舞台「イヌの日」を観てきました。
ストーリーは、
高校を卒業後、進学も就職もせずに悪友たちと遊び暮らす広瀬幸司。部屋には、同級生だった中津や九頭、陽子がたむろし、陽子は明夫が居なくなったけど知らないかと聞いてくる。誰も知らねーよと言い、またダラダラとした時間を過ごす。警察官の九頭が、そう言えば、何年か前にこの地域で4人の子供が行方不明になって、解決していないんだよなぁと話しだす。明夫も同じように神隠しなんじゃねーのと笑っているのだが、中津だけは、何故か笑わない。
そんなある夏の始め、仲間の1人である中津正之が、広瀬に頼み事をします。そして裏山にある防空壕へ広瀬を連れて行くと、その防空壕の中に4人の男女が普通に生活をしていました。はぁ?と思う広瀬に中津が、実は、まだ子供の頃に、ここに4人を閉じ込めたんだと告白する。そして、ずーっと大人になるまで、中津が彼らの生活の面倒を見てきたと言うんです。
中津が大きな商売をする為に留守にする間、この4人の面倒を見てくれと言うのが頼みでした。大金に釣られ、安請け合いした広瀬でしたが、その4人は、外部は大気汚染などでボロボロになっており、自分たちを守ってくれるために、この場所に匿ってくれていると信じ込んでいるんです。そして、閉鎖された空間に長い間住んでいた彼らは、不思議な植物を食べる事によって、正気を保っていました。そして・・・。後は、舞台を観て下さいね。
この話、凄い話なんです。まさか、こんなにSFっぽくて、奥深い話だとは思わずに観に行ったのですが、面食らいました。この脚本は凄いっす。面白いなぁ。
ある日、突然に世界が壊れるからとか言われて、穴に閉じ込められてしまったら、まして1人では無く、4人くらいで閉じ込められたら、そこで協力して生きていこうって、人って思うんですよね。すごく理解出来ました。でね、結構、1人だと疑うんだろうと思うけど、4人も一緒だと、疑うよりも、信じてしまって、そこに順応して行くと言うのが、とても人間的というか、こうなるんだろうなぁと思えてしまいました。なんか、恐いですよね。
そして、彼らの面倒を見ている中津は、自分で閉じ込めておきながら、その支配者というか、親のような気持ちになって、彼らを見ていたのではないかと思いました。閉じ込めた方と、閉じ込められた方、どちらも、お互いに依存しあっているんです。中津はその罪の意識も持ち、防空壕の4人は、自分たちだけ害の無い場所に入って、中津に恐ろしい外から食べ物を持ってこさせているという申し訳なさを持っていて、何とも言えない気持ち悪さがあるんです。このイヤ~な感じは、ぜひ、みなさんにも見せてあげたいなぁ。
こんな凄い脚本こそ、映画化するとかすれば良いのにねぇ。まぁ、内容的に単館系の映画になるんだろうけど、面白いものが出来そうだけどなぁ。
私は、この舞台、超!超!お薦めなのですが、既に、終わってしまいました。でも、これだけ良い脚本なので、また舞台の再演が在るのではないかと期待しています。これは、面白いです。もし、また演るようでしたら、ぜひ、観に行ってみて下さい。
イヌの日 https://twitter.com/inunohi_2016