(その1から つづき)

信号にいたのはその弟の方でした。

通り過ぎて、「間違いないよな・・・」と思って振り返って見ると、彼の自転車の後輪がペシャンコです。
「それ、パンクしてるんじゃない?」と言うと、「そうなんだ。横のところが中に食い込んでて・・・」。
「おじさんが直してやろうか?」と言うと、「えっ、僕のこと知ってるの?」と言います。
「うん、何度か一緒に雪かきしたことがある子でしょ? お兄ちゃんがいるでしょ?」と言うとニッコリ笑ってうなずきました。
「おいで、直してあげるから」と言うと、パンクした自転車に乗ったまま着いてきました。
家に入ってクッキー一つ取ってきて、「まずはこのおやつでも食べて、おじさんと一緒にパンク直そう」と言うとニコニコ。
「ありがとう。仕事から帰って来て疲れているのにゴメンネ」とか小学4年生なのに大人びたことを言います。
聞けば去年の秋からパンクしたまま乗っていたようです。
彼が学校で先生に怒られた話などを聞きながら二人でパンクの箇所を見つけ、接着剤をつけてパッチをあてました。
曇っていて日が当っていなかったのと気温が低かったのとで接着剤の着きが心配でしたが、とりあえず空気はもれていなかったのでチューブを装着して空気を入れて修理終了。
「一丁上がり!」って言うと、「ありがとう、疲れてるのに」とか言います。
「お安い御用だよ、乗ってみて」と言うと、うれしそうにこぎ出しました。
すると軽快にその辺走り回って、「だいじょうぶそう!」と声を上げました。
「じゃあ、気をつけて乗るんだよ」と言って修理の道具を片づけようとしていると、「ちょっと待って」と言って自転車から降りて来ました。
何をするのかと思っていると、近づいてきて抱きついてきました。
「ありがとう!」って・・・
とびっきりの笑顔を一緒に!

この出会いのために神様は私が今日早く帰れるようにしてくれたのだとわかりました。
少し早ければ、信号の所に彼は来ていなかったでしょう。
少し遅ければ、彼は信号を渡っていたでしょう。

神様が又一人わたしに神様の宝物と親しくなる機会をくれました。
彼が抱きついて来た時、お互いに「宝物」だって確認できました。

あなたも、あなたの周りにいる人もみんな神様の宝物です。
「あたりまえ」になってしまっていませんんか?

一緒に生きているのは「あたりまえ」のことではありません。
それを確認し合える機会が与えられますように。
お互いを喜び合えますように。