7月1、2日 札幌コンサートホール キタラ

ロビーコンサート

ハイドン:「弦楽四重奏曲 第77番 ハ長調 <皇帝>」より 第3,4楽章

ヴァイオリン:土井奏 熊谷勇太
ヴィオラ:  青木晃一
チェロ:   石川祐支


尾高惇忠:「ピアノ協奏曲」

・・・・休憩・・・・

シューベルト:「交響曲 第8番 ハ長調 <ザ・グレィト>」

指揮:      尾高忠明
ピアノ:     清水和音
コンサートマスター:田島高宏

尾高(兄)さんのピアノコンチェルトは出来立てですから、勿論初演です。
日本フィル・シリーズの委嘱作品で、3月にサントリーホールで初演されたばかりです。
ある友人は”フランスで作曲を学ぶとこんな感じになるのかな”、と第2楽章についての感想を聞かせてくれました。
伊福部昭の影響もあると云っていましたが、伊福部作品をそれほど聞いていない私には、そのあたりはよく分かりませんでした。
むしろ、旋律の流れから「ペトルーシュカ」を、ふと、思い浮かべたりしていました。
特殊なテクニックは使っていないとはいうものの、かなり難しそう(特にピアノが)
清水さんのピアノは表情豊かでとても良かったです。
土曜のほうが、オーケストラとの対話もさらにしっくりしてきたと感じられました。
曲をめぐってご兄弟で議論があったようですが、こうして聴いてみると、作曲家ご自身がおっしゃるように、現代に相応しい音楽の可能性が開かれたといえるのではないでしょうか。

シューベルトと云えば「死と乙女」と「未完成」が有名ですが、「ザ・グレィト」もその長さにかかわらずやはり代表作として親しまれているのではないでしょうか。
札響の演奏、前回は2012年6月ということですが(ブログに書き残していないので)名曲シリーズでも定期でもなかったようです。
初演はシューベルト死後で、メンデルスゾーン指揮ゲヴァントハウスとされています。
シューマンとメンデルスゾーンの努力で、忘れられかけていた天才の美しい曲が残されて良かった。
壮大でロマンティックなこの曲を、尾高さんは抒情に流されることなく冷静に運んでゆきます。
<きびきび>とか<引き締まった>と感じたのはそのせいではないでしょうか。
私自身あまりロマンティック過ぎる解釈は好きではないので、この演奏は気に入りました。
どちらかと云えば、金曜のほうがピリッとしていました。
このように違いを感じることができるのも生演奏の良さですね。


来月は
ハンス・グラーツの指揮で生誕100年を迎えるデュティーユの「2番」とベルリオーズ「幻想」です。
これまた、意欲的なプログラムですね。定期でもなければ、なかなか聴くことはないでしょう。
デュティーユは尾高(兄)さんのお師匠さんに当たる方です。
2か月連続で子弟の作品が聴けるのは楽しみです。