【演劇】「木の上の軍隊」 井上ひさしさんが最後まで書こうとしていた作品を蘇らせ上演。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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舞台「木の上の軍隊」を観てきました。井上ひさしさんが、最後を迎えるまで、書こうとしてメモや資料を集めて、準備していた作品を、ホリプロとこまつ座が共同で演劇として蘇らせました。井上さんが、最後まで、この話は書かなければと話していた沖縄での敗戦の話です。


ストーリーは、

2010年に他界した劇作家の井上ひさしが最後まで書こうとした「木の上の軍隊」。

それは、戦中戦後、2年の間ガジュマルの木の上で生活した兵士の物語だった。書くことが叶わなかったその思いを、井上ひさしを知り尽くす栗山民也の演出で、新鋭、逢菜竜太が書き下ろす。
ここにあらたな物語が生まれる・・・。
というお話です。

ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-木の上の軍隊


面白おかしく書いてはありますが、深くて悲しい話だと思いました。沖縄は、今も、米軍基地のほとんどを引き受けてくれていて、まだ、敗戦を引き摺っているように思えます。沖縄で生まれ育った人々は、いつまでガマンしたら、自分の土地だと思える日が戻ってくるのでしょう。申し訳ないけど、でも、どうしようもないジレンマが、日本には、いつまでも残っている。


今も、憲法を変えるべきじゃないと騒いでいる人が居るけど、敗戦した日本が、アメリカの牧場として作り上げられる為に作られた法律ですよ。牧場の羊たちが、右と言われれば右を向くように作られた法律。それも、1週間かからないくらいで、簡単に作られたものを、後生大事にいつまでも守っているなんて、キチガイとしか言いようが無い。いつまでも敗戦から逃れられない日本の象徴ですね。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-木の上の軍隊

このお話の中でも、戦争から何年たっても逃れられない二人が描かれていて、心にグサッときました。どうして逃げられないんだろう。何故、いつまでも、亡霊のように、戦争というものがまとわり付いてしまうのだろう。日本人もそうだけど、国自体も、抜けられていないのだという事を訴えているような気がしました。


二人の兵隊は、沖縄戦で追い詰められ、木の上に逃げるんです。木は、すごく多い茂っていて、敵から身を隠してくれて、下にはたくさんの仲間の死体が転がっている。そして、敵の基地が近くに出来てしまったせいで、そこから降りれなくなるんです。そのまま2年も、そこで過ごす事になります。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-木の上の軍隊

戦争は続いていると思っていたら、既に終っていて、何のために自分達が戦争していたのか、何のために木の上で敵と戦っていたのか、全く解からなくなってしまいます。そして、戦争が終ったのに、沖縄の基地は、どんどん大きくなり、そこに居座ることになる。戦争は終ったのに、何故?その疑問は、いつまでも晴れることは無く、彼らは、戦争が終った日本で、まだ戦争の中に残ったままなんです。なんて悲しく、なんて辛いんでしょう。


井上さんは、その辛さを、たくさんの沖縄の人に話しを聞き、まとめていたそうです。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-木の上の軍隊

戦争をするとかしないとかじゃなくて、日本人による日本の憲法を作ろうっていう気持ちは無いのかしら。改めて、憲法を創り、侵略戦争は決してしないとか、国民を守る為だけに武器が使えるとか、キチンとした日本語で作れば、敗戦から抜けられるのではないかしら。そろそろ、日本だって、親離れしても良いんじゃないですか?いつまでも、アメリカに負けた敗戦国なんだからアメリカの言うとおりにしなければならないという考えを捨てないと、亡霊からは逃げられません。


もし、アメリカにNOが突きつけられるように日本人が精神的に成長したなら、沖縄に米軍基地を押し付けるような事はしなくても良くなるし、沖縄の人々にふるさとが戻ることになるのだと思います。どうしたら、そんな風に、日本人が成長するのかな。私は、スイスのような、永世中立国になると良いなって思うんだけどな。そうすれば、どこで戦争が起きても加担しないと言えるし、もし攻めてくるような事があれば、自分達で国を守れば良いとなるでしょ。島国の日本には、一番良いと思うんだけどな。


ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!-木の上の軍隊

この演劇、ぜひ、政治家の方や、偉い人に観て欲しいと思いました。そして、今の日本の事、考えて欲しい。戦争は終っているのに、いつまでもその呪縛から抜けられていない日本人だということを、良く認識して欲しいんです。井上さんも、日本を良くして欲しいと思って、このお話を書いていたのだと思いたいです。

本当に、素晴らしい舞台です。ぜひ、お時間があったら、観に行ってみてください。カメ




木の上の軍隊    http://www.komatsuza.co.jp/contents/performance/