今日は、映画「ストロベリーナイト」の原作である「インビジブルレイン」を読みましたので、感想を書いてみます。
ストーリーは、
姫川班が捜査に加わったチンピラ惨殺事件。暴力団同士の抗争も視野に入れて捜査が進む中、「犯人は柳井健斗」というタレ込みが入る。ところが、上層部から奇妙な指示が下った。捜査線上に柳井の名が浮かんでも、決して追及してはならない、というのだ。隠蔽されようとする真実―。警察組織は、何故”ヤナイケント”の名前を隠そうとするのか。そして上層部の指示に納得出来ない姫川は、単独で捜査を始めるのだった。
というお話です。
姫川シリーズでは、この作品が、唯一、姫川の恋愛が絡んできているのではないかと思います。姫川も、女なんですねぇ。でも、ちょっと簡単に落ちすぎですぅ。そんな胡散臭い男に惹かれないでぇ~!ま、タイプだったんだろうけど、女としては、そんな簡単に女は落ちないんだよぉ~って訴えたくなりましたが・・・。(笑)
そんな文句を言った後なのですが、この話、結構、面白いです。マジでありそうな警察の隠蔽劇で、そんな派手な立ち回りがある訳ではないのですが、確かに、警察って、体面とか、立場とか、そういうものばかり慮って、真実を追究するということを忘れてしまうんですよね。そんな姿を、克明に描いていて、面白いんです。
譽田さんの作品って、主人公ひとりを追うのではなくて、色々な人物の立場から書かれていて、そこが楽しいんですよね。その立場の人間になって読むから、犯人だって、悪役じゃなくなっちゃうんです。どんな人間でも、行動に理由があって、それなりに心の中に自分が正義だっていう考えを持っているんですよね。それが一般人の常識から外れていようと、本人にとっては、正しい行動なので、普通の考え方で捜査をしている警察には、簡単に捕まえられない。だから、面白いんです。
今回は、一つの殺人事件から、昔の事件が掘り返されたり、まったく関係無いはずだった関係者が巻き込まれて、疑われたり、殺人事件がまた起きたりと、映画にしたら、面白いんじゃないかなっていう内容でした。そして、一応、これで姫川シリーズは、一段落付くのだと思います。小説としては、これが結末として良いのではないかなって思うんですけど、映画がヒットしてしまうと、また、続編ってことになるかも知れません。
姫川が、ある人と恋愛に落ちるんですけど、面白いと思ったのは、普通、女性からの目線で恋愛を描いていくでしょ。それが、姫川側の気持ちを描いた後、同じ場面を男側から描いているんです。男が、どうしてオレに電話をかけてきたのかとか、目を見つめているけど俺の事好きなのかみたいな、そんな男の気持ちが描かれていて、あ、そんな事思うのかなって知って、ちょっと楽しくなっちゃいました。異性からの目線て、女性には、とても興味があるものなんです。
警察小説であり、サスペンスであり、ラブストーリーであるこの作品は、盛りだくさんなんだけど、きっちりまとまっていて、楽しんで読む事が出来ました。もし、気になったら、映画の前でも、後でも、読んでみてください。きっと、映像で観るものと違うものが見えてくると思います。
映画「ストロベリーナイト 」は、1月26日公開です。楽しみですね。
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