【演劇】「レディエント・バーミン」人の欲望は留まる所を知らず、悪魔はそこに付け込むんです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

舞台「レディエント・バーミン」を観てきました。


ストーリーは、


現れた若い夫婦は、自分たちが「オリー」と「ジル」だと名乗り、「私たちはいい人です。」と少し遠慮がちに話し始める。彼らが語るのは「夢の家」の話だ。


貧しくとも善良に生きるオリーとジル。

結婚した2人は早速子供を授かり、ジルは妊娠していた。幸せな日々の中に、一抹にじんでいるのは将来の不安。彼らが暮らす街は、住人も治安も平穏とは程遠い環境だった。


そんな時に届いたのが、役所からのものらしい一通の手紙。ミスDと名乗る差出人は、2人に「家を差し上げます。」と言う。


レディエント

翌日、半信半疑ながら乗り気のジルの先導で、夫妻はミスDの待つ「家」へと赴く。2人が目にしたのは廃墟すれすれの古い家。だが、現れたミスDは、2人のセンスを器用さを讃え、「きっと素晴らしい家にリフォーム出来ます。」と言い、契約を交わさせます。


翌日。早速家に越して来た2人は、その夜、周囲の丘に居たホームレスの侵入に遭遇する。それは最初、予期せぬ事故、罪なき罪のはずだった。だが命が一つ失われた時、「家」は驚くべき魔法の力を発揮する。


たちまち「家」の魔法に夢中になる2人。罪は加速し、「家」は、「街」は、変貌を遂げていく。だが「夢の家」が完成を目前にした時、2人の前には新たな問題が立ちはだかり・・・。


というお話です。


この舞台、まるで客席と舞台が一体化しているような、面白い舞台でした。まず、オリーとジルが出てきて、今、どうしてその家に住んでいるのか、どうやってその家を手に入れたのかという説明を始めます。彼ら夫婦は、それ程、多い稼ぎでも無かったので、治安の悪い場所に住んでいたんです。でも、ジルが妊娠をして、子供を治安の悪い地域で育てるのを不安に思っていたんですね。そんな時に、突然、役所から手紙が届いて、家を差し上げますって言われるんです。

レディエント

ちょっとあり得ないお話なんだけど、まぁ、お話だからね。でね、その担当者が、ミスD。そう、ここでこの”D”というのが問題になってきます。Dと言えば、デビル、デーモン、等々、あまり良い響きは聞こえてきません。そんなミスDに家を貰います。


住み始めると、近所は、まだ開発前の住宅地であり、ホームレスの姿がちらほら見えます。2人は恐いと思いながらも、大きい家を無料で貰えたんだからと、ガマンして住み始めます。すると、ある日、そのホームレスの1人が、夜中に家に侵入してきます。驚いたオリーは、身を護る物を持って、侵入したと思われる場所へ行くと、ホームレスと遭遇し、弾みで殺してしまいます。どうしようと思っていると、死体が光り始め、その光が消えると、何故か、死体が無くなり、家が美しくリフォームされているんです。


これ、映画を沢山観ている人は、あれ?と思うと思いますが、その昔、邦画の「ハウス」、洋画の「モンスタ・ハウス」という映画に似てますよね。まぁ、あれは、家が人を食べるんでしたが、雰囲気としては、似ているかなと思います。


でも、ちょっと違うのが、このオリーとジルは、最初は驚くのですが、段々とリフォームって、ホームレスを殺してやるものだと理解してしまった様子になり、そこに罪悪感は一切無いんですよ。ここら辺が、とっても面白くて、ブラックユーモアという所なんですけどね。人を殺して、家がキレイになって、その死体も消えてしまうのなら、自分たちが捕まる事は無いでしょ。だから、それを罪とは思わなくなっちゃうって、凄くありませんか?ホームレスの命と、人の命というものが、イコールじゃなくなってしまったんじゃないかなって思うんです。まるで、ゴキブリや蟻を殺すような、そんな気持ちなんじゃないかしら。


レディエント

人間の欲って凄いでしょ。自分たちの生活が良くなって行く為に、ホームレスの命が必要なら、別に殺したってイイじゃんって思ってしまうんですよ。あっけらかんと、リフォームしてしまう訳です。ホームレスだって、人間なのにね。人の命なのにね。


悪魔は、何処にでも居ます。もちろん、誰の心の中にも居るんです。悪魔が首をもたげてきたら、自分の天使の部分で対抗して下さい。罪は罪です。誰が何と言っても、命を消してしまう事は大きな罪だし、自分の欲の為に人を犠牲にするなんて、合ってはいけない事なんです。そんな恐ろしさを描いている、とても面白い舞台でした。この脚本、面白いですね。もちろん、演出も白井さんでしたので、とても美しかったです。


高橋さんと吉高さん、舞台と客席を一体化して下さって、とても楽しく観る事が出来ました。私、今回も最前列だったので、すぐ前にお二人が来てくださって、楽しかったな。そして、やっぱりキムラ緑子さんが素晴らしかったです。ミスDなのですが、普通の役人のように見せておいて、ニヤッと悪魔の表情を見せるところが、何とも、緑子さんならではの上手さだなと思いました。やっぱり、彼女が居てくれるからこそ、舞台がギュッとまとまり、緊張感が生まれるのかなと思いました。素晴らしいです。


レディエント

私は、この舞台、超!超!お薦めしたいと思います。が、チケットは完売なので、もし、手に入るようでしたら、行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




レディエント・バーミン   https://setagaya-pt.jp/performances/20160712radiant.html



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