ここまでリスケジュールの基本的な事項についてお話してきました。
リスケジュールや再生、経営改善において避けて通れないポイント、「粉飾決算」があるとき、粉飾がない時と比べどのような差がでてくるのでしょうか。
【リスケジュールの審議では】
「え、リスケですか?業績は良かったはずでは…?」というのが金融機関の感想になります。「どうしておカネがきついんですか?えっ、粉飾…?」となると金融機関、特に担当者の気持ちは大きく傷つきます。
粉飾する理由は何か。
おカネを借り続けないとやっていけないからです。状況としては、①建売のように先に資材や外注費が出ていく業態だとどうしても借入が発生、②業績自体は黒字でも約定返済をするところまではいかない、という黒字なら、恒常的に借り換えが発生する、などの理由で赤字を隠そうとします。
つまり粉飾をした決算書に基づきおカネを借りているケースがほとんどではないかと思います。
融資担当者としてはそれなりの苦労をして出したおカネ。
「苦労して上を説得したのに」
「粉飾決算に基づいておカネ出したのか」
とやりきれない思いになります。
「粉飾ではなく、そのままの決算書を見ていたらそもそも貸していない。それを返済猶予、ですか?」というのが正直なところでしょう。
言いたいことはいろいろあるが、でもここでリスケジュールしないとつぶれちゃうんですよね?ということでリスケジュールを飲み込んでくれるケースが多いようです。
【粉飾を隠したままリスケジュールはできるか】
リスケジュールをお願いする以上、「これからこのように良くなっていく」という計画を作るわけですが、粉飾を隠したままだといろいろつじつまが合わなくなってきます。
さきの、「業績はよかったはずでは」というのもその一つ。
「今後このように良くしていきます」という部分では、現状把握、窮境原因の特定が必要ですから、筋の通った話にするためには、「実は粉飾をしていました。業績は良くなく、今後はそれをこのように改善していきます」というストーリーで金融機関に対する説明をしないと、金融機関が納得するものにはならないはずです。
【提出書類は】
粉飾がある場合は、「(3)リスケジュールに必要な条件、必要なもの」に書いた、①-④の書類に加え、
⑤わび状 …粉飾していたことを反省し、謝罪すること
⑥粉飾の実態が分かる資料の提示 …実際には各期の収支はどうだったか、今の貸借対照表はどうなっているのか、実質債務超過になっているのかいないのか。
⑦粉飾の実情 …どのような手口でやったのか、経営者の指示があったか、税理士は知っていたか
⑧今後の改善 …粉飾の再発を防止するためにはどのような手立てをとるか。(社内のチェック体制の整備など)
が必要になります。⑥は数値中心の資料になります。⑤、⑦、⑧は文章で説明をしていく資料になりますのでこれらの内容が入っていればひとまとめにして提出してもよいと思います。
ここでの注意事項は、粉飾関連の上記の書類で「すべて」を明らかにすることです。何かがあとで発覚すると、「まだ隠していることがあるのでは」という疑念が生じ、本当に金融機関の支援を受けられなくなる可能性があるからです。
【まとめ】
結論として粉飾があってもリスケジュールは可能だと思います。
しかし、金融機関との信頼関係はゆらぎ、そのあとの目線は厳しいものになると思います。
このブログは「会社をつぶさない」「改善していく」のが主眼です。「粉飾から正常化していくのは大変そうだからあきらめる」ということにはなりません。誠意をもって対処し、自社を健全化していくには?を模索していくことになります。
「がんばれ経営者!ひとりでもできる事業再生・経営改善ノウハウ」
「できる、できるよ。必ずできる!」