「愚行録」このお話、最後にゾッとしました。人間の奥底にある泥沼を覗いてしまったようです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「愚行録」の試写会に連れて行って貰いました。

 

ストーリーは、

ある時、エリートサラリーマンの一家が殺害され、世間を震撼させる。犯人が見つからないまま1年が過ぎ、改めて事件を追おうと決意した週刊誌記者の田中は取材を始める。関係者へのインタビューを通して、被害者一家や証言者自身の思いがけない実像が明らかになっていき、事件の真相が浮かび上がってくる。

というお話です。

 

 

週刊誌記者の田中は、1年前に殺されたサラリーマン一家の事件を再度、取材したいと編集長に願い出る。その事件は、犯人が捕まっておらず、謎のままの事件であり、丁度、1周年ということで、掘り下げてみたいという事だった。編集長はやってみろと話すが、周りが納得しない。すると編集長がコッソリと、アイツは妹が子供の虐待で逮捕されてダメージを受けているから仕方ないんだと話します。

 

 

田中の妹は、幼児虐待というか育児放棄で娘が死にそうになり、直ぐに娘は入院、彼女は逮捕されて裁判を待つばかり。そんな妹を弁護士と一緒に訪ねる田中は、妹の子供の父親は聞いていない。妹は父親に性的虐待を受け、俺は暴力を振るわれていたと告白します。弁護士は妹さんを助けられるよう努力しますと話して別れます。

 

事件の取材に周り始めた田中は、殺されたサラリーマンの友人に話しを聞くと、それなりに悪い事はしていたけど、あんな殺され方をするような奴じゃないと話し、普通の男だった事を確認する。彼の以前付き合っていた女性や友人などの話を一通り聞きまわり、次に、妻の方の取材を始めます。

 

 

サラリーマンの妻は、良く言う普通の女性であり、大学時代の友人に話しを聞くと、綺麗で優しい人に見えたけど、残酷な人だったような気がすると言う証言が出てくる。その大学は、付属高校から上がって来る生徒と大学受験で入ってくる生徒が同じキャンパスになるのだが、彼女は受験で入って来たにも関わらず付属からの生徒と仲良くして貰うことが出来て、他の子を見下す感じが見れたらしい。そして「ある女子が彼女に利用されて酷い仕打ちを受けて、学校に来なくなったと思う、あまり覚えていないけど、確かに居たことを覚えている。」という証言を受ける。

 

 

取材を受けて、資料をまとめ、記事にし始めますが、そんな時、サラリーマンの妻の友人から電話が入り、妻に酷い仕打ちを受けた女子の名前を思い出したので来て欲しいと話します。田中は、直ぐに荷物をまとめて、彼女のやっているカフェへ急ぎ、彼女に会い、そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

この映画、面白い!私は、凄く面白いと思いました。原作は、証言者の証言だけで描いて行くらしいのですが、私は読んでいません。でも、この映画、面白くて、凄く上手いなぁと思いました。原作が良いのか、映画の作り方が良いのか解りませんが。でも、一番最初に出てきた場面(バスでのやり取り)の違和感が、ラストでガッツリ解るんです。人間って、そういうもんだよね。正義感を振りかざしながら、相手を傷つけている。そういうもんなんです。バスでの田中の対応、凄く解ります。私も、こんな事があったらやってやりたいかも。こういう正義感を振りかざす奴、潰したくなるのよね。あ、ゴメンナサイ、私の毒が出てしまいました。

 

 

それにしても、最後でゾ~っとしました。愛する人を守る為ではあっても、そこまで出来るんだと思うと、既に人間では無い何かのように見えてしまいました。ラストに、全ての謎が解けるのですが、あまりにも衝撃過ぎて、これこそ息を呑むというのかなと思いました。別に、ハッキリいう訳では無いですよ。あ、もしかしてこういう事なのねっていうのが想像出来て、ゾッとするんです。

 

でもね、こういう事って、結構、自分の周りにもあると思うんです。自分では、悪い事をしているという感覚が無くやっていることが、凄く人を傷つけているってあるでしょ。自分は忘れてしまっても、相手はそれを忘れない。復讐されても仕方のないことって、この世に沢山あるのかも知れません。そして、それを隠してくれている家族もいるのかも知れない。そこに強い憎しみがあり、強い愛があるのは、人間だからこそなのでしょう。やっぱ、人間って面白い。でも、怖ろしい。

 

 

この映画は、言葉では上手く伝えられません。観て頂くのが一番。凄い映画だと思います。その中でも、やっぱり、妻夫木さん、マジで上手くなりましたねぇ。驚くほど上手いと思いました。先日、演劇「足跡姫」を観てきたのですが、そちらの妻夫木さんのイメージとは程遠い、暗くてドロドロしたものを内包している男性が、この映画の中には生きていました。その役にハマって、自分を埋め込んで演じているようで、そこに”妻夫木”という男性は居なくて、”田中”という男が生きているんです。いやぁ、怖かった。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めなのですが、とても宣伝が地味だし、内容も衝撃的なので、あまり大きくロードショーしていないようですね。こんなに面白いのに、勿体無いです。でも、子供には大人のドロドロの世界を見せたくないし、仕方ないのかな。でも、これ、大人は観るべきだと思います。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

愚行録|映画情報のぴあ映画生活