今日は、先日読んだ本「三島由紀夫レター教室」について、感想を書いてしまおうかな。
別に、マジで手紙の書き方が書いてある本ではないですよ。レター教室という名の、人間が文章を書く上で勘違いしがちな事や、どんだけ自己顕示欲があるのかなどに対して、笑ってしまおうという内容です。
あらすじは、
職業も年齢も異なる5人の登場人物が繰り広げる様々な出来事をすべて手紙形式で表現した異色小説。恋したりフラれたり、金を借りたり断られたり、あざけりあったり、憎みあったりと、もつれた糸がこんがらがって・・・。
というお話です。
(筋肉スゴすぎ~!カッコイイ!)
5人の人の手紙が出てくるんですが、45歳のお金持ちの未亡人、45歳の服飾デザイナーの男性、20歳のOLをしている令嬢、23歳の芝居をやっている青年、25歳のオタクで引きこもりの大学生という人物なんですね。この5人は、みんな繋がっています。三島由紀夫の小説なので、時代は、昭和の3,40年代だと思うんだけど、いやいや、今の時代も同じなんです。インフラは違っても、やっていることは同じ。驚きました。
この頃の45歳って、結構、老けていたのかなと思っていたのですが、全然違って、未亡人は今の美魔女みたいな感じで、仕事の経営も上手くやっていて、恋愛も自由にしている感じなの。大学生と高校生の息子がいるんだけど、とっても自由奔放で、若い男の子を好きになっては別れるみたいな、パワフルな女性なんですよ。その彼女に色々相談をしている若い男女が、恋愛関係になり、段々と、5人のバランスが崩れていくという話なんです。
若くても年配でも、女性は腹黒いところを持っているし、男はいくつになっても、子供のような気持ちを持っていて、ウザいいし、面倒だし、でもかわいいし、なんとも、手紙だけで、5人5様の姿を見せてくれて、本当に面白かったです。
この5人の手紙を読んでいると、素直に書いている部分もあるんだけど、どうしても自分を良く見せようという意図が出てしまい、相手に本心を見抜かれてしまうということが、良く解るんです。文章にしてしまうと、その端々に、人物の内面が出てしまうんですよね。これ、絵を描いてもそうなんですが、どうしても内面が出てしまい、今落ち込んでいるとかパワーアップしているとか、一目で判ってしまうんです。
だから、こういうブログを書いていても、どうしても内面が出てしまうんですよね。もちろん、私だって、自分を良く見せようと思って書いている部分もあるんですが、解っちゃうでしょ。(笑)こいつ、いいカッコしいしてるなとか、読んでいる人には、解っちゃうと思うんです。
本の最後で三島さんが書いているんですが、「世の中の人間は、みな自分勝手に邁進していて、他人に興味を持つのは、よほど例外的だ、と解った時に、初めて手紙(文章)に活き活きとした力がそなわり、人の心をゆすぶる。」ということです。ブログも、人に媚びる内容など誰も興味を持たないし、かと言って、自分本位でカッコいいことばかり書いていても面白くない。そういう、文章に関しての色々な事が書かれていて、とても楽しめます。
現代小説も、とっても面白いけど、何冊かに1冊は、有名な小説家の古典的なものを読むと、ちょっと、考え方が修正されて、基本に戻っていくので、良いと思います。私は、三島フリークなので、どうしても三島に戻ってしまいますが、夏目や芥川など、秋に静かに古典を読むのも、良いのではないでしょうか。
それにしても、三島さんって、写真の強さと文章の柔らかさにギャップがあって、面白いです。文章は、ユーモアがあり、エスプリがあり、柔らかくて大好きです。
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