れてしもうて、目を瞑ってでも出来るんやないかと思うほど・・・。


けどそれさえも幸せで、自然とこぼれる笑みを唇に浮かべながら

カップにコーヒーを注いだ。



湯気のたつカップを持って寝室に戻り、布団に少し隠れたトモの唇にキスを落とす。


ゆっくりと開く瞼の向こうから、まだ虚ろな瞳が覗いた。




「おはようさん。」

「ん・・・・・おはよ・・・・」




そう言いながらも、やっと開いた瞳がまた瞼に隠れていく・・・・・


ほんまに手のかかるやっちゃで・・・


今度はさっきより長めなキスで、トモの目を完全に覚まさせた。




「いつかこうやって俺も起こして欲しいんやけどなぁ・・・・。」

「うぅ・・・・ごめん・・・・。」




トモのキスで目覚められたら、それはそれで幸せやろう。


けど、トモの為にコーヒーを入れて、俺のキスで目覚めさせる。

そんな朝も、これ以上のない贅沢な朝やと思う。



もそもそと布団から上半身だけを這い出させながら、サイドボードに置いたコーヒーを飲むトモに、


「零さんようにしーや」


と、声をかけてクローゼットへと向い、コーヒーを飲む音やカップを置く音、

そして布団の衣擦れの音をBGMに俺は出勤準備を始めた。








「ほな、行って来るわ。」




まだ寝癖の付いた髪をクシャリと撫で、今日3度目のキスを軽く交わしドアへと向う。


その背に「侑士」と甘い声がかかった。



振り向いた先には、シーツを身体に巻きつけ包まりながら

朝日を浴びて微笑むトモの笑顔があった。




「行ってらっしゃい。」

「行ってきます。」




俺達の1日が始まる――――






シーツにくるまる君



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鴨でこんな話もっちゃん書いてたような・・・

かぶってたらごめん。

まぁキャラ違うからいいっしょ?ww



はい!!

侑士 チョ~SS祭りおしまい!!



あんま甘さのないSばっかでしたがMっ子魂を揺さぶることは出来たのでしょうか?(笑)




最後にもう1度。

このお題はBLUE TEARS 様というサイト様から頂いてきました。