スサノオで~す
小春「(ルンルン♪)」
影狼「………」
『スサノオと日本の神を巡る旅』。
「日本三景 安芸の宮島」に鎮座する、
ここ安芸国一宮 厳島神社。
あ「いや~!宮島!来ました、宮島!厳島神社!!」
ス「ほんっっっっっっま!!
ここっていつ来ても、
ビックリするぐらい綺麗よな」
あ「いや、もう本当に。
世界遺産だから、
十分に知りつくされている場所ではあるんですけど、
それを覆すぐらい、素晴らしすぎる…」
ス「『神を斎(いつ)き祀る島』と書いて、
『厳島』。
ここは島自体がご神体やからな」
あ「はえーーー。
そうなんだ。
だからこんなに島全体が神々しいのね。
精霊もいっぱいいそうだね」
有名な海上大鳥居の下で写真を撮り、
振り向くと、そこには…。
あ「…もう…、
本当に…感動で…言葉がないね…。
神社巡り…始めて良かった…」
そして、
本殿へと向かう。
ペコリ、ペコリ、パンパン、ペコリ。
(二礼二拍手一礼)
参拝を終えて、
海に向かった平舞台から、
再び大鳥居を眺めていたその時だった。
?「お父さ~ん!!」
あ「?」
可愛らしい女の子たちの声に振り向くと、
そこには…?
※最近のイラストは、僕の友人のイラストレーターAYUMIさんに書いて頂いています☆
※上からイチキシマヒメ、タギツヒメ、タゴリヒメの三姉妹。
厳島神社のご祭神、
『宗像三女神(むなかたさんじょしん)』、
イチキシマヒメ、タギツヒメ、タゴリヒメが、
愛くるしさいっぱいに、
その姿を現した。
あ「はーーー…」
ついその愛くるしさに、
心を奪われていると…。
…。
……。
………。
…………。
あ「…って、お父さん!?!?!?」
ス「ん?何か??」
あ「あなた…、
昨日の『住吉三神』の弟であることに続いて、
『宗像三女神』のお父さんなの!?」
ス「いや、そうですけど。
高天原でアマテラスに、
俺が『高天原を奪いに来た!』って疑われて、
その身の潔白を証明するための、
誓約(うけい=古代の占い)をした時に、
産まれたのが、宗像三女神。
だから、こいつらは俺の娘。
それが、何か?」
あ「イザナギとイザナミの息子であり、
アマテラス、月読、住吉三神の弟であり、
宗像三女神の父であり、
オオクニヌシの義理の父…。
あなた、実は凄いのね…」
ス「『実は』って何じゃ。
ワシャ、ずっと凄いわ」
イチキシマヒメ「お父さん、久しぶり~☆」
タギツヒメ「わ~お父さんだ~♪」
タゴリヒメ「お父さん、お父さん★」
正しく久しぶりに、
大好きなお父さんに会えた娘のように、
『宗像三女神』は、
スサノオの周りに集まって来た。
ス「お~~!!
お前ら、相変わらず可愛いな~!!
みんなちゃんと仲良くしてるか?」
イチキシマヒメ「うん♪お父さんの言い付け守って♪」
タギツヒメ「自分たちだけじゃなくて、
ちゃんとここ(宮島)も守ってるんだよ☆」
タゴリヒメ「偉い?ねぇねぇ、お父さん私たち偉い?」
ス「そうかそうか。
えらい、えらい。
賢いな、お前たちは」
宗像三女神と話すスサノオのその顔は、
いつもの豪快でバカっぽい表情と違い、
父親の顔をしていた。
ス「誰が豪快なバカや」
あ「(笑)」
イチキシマヒメ「ねぇ、お父さんこの人誰ー?」
タギツヒメ「えー!なにー?臭―い!!」
タゴリヒメ「キモーい!!」
あ「血は争えまへんな!!!!」
ス「よくぞ言った、我が娘たち(笑)
この人はね、
人間の中でも、
最底辺の欲望と穢れにまみれたハゲ頭でね、
それでも何とか幸せになりたいと必死にもがいている、
鼻くそみたいな男だよ」
宗像三女神「えー!!何かかわいそー!!
でも、やっぱりちょっとキモーい!!」
あ「誰が鼻くそや。
ってあんたも、
イザナギが鼻を洗った時に出てきたんやから、
あんたも鼻くそみたいなもんやないかい」
ス「何やと、こら!!」
あ「こっちのセリフじゃ!!」
…っと僕らが、
怒鳴りあいを始めようとしたその時…。
イチキシマヒメ「あー!でも、この子は可愛い~♪」
タギツヒメ「本当に~☆」
タゴリヒメ「赤ちゃん、赤ちゃん^^龍の赤ちゃん」
宗像三女神は、
小春を抱きかかえて、
可愛がり始めた。
イチキシマヒメ「この子だったら、
あそこに連れて行ってあげるのがいいね~♪」
あ「あそこ?」
そうして宗像三女神に連れられて、
向かったのは、
参拝順路出口を出て、
すぐのところ。
そこには…?
タギツヒメ「ほら~☆ここ龍神、龍神~☆」
あ「うわ~、本当ですね~」
ス「目こらして、よう見てみ」
あ「?」
…。
……。
………。
…………。
あ「うおっ!!」
ス「島は龍が棲みやすいからな。
特に島自体が、
ご神体の宮島なら尚更よ」
あ「…でも…」
ス「ん?」
あ「何か一匹、変なんいましたよね…?右下の方…」
ス「一匹……トカゲ、混ざってたよな…(笑)
まぁ細かいことは気にすんな…」
結局、
小春もたくさんの龍神に囲まれて、
元気いっぱい。
その後…。
ス「いやぁそれにしても、
お前ら、ちゃんとこの場所を大切に守ってくれてるんやな。
俺は本当に嬉しい」
イチキシマヒメ「だって、お父さんが『みんな仲良く』って言うから」
タギツヒメ「それが私たちの役目だもん☆」
タゴリヒメ「うん、うん」
ス「ちなみに、こいつらの凄い所はな…」
あ「?」
ス「『仲良く』の幅が、とんでもないところやねん」
あ「どういうこと?」
ス「見てみ」
そうしてスサノオが指差した、
そこには…?
あ「不動明王…。神さまじゃなくて、仏さま…」
ス「そうそう。
自分ら当たり前になってるかもせ-へんけど、
世界的に見たら、他の宗教の神や仏同士が、
併設されてるってのは、
有り得へんねんって」
あ「あー、言われて見たら、確かにそうかも。
イスラム教とキリスト教が、
一緒の敷地にあるとか聞いたことない」
ス「まぁこうして神社と寺が併設されているのは、
他の全国の神社仏閣でも、
あるにはあるんやけど、
これを世界遺産であるこの場所で、
こいつらが、
やってくれていることに価値がある」
あ「確かに…そうですよね…。
『みんな仲良く』…ってことですか…」
ス「だから、その幅がとんでもないやろ?」
あ「確かにそうですね(笑)凄すぎる(笑)」
言われて見れば、
この場所では、
宗教に限らず、
世界中の人が訪れて感動し、
お互いが文化を越えて触れ合い、
家族が来て、
たくさんの楽しい思い出を作り、
恋人同士が、
愛を育んでいた。
いつまでもみんなが仲良く、
家族、恋人、友達同士、
そして国境すらも越えて、
そんな輪が広がり、
いつの日か世界中が平和であるために、
ここ宮島に、
この広島の地にこそ、
この場所がある意味はあるのかなと、
そんな気がした。
それにしても…
あ「そんな素晴らしい神々に、
僕は『臭い』とか『キモい』とか、言われたわけですね」
ス「世界の平和を願う、
崇高な神の基準すらからも、
お前は外れてるということやわな」
あ「むしろ、逆に光栄な気がしてきましたわ」
イチキシマヒメ「えーー、崇高とか言われてもー、
私たちは、
お父さんに言われたことを、
ただ守ってるだけなんだけどー」
タゴリヒメ「何も特別なことなんかしてないしー☆」
タギツヒメ「ねー★」
あ「話してる時は、そこら辺のギャルみたいなのに(笑)」
宗像三女神「いやー!キモーい!(僕から逃げる)」
あ「くぉらっ!!!!」
ス「(笑)
最後に、『Yes 高天原!』行っとくか!」
あ「僕は別に良いですけど」
宗像三女神「イヤー!私たちはイヤー!!」
あ「くぉらっ!(ダッシュで追い掛ける)」
宗像三女神「いやぁぁぁぁぁ!!(逃げる)」
ス「はいはい!せ~の!!(笑)」
あ「世界に優しくする前に、俺に優しくせぃや!!」
宗像三女神「イヤァァァァ!!」
ス「(笑)」
あ「お前も笑ってんと、娘の教育ちゃんとせぇや!!」
ス「お前、神に向かって、何ちゅう言い草じゃ!!」
あ「うるさいわ!!」
次は『天岩戸編』です(笑)