自分の限界に挑戦。超絶フルバトル!! | 井上友樹のJUMPRIZE日記

自分の限界に挑戦。超絶フルバトル!!

※画像は最後にまとめて添付します。



自分の中で今年中に実現したい目標があった。

結果がどうであれ、目標に向かって挑戦を繰り返す事は絶対に無駄にはならないと思っている。

自分はショアから何処まで出来るのか…。
自分の現在の技量と体力の限界点を知りたい。

今年の夏の巨大魚戦を見据え、日課であるウェイトトレーニングやランニングをいかに釣りに結びつけるかという事を強く意識してきた。

そして、そのパワーを最大限に活用出来るように、様々な角度から自分のファイトスタイルを一から考え直してみた。

ファイト時の重心について深く考えてみた。
体幹をブラさずに一番楽にパワーを発揮出来る重心バランスを見つける事。

無駄な力を極力使わないで魚に大きなプレッシャーをかける事が可能なロッドの角度と力を入れる方向。

瞬間的な強烈な引きに対して瞬時に何処にどうやって力を逃がすのかを素早く冷静に行動に移せる判断力。

色々考えて足場の安定しない場所で15~16キロドラグを常用する為に特殊なトレーニングを積んでみた。

高負荷ドラグでの長期戦を意識し、ロッドに10キロのウェイトをぶら下げた状態でロッド角度を45度に保ったまま1時間ウォーキングをしてみたり。

自分に与えた課題はだいたいクリアする事が出来たが、一つだけまだ克服出来ない難しい部分がある。

前腕部を極力使わずに体幹のみでファイトする事。
前腕部に負担をかける=高負荷ドラグでの長期戦に耐え抜く事は非常に難しい。
ドラグを16キロ以上かけると、まだどうしても多少前腕部の筋力を消耗してしまう。
それでは駄目なのだ…。

ショアゲームでは障害物に向かって突っ走ろうとする巨魚を強引に魚を止めなくてはいけないシチュエーションが多々存在する。

相手が50キロあろうが力でねじ伏せなくてはいけない状況が出てくる。

自分の技量もそうだが、それに耐え抜けるタックルも必要である。

巨魚を夢見てララペンマグナムを開発。
そして自分の考えを実現出来る究極のプロトショアロッドを2機種設計した。

仮コードネーム『ハイパーショアバトル-ファイナル』。

9.5フィートでPE5~8号対応。

ドラグ15キロを常用出来る956。

9.3フィートでPE6~10号対応。
ドラグ17キロを常用出来る938。

完全に自分の目標の釣りの為に設計した。

売れる売れないは関係ない。発売するかも分からない。

ジャンプライズ特殊構造を採用したロッドがどこまで通用するか試したかった。



持ち運びには非常に不便だが1&ハーフ構造に拘り、ショアロッドとしては特殊な90度にロッドを立ててファイト出来るように設計した。
ロッドを立てた状態でもハイドラグを常用出来る性能を追求した為、とにかくファイトが楽。

4月の時点で準備は万端だった。


そして待ちに待った梅雨の訪れ。
ついに一回目の挑戦の時が来た。

今回チャレンジしたのはショアGTゲーム。
堤防、磯ともに自分の中で今年中に成し遂げたい課題の一つ。
間違いなく究極のショアゲームの1つ。


今回挑戦した堤防GTはベイトに左右される0か100かの釣り。
難易度は頗る高く、釣れる確率は本当に低いと聞く…。
特に今年の状況は酷いと至る所から聞いていたが…。

残念ながら本当に状況は悪いらしい…。

現地に三週間滞在してノーバイトとかそんな話が耳に入ってくる。

まぁ行ってみなければ結果は分からないし、いつ上向くか分からない。
日程をずらす余裕はないので強制的にGO。

作戦を練って少し悪あがきをしてみる事にした。
メジャーで情報が多い島は外して、情報が一切ない島に冒険&開拓に出向いてみた。

ギャンブルである。

一番嬉しかったのはこの島には猫達がたくさんいた事。
毎日遊んでいたら4匹の猫が完全になついてくれた。
みんな生後4~5ヶ月。やばいくらいかわいいのだ(笑)



さて本題。

島に到着後、ウロウロと下見をしている段階で、初日から期待していなかったベイトとなる飛魚を発見。
これは少しは期待が出来そうな雰囲気だ。

不安だった気持ちが徐々に期待感へと変わってきた。

準備を整え、夕マヅメからエントリー。

暗闇の中、目を闇に馴染ませてベイトの行動を観察する。

飛魚は追われている様子はなく悠々と泳いでいるが、時間が経つにつれて徐々に生命感が出始める。
なんとなく期待は出来そうな気配。

予想していた時合いに入ると少し気配が出てきた。

時たま逃げ惑う飛魚。

そして遠くで時たま起こる静寂を打ち破る捕食爆発音。

心臓がバクバクする…。

暗闇の中、今まで味わった事がない不思議な感覚。



ショアGT…そりゃ当然であるが相手は難易度の高いGT。しかもその魚をショアから狙うわけだ。
簡単に釣れるような魚ではない。
確率が物凄く低い釣りだ。

だからこそ一瞬のチャンスを逃したら全ては終わる。

とにかく集中して暗闇の中の僅かな変化に対応出来るように目を慣らしていく。
水面の一瞬の変化を見逃したら終わりだろう…。

集中力を切らさず時を待つ…。

一瞬ざわつき飛魚が固まり逃げ惑った。

すかさず進行方向にキャスト。自分でも驚くほどスムーズに全てが理想通りに決まった。



・・・来るかも・・・。


そして…コツコツ…とても小さな前当たり。
その1秒後、狂ったように一気に反転して暴走を始めた。

ついにこの時が来た。

この時の為にタックルを開発して自分自身を鍛えてきた。
全身全霊お前の引きを受け止めてやる。


初期ドラグ16キロは約3m出された。
しかし3mで止められた。

止まった瞬間ドラグノブを締め込む。
後計測18キロまでドラグを上げた。
そして90度角度で魚をホールドして抑え込む。
当然やつはもう走れない。
思い描いた理想のファイトで完全にコントロール出来ている。

一気に詰めた。そして一瞬で勝負は決まった。
おそらくランディングまで1分半~2分足らずだろう。

完勝だ。

大きくたくましく、強い魚だった。

ショアファーストGTは実測28.5キロ。


このサイズは完全に制御出来た。
自分でもまだまだびっくりするくらい余裕がある…。


今回はまさかの不調モード一転。
この地に一週間滞在したのだが、奇跡的に運良く良い島、そして良い日に当たり、この後もGTが連発した。


いつもの事だが、相変わらず運だけは良いらしい(笑)
うちの母ちゃんに感謝(笑)



そして最終日の最後の最後にはドラマが起こった。


自分の最強タックル、ハイパーショアバトル938にPE8号+170ポンドリーダー。

ドラグは初期で16キロ。


小さな当たりの後、反転して行った瞬間に今までとは明らかにレベルが違う魚だと感じた。


16キロドラグが止まらない・・・。瞬時に18キロまでドラグを上げても簡単には止まらない。

20m~25mくらいは出された。


一気に勝負に出るが自分の技量でコントロール出来る魚ではない。


咄嗟に思った。

この魚は50キロを越えていると・・・。


セカンドランも行かれた。意地で10mで止めた。


なんとか耐え切った。

多分勝った。


きつかったけど実測18.5キロドラグのまま全身を使って勝負した。


そして4分後、ボカンと浮いた。


デカイ。


でもファイト中はもっとデカイと思っていた。

シングルフックが口と顎外に掛かりバイブレーション状態になっていたのが強烈な抵抗となって引いたのだろう。


今回は現場にMAX42キロまで測れる公式デジタルスケールを持ち込んだ。

この魚はこのデジタルスケールを完全に振り切った。



体重計は昨年のヒラマサの時に公式記録にならないと指摘を受けたので持ち込まなかった。


リリースしたから正確な記録は分からない。

適当な発言は控えたいから推定何キロと言うのもこの場では止めておく。

分かっているのは42キロ以上はあったという事だけだ。


この魚は42キロオーバーという形で今後紹介していく。



掛かり方も大きく影響したと思うが、本当に強い魚だった。


今回一週間の滞在でなんと9本ものGTをキャッチする事が出来た。

出来過ぎだ。


複数の魚とフルパワーで勝負する事が出来たので経験値は間違いなくアップした。

今回のGTは自己記録だから素直に嬉しい。

でもまだまだこの地にはもっともっと大きな魚がいる。

こんな魚達がショアから狙える夢みたいな環境が日本にはある。

本当に凄い地だ。そして凄い釣りだ。
自然に感謝。



今回の結論。
トレーニングの甲斐もあり、30キロ程度の大きさのGTであれば余裕を持ってコントロールする事が可能であった。

今試行錯誤しているスタイルなら、30キロサイズの魚達であれば、たいしてドラグを出さずに止められる。
今回もファーストランで3m程度。後は出さずに全部止めた。
最終的にはドラグを18キロまでかけてみたが、ジャンプライズ特殊構造のプロトロッドは折れずに余裕で耐え抜いた。


ただ自信を持つ事が出来た反面…最後の巨魚との格闘で今のままでは目標にしている魚を実力で獲るのは難しいという事もなんとなく感じた。
リフト時にまだまだ無駄な力を使ってしまっている。
課題である前腕部を無駄に大きく使ってしまっている。
ファイト中に乳酸がたまってしまうのだ。

前腕部に乳酸がたまってしまうようでは超巨大魚との高負荷ドラグでの長期戦には耐えられないと思う。

前腕部のエネルギー消耗は自分の中で絶対にNGなのだ。

ライン角度が斜めの状態でのファイト中は、ほぼ腕を使わずに体幹のみで魚をコントロール出来るのだが、足下に来て一気に巨体を浮かさなければいけない状況下でまだまだ前腕部を使ってしまい若干反応が鈍る。

追求している理想のファイトにはまだまだ程遠いかな…(笑)
難しい領域だけど、ここをクリア出来なければ先には進めないと考えている。

開発したタックルは最強だった。
後は自分の技量をタックルと同等まで引き上げなければならない。

もっともっと経験を積み、頭を使い、更なるトレーニングが必要だと思う。

険しい磯になれば更に難易度は上がる。もっと上達しなければ上のレベルで勝負出来ないと思う。

サメ以外の100キロオーバーをショアから獲る事が自分の人生をかけた目標。


イソマグロやマグロ系、カジキであれば出会える可能性は絶対にあるはずだ。
夢のような話だが100キロのGTも存在すると話してくれた先駆者の方達もいる。

未知なる夢への挑戦はまだ始まったばかり。

ここからきっと何度も壁にぶち当たると思う。

自分が知らない世界を知っている凄いアングラーは世の中にまだまだいる。

夢を夢で終わらせない為に。

とにかく精進あるのみ。

今年はやるだけやってみようと思う。



同じタイミングで別の島に渡った鈴木チャラ男もGTを仕留めたようである。
体力、筋力ともにまだまだ貧弱なので自分よりも1ランク柔らかい、ハイパーショアバトル995を託したのだが、極限まで使いこなし大型のGTを釣った。
チャラ男は出会った頃に比べて本当に成長した。

自分がここ数年出会った中で一番大きな可能性を感じた若手アングラー。
まだまだ未熟な部分はあるが大物になる素質は十分にある。



今回訪れた島の民宿に居た猫達。
名前がないという事だったのでみんなに名前をつけてきた。
民宿の女将さんとも仲良くなり、これから猫の様子を毎月報告してくれるそうだ。
この地に毎年来て、この子達の成長を見守っていきたいな。
実はGTゲームよりも…猫達との思い出の方が残った遠征でした。

魚との出会い、人との出会い、猫との出会い。

楽しい時間を共に過ごした仲間達。

全てに感謝。
みんなありがとう。
シーズン中に…もう一回来ちゃおうかな…(笑)



GT42Kgオーバー.jpg


今回の最大魚。

デジタルスケール振り切り、42キロオーバー。

実際は何キロあったんだろうか。
























他にも8本もGTが釣れた。

トータル9本キャッチ。


サイズは実測19キロ~37キロ。








良型カスミアジも数本釣れました。

カスミアジは癖が無く、普通に美味しかったです。





HRFの皆さんからプレゼントして頂いたスプール。

今回このスプールで多くのGTに出会わせて頂きました。

ありがとう。








可愛すぎる猫達。

あぁもう可愛すぎる。

上の子は汚いからシャンプーしてあげました(笑)






ショアGTを25年前から開拓されてきた師匠。

あの誰もが知る有名なGT船長の師でもあり、この釣りの先駆者である偉大な方です。


GTに関して本当に様々な事を教えて頂きました。

目から鱗でした。


一週間で9本釣って帰った奴なんてここ数年いないぞ。よくやったとお褒めの言葉を頂きました。


本当にありがとうございました。