少子化問題や、年金問題、財政問題などで将来のこと考えると暗いムードとなる日本。しかし、日本列島の地下には、CO2を排出しない膨大なクリーンエネルギーが眠っています。

以下、中日新聞の記事抜粋です。
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日本はもっと地熱発電を 米国の環境学者 レスター・ブラウン氏提言
http://megalodon.jp/2008-0624-0418-23/www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2008062302000111.html
2008年6月23日

 日本のエネルギー自給率は10%未満。原油高騰が続くなか、国産のエネルギー資源開発が求められている。世界的な環境学者レスター・ブラウン氏は「火山が多い日本は世界有数の地熱資源大国。もっと地熱発電を活用するべきだ」と提言する。地熱発電はCO2排出量も少ないクリーンなエネルギーだ。 (草間俊介)

 「日本は地熱発電で国内電力の半分、もしかして、全部を賄えるかもしれない」

 今月上旬、米アースポリシー研究所長でもあるブラウン氏が上智大主催、環境文化創造研究所協力の講演でこう強調すると=写真、会場から驚きの声が上がった。

 地熱発電は、地熱で発生した蒸気でタービンを回して、電気エネルギーを取り出す仕組み。

 日本では現在、九州、東北地方を中心に十八カ所の地熱発電所がある。最大は大分県の八丁原発電所で十一万キロワット(発電認可出力)で、十八カ所の年間総発電量(設備容量)は約五十四万キロワット。原発一基のほぼ半分で、全国の年間発電量(同)の0・2%にあたる。この数字は一九九六年からほぼ変わっていない。

 ブラウン氏の提言の背景に、地熱発電に対する日本の消極的な姿勢がある。日本の地熱技術開発費は一九八二年をピークに減少を続け、二〇〇三年以降はゼロ。

 日本が開発から事実上撤退した理由として、地熱資源(熱水層)の八割は、開発が難しい国立公園内に存在することがある。加えて温泉所有の観光業者からの強い反対で、開発が頓挫してきた経緯もある。

 一方、CO2削減運動の高まり、原油高などから米国、インドネシア、フィリピン、アイスランドなどが地熱発電開発を加速。地熱資源に恵まれていないドイツ、オーストラリアも本腰を入れ始めた。「世界の主要地熱資源国で停滞しているのは日本だけ」(産業技術総合研究所=茨城県つくば市)という。地熱発電のCO2排出量は火力発電の約二十分の一。風に依存する風力、天気に左右される太陽光、雨量の季節変動が大きい水力などの自然エネルギーと比べても、安定的な供給が可能なことから地熱発電が評価を高めている。

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 ブラウン氏のいう「全電力を地熱で」は可能なのか。

 同研究所の地熱資源研究グループ長の村岡洋文さんらの研究では、(1)現在の地熱技術で、日本で開発可能なエネルギー量は年間2347万キロワット。全電力の8・6%を賄える(2)さらに深部の地熱資源を利用できる技術開発で、22・7%に上がる(3)「どんなに早くても開発に五十年はかかるが」(村岡さん)マグマ熱を直接使えるようになると、全国電力需要の三倍近くを賄える-という。

 ただし「すべて開発できたとして」との前提による推計。膨大な研究開発費を要することから、実現できるかどうか分からない。

 一方、地域電力として活用する方法も模索されている。村岡さんらはベンチャー企業の協力で、五三度以上の捨てられている温泉水や工場排水を使うミニ発電施設を研究している。

 ちょっとした温泉宿泊施設の電力が賄える五十キロワットの発電が可能になる。「早く試作機をつくり、三千万円程度で販売したい。すでに各地の温泉から引き合いが来ている」という。

 ブラウン氏の提言について、村岡さんは「日本のエネルギー自給率は低く、純国産の再生可能なエネルギー資源の開発が必要だ。風力、太陽光などに加え、地熱も進めたほうがよい。その意味で、ブラウン氏の主張は、正鵠(せいこく)を得ている」と話す。

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日本には世界の活火山の9%が集中していると言われています。温泉も各地に豊富にあります。そう、日本は世界有数の地熱資源大国なのです。マグマ熱を利用した地熱発電が実用できれば、電力エネルギー自給率300%というのは、火山国ニッポンならではの話です。

しかし、現実的には、実用化が進められている深部の高温岩盤の地熱を利用した発電で電力需要の10%-20%を自給することができるかどうかのようですが、それでも現在のエネルギー自給率を大きく押し上げます。

地熱発電といえば、高温の温泉水の蒸気を利用して発電する方法が実用化されています。日本は名実ともに温泉大国ですが、実際の地熱発電量は世界第5位で、2位のフィリピンの半分以下です。日本では観光業界から温泉の湧水量が減少するなどの懸念から反対されたり、国立公園内に温泉資源が集中しているなどの理由から進んでいません。

日本近海にはメタンハイドレートという天然ガス資源が豊富に眠っており、天然ガス資源大国でもあります。メタンハイドレートの埋蔵量は天然ガス換算で7.35兆m³(日本で消費される天然ガスの約96年分)と言われています。北海油田の開発はイギリスの財政再建に大きく貢献しましたが、日本の場合も将来メタンハイドレートと地熱エネルギーが貢献してくれるかもしれません。