カーテンの隙間から差し込んだ微かな光が瞼を照らし、ゆっくりと目を開いた。
目の前には規則正しい寝息を立てるトモの顔があって、
腕の中にはトモの温もりがある。
幸せなその目覚めに笑みを零しながらトモの額にキスを落とし、
まだ夢の中のトモを起こさぬように、ベッドから起き上がった。
ひんやりとした空気が素肌に触れて、肌寒さを感じる。
秋も深まり、そろそろ冬も近い。
こうやって季節の巡りを何度数えてきたことだろう・・・?
長くもあり・・・あっという間だったようにも思う。
そんな感傷的な事を考える自分をおかしく思いながら、
手近にあったシャツを羽織り、そっと寝室を後にした。
薄暗いキッチンに明りを灯し、ポットを火にかける。
ペーパーフィルターの端を折り、ドリッパーにセットし、
それからコーヒー豆入った瓶の蓋を開け、豆をミルにかけた。
粉になったコーヒーをフィルターの中へと入れ、沸いたポットからお湯を注ぎ込む。
辺りにコーヒーの香ばしい香りが広がり、今更ながらに朝の訪れを感じた。
朝が弱いトモの為に、こうやってコーヒーを入れるのが俺の日課。
すっかり手馴れてしもうて、目を瞑ってでも出来るんやないかと思うほど・・・。
けどそれさえも幸せで、自然とこぼれる笑みを唇に浮かべながら
カップにコーヒーを注いだ。
湯気のたつカップを持って寝室に戻り、布団に少し隠れたトモの唇にキスを落とす。
ゆっくりと開く瞼の向こうから、まだ虚ろな瞳が覗いた。
「おはようさん。」
「ん・・・・・おはよ・・・・」
そう言いながらも、やっと開いた瞳がまた瞼に隠れていく・・・・・
ほんまに手のかかるやっちゃで・・・
今度はさっきより長めなキスで、トモの目を完全に覚まさせた。
「いつかこうやって俺も起こして欲しいんやけどなぁ・・・・。」
「うぅ・・・・ごめん・・・・。」
トモのキスで目覚められたら、それはそれで幸せやろう。
けど、トモの為にコーヒーを入れて、俺のキスで目覚めさせる。
そんな朝も、これ以上のない贅沢な朝やと思う。
もそもそと布団から上半身だけを這い出させながら、サイドボードに置いたコーヒーを飲むトモに、
「零さんようにしーや」
と、声をかけてクローゼットへと向い、コーヒーを飲む音やカップを置く音、
そして布団の衣擦れの音をBGMに俺は出勤準備を始めた。
「ほな、行って来るわ。」
まだ寝癖の付いた髪をクシャリと撫で、今日3度目のキスを軽く交わしドアへと向う。
その背に「侑士」と甘い声がかかった。
振り向いた先には、シーツを身体に巻きつけ包まりながら
朝日を浴びて微笑むトモの笑顔があった。
「行ってらっしゃい。」
「行ってきます。」
俺達の1日が始まる――――
シーツにくるまる君
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鴨でこんな話もっちゃん書いてたような・・・
かぶってたらごめん。
まぁキャラ違うからいいっしょ?ww
はい!!
侑士 チョ~SS祭りおしまい!!
あんま甘さのないSばっかでしたがMっ子魂を揺さぶることは出来たのでしょうか?(笑)
最後にもう1度。
このお題はBLUE TEARS 様というサイト様から頂いてきました。