山本的2012年レコード大賞発表! | 「Nothing But The Blues」 By 山本慎也

「Nothing But The Blues」 By 山本慎也

日本語ブルーズを歌っています。ライヴ、音楽、執筆文を掲載した雑誌、日本文学、プロレス、日々のことなどを、不定期に綴ります。

2012年は、相変わらず原発事故をめぐる国のありように憤りと無力さを覚えた一年でした。個人的には仕事に時間を割かれ、夏以降はライヴから遠ざかっていましたが、素晴らしい音楽とはたくさん出会えました。

ということで、今年も個人的ベスト作品を列記してみます。

頭に★がついているものは、僕が2012年に特にたくさん聴いたものです。あくまでも内容の良し悪しではなく、僕のバイオリズムとの一致の度合いの問題です。全て文句なしの傑作ですので、あしからず。



◎新譜[ブルーズ/R&B]
★Robert Cray Band 《Nothin' But Love》
またしても大爆発、大傑作。バンドの完成度は、モダン・ブルース至上最高と言いたい。ブルースの未来はクレイにある!


★Lurrie Bell 《Devil Ain't Got No Music》
アコースティックでゴスペル、だけどこれぞ、魂のこもった現在進行形のブルースです。


Curtis Salgado 《Soul Shot》
まっすぐに響く歌声、正統派ブルーズン・ソウルは、ギミックなしです。我が師J.G.W.の〈Strung Out〉も、J.G.W.がひねって演奏したものを逆向きにひねって、ストレートに演奏しています。


Jimmy Cliff 《ReBirth》
若々しい演奏をバックに、年を重ねて苦みを加えたジミーの歌が沁みます。The Clashの〈Guns Of Brixton〉なんてやってくれてて、盛り上がらないわけがない!


Tedeschi Trucks Band 《Everybody's Talkin'》
貫録のライヴ盤。ここでのスーザン嬢の歌は、神がかり的です。


Dr. John 《Locked Down》
土着的なリズムも良いけど、こういうキリッとしたロックなリズムでも、マックさんの怪しさは際立ちます。

Buddy Guy 《Live at Legends》
ライヴも絶好調だけれど、蔵出しスタジオ録音の生々しい、直情的な演奏に腰を抜かしました。


近藤房之助 《1968 Vol.2》
こんなに活き活きとブルースを演奏する房之助さんの新譜が聴けるとは!


★コージー大内 《X(ばってん)ブルース》
衝撃の1stから4年、前作を上回る素晴らしい日本のブルース。ライヴ未体験の方は、ぜひ足を運んでもらいたいです。

★トータス松本 《Twistin' Night Away》
サム・クックへの愛が、こちらの邪念を凌駕します。こうやってあふれ出るものを吐き出した音楽には、説得力があります。


◎新譜[ロック/スワンプ/S.S.W.]

Van Morrison《Born to Sing- No Plan B》
使命を全うするかのように、ソウルとロックをじっくりと歌います。深く実直な歌唱が、すっと胸に沁み込んできます。

Bruce Springsteen 《Wrecking Ball》
シンプル、アグレッシヴ!


Bonnie Raitt 《Slipstream》
久しぶりにどっぷりと泥臭い歌とスライドを堪能しました。


PiL 《This Is PiL》
ポップで下品。ジョン・ライドンのアクの強さが、作品の素晴らしさとしてしっかり昇華されたのは、かなり久しいのではないでしょうか。


Bob Dylan 《Tempest》
もう、呼吸をするみたいに歌を唄う境地なのでしょうか。音の中に、今のディランが住んでいます。


ZZ Top 《La Futura》
期待を裏切らない怪しいブギーが満載です。


Joe Jackson 《The Duke》
エリントン・トリビュート企画。良い意味で、変人具合が爆発しています。そこに拍車をかける、ゲストのイギー・ポップの怪唱に拍手です。

★龍之介 《ともしび》
2012年の前半は、たくさん聴きました。過去の作品からずっと聴いていると、人間としての成長が、音に出ていることが良く分かります。僕らは多かれ少なかれ、苦悩しながら、なんとか生き長らえて、人生を謳歌しています。そんな音。僕もハーモニカでちょこっと参加しました。



◎発掘

★Dan Penn 《The Fame Recordings》
若かりし頃の作家としてのデモ録音と、珍しいシングル曲を初CD化。初々しいダン様に、惚れまくりです。白人だろうが、彼こそが稀代のソウルマンです。


Magic Sam 《Raw Blues!》
まさかの発掘未発表ライヴ。音は劣悪ですが、最初から最後まで沸騰しています。


Eddie Holland 《It Moves Me/Complete Recordings 1958-64》
D=H=Dの名トリオでスタックスの隆盛を支えたエディのコンピリート集。まろやかな曲と声に、うっとり。


Barbara Lynn 《Here Is Barbara Lynn》
アトランティックの1000円シリーズから、こちらを代表でセレクト。ストーンズがカヴァーしたバーバラしか知らない人は、損をしていますので、こちらを聴いてみて下さい。アップもバラードも絶品ソウル満載。


Taj Mahal 《The Hidden Treasures Of》
タジの全盛期のスタジオ&ライヴの未発表音源のCD化。ジェシ・エド・デイヴィスのギターがたくさん聴ける!


The Kinks 《at the BBC》
CD5枚+DVD1枚。60年代から90年代までのBBC保有音源のコンプリート版です。これが、悪いわけがない!


Led Zeppelin 《Celebration Day》
2007年のライヴ実況版。楽しみました。ジェイソンの成長が、当時のグルーヴを疑似体験させてくれます。すごいバンドです。



◎The Rolling Stones
★《Live at Checkerboard Lounge》(Muddy Waters & The Rolling Stones)
待ちに待った作品化。主役はマディですが、ストーンズの面々も、大活躍です。


★《GRRR!》
スパーデラックスの4枚ベスト。でも聴きどころはそのほかのおまけにあり。ブートレッグで聴いていた未発表の音の良さも衝撃でしたが、やはり新曲2曲を絶賛します。枯れることを知らない現役感、そしてストーンズ唯一無比のサウンド!


★《Charlie Is My Darling》
65年ツアーのドキュメント映画のデラックス版。目からうろこのシーンが満載です。そして、スーパーデラックス版に同梱された同65年の英国ツアー完全パック《Live In England 1965》は、近年のストーンズ・アーカイヴで一番の衝撃でした。チャーリーの激しさに、体が固まりました。



前半は2011年から続くサム・クック祭、後半は結成50年を迎えたストーンズに浮かれていました。
2013年は、ストーンズに浮かれ続ける予感がしていますが、ともあれ、ライヴ活動とレコーディング活動を再開します!
今年も素晴らしい音楽に出会えますように…。


「Nothing But The Blues」 By 山本慎也-Nothin' But Love  「Nothing But The Blues」 By 山本慎也-Devil Ain't Got No Music


「Nothing But The Blues」 By 山本慎也-The Fame Recordings 「Nothing But The Blues」 By 山本慎也-ばってんブルース

「Nothing But The Blues」 By 山本慎也-TWISTIN’ THE NIGHT AWAY 「Nothing But The Blues」 By 山本慎也-ともしび



「Nothing But The Blues」 By 山本慎也-GRRR!  「Nothing But The Blues」 By 山本慎也-Charlie Is My Darling

「Nothing But The Blues」 By 山本慎也-Live at Checkerboard Lounge