男は、上質なバーボンと、飲み友達を煙に巻く葉巻、そして、口を開けば愚痴ばかりの赤いドレスの女がいれば、退屈はしない。
昨晩、千鳥足で入ったレストラン。
三十路を超えたウエイトレスが眠そうなつらで出迎える。
俺は、葉巻をくゆらせながらウエイトレスに先導され、
窓側の席に座る。
腹は減ってねえ。
バーボンがあれば、いいさ。
ストレートで。
ウエイトレスが言う。バーボンは置いてないとさ。
ふざけたレストランだぜ。
赤いドレスの女がまた愚痴り始める。
さっきのバー同様、また暴れ出しかねない勢いだ。
俺は赤いドレスの女の口を右手で塞ぐと「ミニチョコレートサンデー」
とぶっきらぼうに言う。
ウエイトレスは注文を聞くとすぐに厨房に消えて行った。
赤いドレスの女は愚痴が止まらない。
「何がデニーズへようこそ!よ!こんなふざけたレストラン初めてだわ。全く最低の夜よ」
俺は、聴いてない素振りで葉巻をくゆらせる。
ポルサリーノの埃をはたきながら、机の上に置いて思考をめぐらせる。
出来れば、辛い、それは一口で毛穴という毛穴から汗が噴き出すナチョスが
食べたい。
ナチョスには冷えたビールだ。
ビールくらいはこのレストランも置いてるだろう。
しかし、ナチョスは無い。
ついてない夜だぜ。
ウエイトレスが「ミニチョコレートサンデーのお客様」
俺は軽く右手をあげる。
俺の前には、いかにもティーンの処女がバクバク食いそうな
アイスの塊が置かれた。
咄嗟に頼んだとは言え、俺には似合わな過ぎる。
小さなスプーンで、一口バニラとチョコレートのアイスをすくって、
口に運ぶ。
赤いドレスの女がニヤニヤしてるぜ。
口に運んだ途端、その甘さに俺もニヤニヤ。
男の嗜好品がまた一つ増えたようだ。
チョコレートサンデーを食べたってだけの話なんす。
しかもタケタリーノと二人で。
写真も撮り忘れました。
チョコレートサンデー最高!
甘党になっちゃうかもしれない私・・・嫌いじゃないね!