五月の太陽が強めに照りつけてくる晴天の日、小川町にある横田農場にお邪魔しました!

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温まったコンクリートの路上から、横田家の庭へ足を踏み入れると優しい風が木漏れ日の間を吹き抜けていって額ににじんだ汗をすっと冷やしてくれました。
家の入口近くの柱には手作りの木の看板がかかっていって家族一人一人の名前が彫ってあり、横田一家の温かさを感じることができます。
味のある木のテーブルに腰かけて、香ばしい特製の麦茶を頂きながら就農3年目の横田岳(がく・27歳)さんと2年目の横田海(かい・22歳)さんにお話をうかがいました。
 


~横田農場~

「我が子のアトピーを治したい」というお二人の両親の想いから有機農家として27年前に始まった横田農場。アトピーはすっかり治り、今では成長した兄弟の強力なタッグで、一日農業体験「農楽(のら)」や「子供といっしょに学ぼう!農家のお仕事」など消費者と共にある農場へと進化し続けています。
ネットを利用した発信も盛んで、横田農場のホームページをのぞくと、四季折々の畑の様子や日々の営みをのぞくことが出来ます。

 
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~転換期~
横田さん達は所属していた出荷共同体がなくなりお客さんを失った時、改めて、自分たちの農業の在り方について家族で話し合う機会を持つことができたそうです。
その頃は周りの農家さんの増加などにより、肥料を作るために地域業者さんから仕入れていた米ぬかやおからが足らなくなってきていた時期でもありました。さらに、化学肥料の値が上がりに伴い、慣行農家の方々も安価である有機質の資源に目を向けるようになったため、需要が逼迫してきたそうです。

そこで横田さんふと考えたのは、「このまま有機農業が普及したときに、米ぬかなどの資源は足りるのか。」ということでした。

結局の所、今まで有機農業が当たり前のように使えた資源は、慣行農業のあまりものを頂戴していたことに気づいたのだそうです。「市場規模0.4パーセントの有機農業」対「残りの大多数を占める慣行農業」という圧倒的物量差なので、それまでは慣行農業の生産物を中心としたあらゆる食料品や、輸入農産物からでる大量のロス (食品ロスや食料残さ、家畜糞尿などの人工的な有機資源)を難なく使えていました。
しかも、その物量にものを言わせて、資源を多投してきた有機農法さえあったそうです。しかしその状況は変わろうとしていました。

「このままの有機農業が広がれば資源不足を招き、海外の輸入資源の高騰によって、それとは無関係だったはずの有機農業まで影響を受ける。 有機農業の本分は、『持続可能性』と考えていたが、本当に持続可能な農法になっているのか。」


生産の過程で科学肥料や農薬が使われている慣行農家から仕入れた米ぬかは残留農薬などの安全性が問題視される傾向がある一方で、米ぬかという資源は「化学肥料」や「農薬」によって支えられている現状があるそうです。また、化学肥料や農薬の原料はほぼ全てが海外からの輸入でだそうです。つまり、農業を営むための資源を海外に依存しているのは、慣行農業も有機農業も変わらないと言える。

「日本の農業の行く末は、資源輸出国の胸三寸であり、自分たちで決められない。そういう意味では、種子も同じ状況。農業は土と種があってはじめてのもの。しかしその種のほとんども輸入に依存しきっている。」

横田さん達が、持続可能性をキーワードに考えていった結果、見えてきたのは外からの輸入に依存する日本の農業の現実でした。
 


〜持続可能な農業を〜

自分達の有機農業を問い直すという転換期を経て、横田さん達が辿りついたのは、土作りも、種も、なるべく自立した形で行おうというものでした。

近くの里山、畑で作る緑肥、あぜ草、そうした自分の目で見て、確認できる範囲の資源を活かしながら土作りをしつつ、種採りをする。
自然の中で自立し、共生することで安心安全を自分たちで説明することもできる。

実は、そうした身の回りの資源の量はとても限られるので結果的に無肥料栽培になり、さらに種採りもしているため、自然栽培になっているそうですが、横田兄弟はこれをあえて有機農業と言っているそうです。

お二人からは生産者として本当の安心安全を提供し、持続可能な農業をしていくのだという強い意志を感じました。私達も一消費者として安心安全について腰を据えて考えていくべき時が来ているのだと感じました。

 
~子供の頃の原体験~

横田兄弟は小学生の頃、毎日のように山や川で遊び、自分たちで遊びをつくりだすなど本当に自由に過ごしていたそうです。

「今思うと、あの頃に物事の本質というものを学んでいた気がする。」

お二人は自然の中で過ごすし、その営みや変化の中に身を置くことで、感性や自分で考える力を磨いていたのかもしれないなと感じました。
そんな子供時代の原体験が今のお二人の根幹をなしているのかもしれません。
また、まじめな話をしながらも、時折軽やかに笑うお二人に少年のような、みずみずしさを感じられるのもそんな幼少時代の新鮮な思い出があるからなのかなと思いました。
そんなお二人の農場では農業体験ができる農楽(のら)という取り組みもあるそうです^ ^

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読んでいただき、ありがとうございました。
それではまた!