今日は、”ＢＯＸ 袴田事件 命とは”の完成披露試写会に行ってきました。
ストーリーは、
昭和41年6月30日未明、静岡県清水市で味噌製造会社専務の自宅が放火され、一家4人が殺害された。警察は、従業員で元ボクサーの袴田巌を容疑者として逮捕、連日、過酷な取り調べを行った。そして、拘留期限の3日前、自白にこぎつけるが、裁判では犯行を全面的に否認。裁判官の熊本は警察の捜査に疑問を抱き始める。乏しい物証の中での、強制の疑いのある自白…。しかし熊本は、無罪を確信しながらも他2名の裁判官の合議に負けてしまう。そしてその判決が、長い冤罪事件の始まりだった・・・。
というお話です。
この映画は、半分ノンフィクションで、ドキュメンタリーのようでした。舞台挨拶に、監督と出演者の他に、この袴田受刑者のお姉さん、袴田事件の裁判官だった熊本さん、冤罪で２４年間も投獄され、無罪を勝ち取った方がいらっしゃっいました。元裁判官の熊本さんは、自分が無罪と出来なかった袴田さんを救うのが、死ぬまでの自分の仕事だとおっしゃっていました。実在の方のお話を聞いてから、映画を観るというのは、すごく真に迫っていて、心に残りました。
昭和４１年ともなれば、戦争も終わって、日本がちゃんと国として機能してた頃だと思っていたのですが、この映画を観ると、まだまだ、権力を振りかざして自分の意見を通してしまう公務員が多かったのですね。ま、今も、公職と呼ばれるものに着いている方で、自分は一般市民とは違うと思っている勘違い人間がいるようですが・・・。
警察も裁判官も検察も、国民を守るための公僕でしょ。はっきり言って、公務員というのは、一般人の下に居るべき人間なんですけどね。そんな彼らが、罪も無い人にでっち上げの証拠を突きつけて、おまえが犯人だと、罪を押し付けてしまう。とんでもないことです。彼らにとって、犯人を挙げるというのは、営業ノルマのようなものなのでしょう。ノルマが無ければ給料泥棒と言われかねませんもんね。裁判官も検察も同じです。罪人を裁いたという事実が無ければ、ノルマ達成とならないのだから、その証拠が疑わしくても、突っ走ってしまう。こんなの許せないです。
この袴田さんの事件は、周りの方も元裁判官の方も、こうだったって訴えてくれたから大きく取り上げられたけど、全く知られずに、罪を押し付けれれて死んでしまった方もいらっしゃるのだと思います。現代、これほどに人権などが叫ばれているのに、誰が見ても適当に作られた証拠品を元に死刑囚になってしまった事件をもう一度見直すということをしない司法って、何なんでしょう。自分達の間違えを認めたくないだけのように思えます。
元裁判官の熊本さんは、無罪の人間を有罪にしてしまったという罪の意識に苛まれて、自殺までしようとするのですが、これほど真剣に考えてくださる裁判官の方がいらっしゃることが解かっただけでも、少し、一般市民は救われます。どの裁判官も、仕事として裁判をノルマのようにこなしている方ばかりだったら、人間でなくて、コンピューターで審判を下すので充分ですよ。人間だからこそ、感情もあって、色々な深いものを見極められるのではないかと思います。
一つだけ、映画の中で納得出来なかったのは、”疑わしきは罰せず”というセリフです。私、この言葉嫌いなんです。この映画の訴えている事を否定してしまうかも知れませんが、裁判官がこの言葉を使うと、自分の仕事を放棄しているようで、腹が立つんです。ギリギリまで、被告人と検察、弁護士と協議をして、悩んで欲しいんです。疑わしいだけだから無罪ねーって言ってほしくない。そういう投げやりは嫌い・・・。
この映画、年配の方だけでなくて、若い人も観て、考えて欲しいと思います。少し前の日本がこんなに酷い国だったのだということを、認識して、変えていかなきゃと思って欲しいです。重い話ですが、ぜひ、観て、考えて欲しい作品だと思います。
・ＢＯＸ 袴田事件 命とは＠ぴあ映画生活
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