誰も教えてくれない、失敗しないDV法の使い方 | 法律でメシを食う35歳のブログ~露木幸彦・公式ブログ~

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1980年生。国学院大学卒。行政書士・FP。金融機関では住宅ローンのトップセールス。離婚に特化し開業。年間相談件数は1,500超。離婚サポートnetの会員は1万人と日本最大。マスコミ掲載多数。読売、朝日、日経各新聞、テレビ朝日「スーパーJチャンネル」等。

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◆ 2月4日、静岡放送、生出演が正式決定しました。◆

当日は気になる新聞記事にコメントしたり、最新の離婚関連情報をお伝えします。
今のところ、改正DV法、4月から変わる年金分割のお話をする予定です。
少し先の話ですが、お楽しみに。



今回の改正は、総入れ替えではありません。
法律の1文1文すべてが改正されたわけではありません。
改正されたのは大きく2つです。


1.何を取り締まるのか
2.誰に対する暴力を取り締まるのか
の2つです。


では順番に見ていきましょう。

1つ目は「何を取り締まるのか」です。


DV法の取り締まりとは、接近禁止命令です。

加害者が被害者に対し、最大6ヶ月間、その住所に近寄ることを禁止します。
この命令に背いて、嫌がらせを復活させた場合、50万円の罰金刑が課されます。



今までの法律では、保護の対象は「身体的暴力」だけでした。

具体的には相手から殴られて肋骨にヒビが入った、顔にアザができた
2階から突き落とされた、など。
文章で書くのもシンドイくらいの事件です。



今までの法律の問題点は
見た目に分からない程度の怪我はどうなるのか、です。


どの程度の怪我なら「身体的暴力」とみなされるのか?



ご存知のように、このような場合、証拠が大きなウエイトを占めます。
証拠があれば法律は適用されるし、証拠がなければ適用されません。


怪我の証拠を証明するもの、それは診断書です。
病院に行き、担当医に診断書を書いてもらう必要があります。


医者が「裁判所に提出する目的で」診断書を書いてくれれば
この法律を使うことができます。



診断書のある、ないで全く状況が変わってきます。
診断書はどんな病気怪我でも必ず発行されるものではありません。


この法律を熟知していて、初めて病院にかかったとき、
診断書を書くようお願いできれば問題ありません。
ただ、そこまで用意周到な人は世の中にはいません。


ほとんどの場合、実際に暴力を振るわれ、怪我を負い、治療が終わった後で
この法律のことを知ります。


そして「もう1度、暴力を振るわれたら困る」という理由で
医者から診断書をもらおうとします。
怪我が完治した後ですと、医者が診断書を発行する保証がありません。


診断書がないがあまり、DV法が適用される状況であっても
実際には適用できない、というケースが多くありました。



しかし現実的には明らかに分かるような怪我を負うことは稀です。
ほとんどの場合は、喧嘩の末の暴言や脅迫行為です。


具体的には包丁を突きつけられた、人格を否定するような言葉を言われた
家中のものを投げつけられた、など。



この状況で駆け込むとどうなるでしょうか?



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裁判所や警察、市役所の無料相談に出向くと、
こんな対応をされます。

「診断書がないとダメだね」と軽くあしらわれてしまいます。

なかには「もう1度殴られて、診断書が出るくらいの怪我を負ってきなさい」と
他人事のようなアドバイスをする方もいます。

私は毎日のようにこんな話を耳にします。



暴言によって受けた恐怖感、嫌悪感は診断書に書くことはできません。
診断書に書くことができるのは、医学上、
病名がついているものに限られます。


恐怖感、嫌悪感を受けていることが確かだとしても
それを診断書に反映させることができません。
その結果、暴力行為を受けていても、
法律が適用されることはありませんでした。



今回の法改正で身体的暴力に加え、
「精神的暴力」も保護の対象になりました。


身体的暴力は上記のように、診断書が必要となり、ハードルが高いです。

一方「精神的暴力」というのは包丁を突きつけられた、
人格を否定するような言葉を言われた
などの行為も該当しますから、
保護の対象が一気に拡大したことになります。




◆ いざDV法を使い、逃げ込もうというとき
これからは「ああ、診断書、診断書」と慌てふためく必要はありません。◆



当事務所の相談件数の統計をとったところ
「身体的暴力」と「精神的暴力」の割合は
ちょうど5:5でした。

今回の改正で、保護される対象は大雑把ですが、
2倍に増えたことになります。



ただもちろん、何も知らなければ、保護されることはありません。


現状、暴力暴言を受けるような状況になくても
いざそういった危機的状況に陥ったときのことを想定し
どこからどこまでが対象になるのか承知しておくことです。


そうしないと、被害を受けた場合、何をして良いのか分からず
暴力をずっと我慢し続けることになります。



少し長くなりましたので、今回はこのあたりで。


次回は「浮気相手を叱ったらDV法で取り締まられるのか」と
いうお話をします。