<ウラン>は自然界に存在します。
ウラン原子番号<92>の元素で記号は<U>と名付けられています。

天然に3つの同位体が存在し、<235><236><238>ですが、半減期(元素が持っている放射能の量が一定期間ごとにその強さ(量)が半減することで、その時間をいいます。)は数億年から数十億年といわれていてます。
 地球上でもっとも多く存在するのは<ウラン238>ですが、原子力発電所に使われるのが<ウラン235>なのです。

 世界で一番初めにウランが発見されたのは、1789年、ドイツで閃ウラン鉱で発見されました。
日本では江戸時代で第11代『徳川家斉』の治世時代であり、アメリカでは『ワシントン』が大統領になった時であり、フランス革命が起きた頃のことです。

 現在の埋蔵量ではオーストラリアが世界の70%を埋蔵していますが、カナダが世界最大の輸出量を誇っています。日本では鳥取県の人形峠の鉱床で知られていますが現在では閉山されています。

 ところで<ウラン235>は、核分裂の連鎖反応を起こします。このウランの原子核は中性子を吸収すると二つに分裂します。広島に投下された原子爆弾はのの<ウラン235>を使用されました。半減期は7億年です。
<ウラン236>は、ウランの同位体ですが使用済み核燃料とそれを再処理したウラン燃料中に存在します。

 最後の同位体は<ウラン238>ですが、中性子と衝突するとウラン239に変化しまが、このウランの半減期は44億6000万年という長寿です。ゆえに劣化ウランのほとんどがこのウランです。


 さてさて、自然界の<ウラン>はこの<235>と<238>という2種類の同位体として存在しています。しかしながら、核分裂の連鎖反応を起こすのは<235>であって、これでは濃度が低すぎるので割合を濃縮して(絞って)利用することになります。
軍事的には100%まで濃縮するのですが、発電用にには3%(100分の3)程度に濃縮します。

 濃縮法には、ガス拡散法とか遠心分離器法などがありますが、この方法のどれかを使うのかは軍事的機密事項なので、一般的には公開されていません。
今回の東京電力福島第一原子力発電所の情報が二転三転したのも、日本が公開の原則をとっているにもかかわらずいい加減に発表したのも頷けます。

 現在の日本の発電用濃縮ウラン工場である青森県六ケ所村の濃縮工場で製造されていますが、この再処理工場は1993年に2兆1900億円の費用をかけて建設され、現在も稼働できず、1012年まで工事の完成が遅れていて、さらに、今回の事故で遅れることでしょう。
それでも、現在日本では54基の原子力発電所が稼働していますが、各発電所に供給できるだけのウラン再処理の生産ができていないのです。

 ゆえに、ウラン鉱石を諸外国から買い付けて、それをアメリカに送って濃縮してもらい、そこで濃縮したものを購入しているのが現状なのです。
すなわち、前述した通り日本国内でウラン鉱石は採掘できないため仕方のないことです。

ではナゼ?原子力に頼ろうとするのか?ここが、問題です。
すなわち、初期資本といわれる投下資本が、火力発電・水力発電を建設する場合よりか遙かに割安なのですが、ウランから核分裂した後の原子力の再処理工場の維持に莫大な費用がかかるのが現状で、危急を要する電力需要には原子力に頼っているのが現状のようです。