イタリア映画祭6作目は、「シャッラ/いいから!」でした。
ストーリーは、
ヴィルズィ監督の作品やモンタルバーノ警部シリーズの脚本を手掛けてきたブルーニの初監督作にして、ハートウォーミングな喜劇。かつては教師だったがやる気をなくした中年のブルーノは、著名人の自伝のゴーストライターや家庭教師の仕事で、適当に暮らしていた。ある日、教え子のルカの母親が急に現れ、ルカは彼の息子だという驚愕の事実を明かし、その上しばらく預かってくれと言うのだった。11年ヴェネチア国際映画祭コントロカンポ・イタリアーノ部門の受賞作。
というお話です。
ブルーノは、元々教師をやっていて、今は、執筆活動をしているのですが、それだけでは食べて行けずに、家庭教師で生計を立てています。その家庭教師の生徒にルカという少年が居て、ある日、その母親がアフリカに仕事で行かなければならず、しばらくルカを預かって欲しいという依頼が来ます。そこで、衝撃的な事実が・・・。
書いちゃってもいいかなぁ~。まぁ、これ最初の方で明かされるから良いかと思うけど、実は、ルカは、ブルーノの息子なんです。母親と会って、顔を見てみたら、若い頃に一晩だけ付き合ったマーリアで、その時に、連絡をすると言っておきながら、忘れてしまっていたんです。酷いでしょ。このいい加減なオッサンが父親なんですが、ルカには、黙っているんです。
ブルーノは、自分の息子とわかり、あまりに適当な息子に、きちんとした教育をし始めます。ルカは、学校での態度が悪く、成績が非常に悪いので、年度末の試験までに成績を上げないと、留年すると言われてしまっていたんです。自分の息子と解っていなかった時は、やりたい様にやらせていたんですが、自分の息子と解った時点から、自分の息子の未来を悲観し、勉強を強引に教え始めるんです。
息子のルカは、いきなりブルーノが教育ママのようにキーキー言うので、戸惑ってしまい、逃げ回ります。そして、悪い友達とも関わり始めてしまいます。でも、根が良い子なので、イマイチ、悪い事をしているんじゃないかという気持ちを抱いているんですね。
悪いと思いながらも、いきなり厳しくなったブルーノに反発して、言う事を聞きません。ブルーノみたいな、見た目、人生に失敗してしまったようなオッサンにあれこれ言われたくないという気持ちが強いんです。そして、ルカは、自分の父親は、軍に入っていて、勇敢に戦って死んだと思っているんです。もー、メチャクチャでしょ。
自分を冷たい目で見る息子に、なんとかして近づき、交流を持って、学校を卒業させたいと思っているブルーノは、今までに無いほど、必死で、息子に勉強を教え、生活態度も教えていきます。まぁ、まったく上手く行っていないのですが、ほんの少しづつ、素直な態度を見せるルカに、いままで持ったことの無い、息子への愛情を感じ始めるブルーノ。やっぱり、親って、子供に教えられて、親に成長するんですよね。最初から親になれないんです。子供と一緒に成長して、親になっていくんです。
それにしても、思春期のガキ(男の子)は、かわいいんだけど、扱いづらいですよね。特に、父親と息子って、あまり話しもしないし、近くに居ても、近づかないような、どっちかと言うと、磁石のS極とN極みたいな感じかな。同じ極ならくっつくんだけど、違う極だから、どっちかが近づこうとすると片方が離れるみたいな、なんとも難しい空気感が間に流れていて、近くで見ていると、この二人、何やってんだろうって思うんですよね。ある程度、年齢が高くなると、そんな反発も無くなって、解りあえるんですけどねぇ・・・。(笑)
そんな父親と息子の微妙な関係が繊細に描かれていて、すごくたのしいコメディ映画でした。本当は、息子が父親に対して、「あれっ、オヤジ、すげーじゃん。」って思うような出来事があったりして、面白いんだけど、それは、観てからのお楽しみにしましょう。面白いですよ。
この映画、私は、超お薦めしたいな。本当に面白くて、ちょっとうるうるしてしまうような、ステキな映画でした。日本公開して欲しいなぁ。今回のイタリア映画祭は、社会問題を取り上げたものが多いですが、この作品は、軽くて、楽しく観れるので、今のところ、一番、公開されたら、日本受けしそうな。気がするんですけどね。(公開が決まっている映画以外でです。)