お薬を服用される際の考え方・注意点 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 現在の片頭痛治療方針では、発作急性期には各種のトリプタン製剤を使い分け、発作間歇期には各種の予防薬を”適切に”選択すべきとされ、これで片頭痛の治療体系は確立されたとされています。
 このように「薬物療法」がすべてであり、片頭痛という辛い痛みだけを軽減・緩和させることに主眼が置かれ、このようにしておれば、いずれ3割前後の方々は治癒していくとされています。このようになるようにしかならないといった、”ケセラセラ”ということを意味しています。


 ところが、専門家が片頭痛の特効薬とされるトリプタン製剤を、いくら片頭痛発作時に毎回服用しても、全体の3割の方々は、片頭痛は悪化し、慢性化してきます。
 このことは、これまでも明らかにしてきました。


 このように、これまで”慢性頭痛”治療の世界では、各種の諸々の薬剤によって、ただ単に”頭痛という痛み”さえとれば、これで”一件落着”(万事が解決した)と安易に考えられてきました。


 すなわち、従来から、頭痛があれば、まず市販の鎮痛薬を、これでダメなら病院での鎮痛薬NSAIDs、これで効かなければエルゴタミン製剤を、これでも効かなければトリプタン製剤が勧められてきました。
 このように段階的に、”鎮痛薬”の服用が推奨されてきました。
 そして、最後の”砦”とされるトリプタン製剤は片頭痛の”特効薬”とされてきました。
 トリプタン製剤は確かに鎮痛効果は優れています。しかし、これをいくら飲まれたからといって、片頭痛そのものは根本的に治ってしまうことはありません。大半の方々は、一生、トリプタン製剤のお世話にならなくなっているのが実情で、結局、頭痛を起こす原因に対処していないためこのような結果になっているということです。


 現在、使われているトリプタン製剤や予防薬はあくまでも”補助的手段”でしかなく、”対症療法”でしかありません。


  この点が最も大切なことであり、”くすり”さえ飲んでおれば、片頭痛が治ってしまうことはなく、専門家の言われるようにトリプタン製剤は片頭痛の特効薬でも何でもないことを、まず認識しておくことが重要です。
 最も大切なことは、片頭痛は後天性ミトコンドリア病、すなわちミトコンドリアの機能の低下したために起きる頭痛であるということです。
 ということは、あなたの片頭痛がどのような生活習慣の問題点から起きてきたものかを確認し、これを是正・改善しなくてはならないということです。


 頭痛が起きてしまえば、当然のこととして、たちまちは鎮痛薬を痛みを緩和させることは必要です。しかし、毎回、このように痛みだけを緩和させて、治まればこれで全てが解決した、一件落着したと決して思わないことです。
 前回述べましたように、”日常的に感じる極く軽度の頭痛”が最初に起きた時点から、頭痛が起きた原因が存在します。
 これに対して根本的な・抜本的な対処をしておきませんと、その後の生活習慣の問題点が次々に追加されることによって、頭痛そのものが複雑なものになってき、一筋縄ではいかなくなってきます。このことは、これまで述べました。
  このような生活習慣の問題点を是正しながら”適宜”服用するのが原則です。

 
 これを是正しながら、日常生活を送ることになりますが、まだ頭痛が再発するようであれば、なお是正しきれていない生活習慣の問題点が残っていることを意味しています。
 こうしたことから、さらに残された生活習慣の問題点を是正していく必要があります。


トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛を作ってくる背景


 鎮痛薬の使い方として、段階的な使い方をすべきであるにも関わらず、最近では市販の鎮痛薬の弊害(既述のように)を警告して、最初から、いきなりトリプタン製剤の服用が勧められてきました。
 特に20歳前半の片頭痛患者さんでは、鎮痛薬のみで対処可能な場合が多いはずです。 にもかかわらず、このような年代の方々にまで服用を勧めています。
 このような時期から、このような対応をすれば、トリプタン製剤が効かなくなる時期も当然早まってくることを余儀なくさせられます。


 さらに、頭痛が”完全に”消失することまで期待する人も多くみられます。
 多くの片頭痛では、緊張型頭痛に重なった形にあるため(緊張型頭痛も片頭痛も一連の頭痛です)、トリプタン製剤では、上層にある片頭痛は改善されても、下層にある緊張型頭痛の軽い頭痛までは完全に無くすことはできません。このため、ひたすら”完全に”痛みをとろうと考えることから、服用回数が増えてくることになります。このため薬剤乱用頭痛を作ることになります。
 このため、就業などに支障がない程度まで改善されれば、それで、「よし」、とすべきでありながら、このような指導もなく、服用を勧めれば、必ずといってよい位に、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛を作ってくることになります。トリプタン製剤は、このように完璧には頭痛を消失させる程の効果はないと心得なくてはなりません。


  さらに、日本では、欧米に比べて、軽い片頭痛にまで、トリプタン製剤の投与を勧める基準が作成されています。本来なら、市販の鎮痛薬もしくは、病院での鎮痛薬で対処すべきであり、エルゴタミン製剤を考慮すべきでありながら、副作用だけを強調して、敬遠されてきました。このようにトリプタン製剤が優先されてきました。


 そして、トリプタン製剤は、大半は有効時間が短いため、片頭痛発作の持続時間が長いと、1回の服用で頭痛を抑制できずに、服用回数が増えざるを得ないという宿命にある薬剤ですので、市販の鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、エルゴタミン製剤より以上に ”薬剤乱用頭痛を引き起こしやすい薬剤”とされています。
 逆に、エルゴタミン製剤は、トリプタン製剤よりは、ずっと有効時間が長い長所があることを忘れてはならない点です。


  このように、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛を生む背景が多く存在しています。


  市販の鎮痛薬、病院での鎮痛薬NSAIDs、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤、などの頭痛薬は、私達の体にとっては、これらの薬剤は、つい最近まで人類の体内に入ることはなかった物質(異物)なので、体は”異物・毒”と理解してしまうのです。
 そして、異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程で、活性酸素が発生してしまいます。この活性酸素がミトコンドリアを弱らせる結果となり、頭痛を増強させてくることになります。
  さらに、これらの薬剤はすべて「化学的ストレス」となって脳内セロトニンを低下させることになり、この2つによって、結果的に、薬剤乱用頭痛を併発させることになります。


 このように、頭痛治療とは、薬剤乱用頭痛との戦いといっても過言ではなく、この点が極めて重要な点です。薬剤乱用頭痛は、トリプタン製剤だけに限らず、すべての頭痛薬に共通した問題になっています。
 


 そして、専門家は、トリプタン製剤が片頭痛に効く理由は、基本的に、片頭痛発作時には、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少あるいは機能が低下しており、片頭痛発作の時に、脳内セロトニン様作用をもつトリプタンを投与することによって、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップ(補填)して効力を発揮するとされます。
 ところが、肝心要の”中枢神経系でセロトニンが減少する””セロトニンが機能低下状態になっている”理由がまだ”謎”とされます。


 このように専門家が謎とされる理由は、片頭痛をミトコンドリアの機能が低下することによって起きる頭痛と考えないことにあります。


  ミトコンドリアの機能が低下すれば、当然のこととして、セロトニン神経系の機能は低下してきます。ここに、生活習慣の問題点、すなわち、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
  ただ、これだけの単純なことにすぎません。
  そして、ミトコンドリアの機能を低下させる要因をなくさない限りは、「酸化ストレス・炎症体質」を形成させることになり、さらに、脳内セロトニンを低下させることになり、次第に、片頭痛は増悪してくることに至ります。

 このために、片頭痛発作時にいくら、トリプタン製剤を服用して、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップ(補填)しようとも、補填しきれなくなってくることになります。
 セロトニン神経系とミトコンドリアと常に連動して作用していることを忘れてはなりません。

 こうしたことから、専門家のいうように、市販の鎮痛薬を服用することで、片頭痛が増悪するというのは”本命”ではなく、あくまでも脇役でしかないということです。こういったことから、専門家の詭弁に惑わされてはならないということです。


 このようなミトコンドリアとセロトニン神経系との関連は、エルゴタミン製剤が主流の時代に行われていた、常日頃から「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、姿勢を正しくし、リラックスするように」との生活指導内容そのものは、ミトコンドリアの働きをよくさせ、脳内セロトニンを増やすための指導だったはずのものです。


 これらによって、片頭痛発作が抑制されていた理由が示されていたものです。


  ということは、このような指導が現在まったくなされなくなっていることが、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛を増加させてきた最大の理由と考えなくてはなりません。

 


”予防薬”


 たいていの片頭痛患者さんは抑制治療だけで済むのですが、人によって、頭痛の回数が多い、抑制薬を使いすぎる、抑制薬が効かない、頭痛の回数を減らしたいという患者さんに対しては、予防薬を併用します。
 また、緊張型頭痛での難治の場合にも予防薬を使います。
 ここで注意しなくてはならないことは、”予防薬”という表現です。
 いかにも片頭痛が予防できるような錯覚を覚えますが、決して片頭痛そのものが”予防”できるものではなく、片頭痛の発作回数を減らし、発作時服用するお薬の効き目をよくする程度の働きしかありません。


 この予防薬としては、以下のようなものがあります。


   1.ベータ遮断薬
   2.カルシウム拮抗薬
   3.カルデサルタン
   4.抗うつ薬
   5.抗てんかん薬
   6.ビタミン類
   7.ボツリヌス毒素


 このような予防薬は、始めから予防薬として開発されたものはカルシウム拮抗薬のミグシス、テラナスだけで、これ以外のものは片頭痛の方々が、例えば同時に高血圧を合併しておられ、ベータ遮断薬やカルデサルタンを同時に服用されていた際に、偶然、片頭痛発作回数が減ったことから”予防効果”があるとされたものです。
 しわのある部位にボトックスを注射すると筋肉が弛緩してしわができにくくなるために、美容目的の治療でボツリヌス毒素製剤を使った患者さんで片頭痛が改善したことから、このボツリヌス毒素製剤が予防薬として使われています。
 片頭痛とてんかんは密接な関係にあって,「片頭痛は本質的にてんかんの一種である」ことが強調されており、”脳の興奮性の亢進”を抑制させる目的で抗てんかん薬が予防薬として使われていますが、このなかのデパケンはミトコンドリア毒性があるため、服用上注意が必要で、とくに子供の片頭痛に使うには問題があります。
 ミトコンドリア病を持つ人々にミトコンドリアの機能をよくするビタミンB2を摂取させると、片頭痛が改善されることが分かっており、逆に、片頭痛もちの人たちもビタミンB2を摂取することで、7割近くの人の頭痛が改善することから、ビタミン剤のビタミンB2が予防薬として使われていますが、予防薬というより根本的な治療薬と考えられるべきものです。
 このようにミグシス、ビタミンB2以外の薬剤は、片頭痛に使っていて偶然、片頭痛の発作回数が減少したことから”予防効果”があるとされたものばかりです。このため薬効の不確かなものばかりで、どうして効くのかは、あとで付け足しで考えられたものです。


 日本で初めて、片頭痛の予防薬として保険適用されてたのは、塩酸ロメリジンという薬で、最近、各種の薬剤が保険適応になって参りました。


予防薬の有効率


 しかし、これらの薬剤が、すべての患者さんに効くというわけではありません。予防治療の有効率は決して高いものではありません。
 ほとんどの薬剤が、有効率は30~40%、すなわち10人中3~4人しか効きません。
 しかし、個人差が激しいので、薬によって有効率は異なります。効かなかった場合には、他の薬に変えてまた、2~3カ月様子をみる、という気長な対応が必要です。
 また、効果を確認できるまでの期間も短くないのです。
 予防治療に使われるどの薬剤も、効果を発揮するまでには4週間くらいはかかります。
 はじめの2週間くらいはまったく効かないのが普通です。3~4週めになっていくらか頭痛の回数が減っていると感じたら、効果があったと考えてよいでしょう。なかには、2カ月めになってやっと効果がはっきりしてくることもあります。
 こういった理由から、多くの患者さんは、予防薬の効果が現れるまでの期間が長く、極めて緩やかな効き方しかしません。
 確かに、数年間にわたって、1種類ずつ処方されておられる場合もあるようですが、このような方式は、あくまでも偉い先生方がされた場合のことで、じっと我慢して服用されておられる方々は少ないのではないでしょうか?
 大半の方々は途中で治療をあきらめ、ひいては頭痛患者さんが医療機関を敬遠される元凶になっているものと思われます。
 このような効き目しかないため、鹿児島の田村正年先生は予防薬の多剤併用療法を提唱され、最初から3,4種類の予防薬を併用すべきとされます。


 私は、予防薬がこのような効果しか得られない理由として、片頭痛の発症要因として何が考えられるのかを、まず想定すべきであり、この要因を中心として是正すべきと思っております。
 こういったことから、治療当初から「生活習慣の問題点の是正」が必要と考えています。
 これまで、予防薬の効果が思わしくなかった理由として、治療当初からの「生活習慣の問題点の是正」が徹底して行われてこなかったことにあると思っております。
  治療当初から「生活習慣の問題点の是正」が行われる限り、もっと予防薬の有効性を引き出すことが可能と考えております。


 以上のように、予防薬を服用する場合も、当然、これまでの生活習慣の問題点を点検しながら、これを同時に改善させながら服用していくのが原則です。
 これをされませんと、期待した程の効果が得られないことになります。

 
 漫然と予防薬を服用していてはならないということです。

 


  トリプタン製剤による「薬剤乱用頭痛」がなぜ増加したのでしょうか
    
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12264045857.html


 
 そして、どの鎮痛薬であれ、服用する際の原則は、痛みが出現すれば直ちに服用することです。我慢して、服用が遅れれば、効果が得られなくなってしまいます。服用する以上は、頭痛の起こり始めの早期に服用しなくてはなりません。そして、このような鎮痛薬の服用は”月10回以内”になるように努力・工夫しなくてはなりません。これ以上を何ヶ月も継続されますと、薬剤乱用頭痛を併発してくることになり、いくら服用されても鎮痛薬の効果が得られなくなり、極めて厄介な状況を作ってくることになりかねません。
 これまで述べたような対処を徹底されれば、まず、鎮痛薬は必要はなくなるはずです。このような日常的に感じる極く軽度の頭痛の段階であれば、その要因はそれ程複雑なものではないはずです。このように初期の段階で、慢性頭痛の”芽”を摘み取ってしまうことが極めて重要になってきます。


 このように、生活習慣の問題点を是正させることとの謂わば”競争”のようなものです。 頭痛治療は、こうした薬剤乱用頭痛との戦いともいえるものです。
 そうしませんと、市販の鎮痛薬→病院の鎮痛薬→エルゴタミン製剤→トリプタン製剤へと次第に強い鎮痛薬に変更せざるを得なくなり、最後のトリプタン製剤にまで行き着くことになり、最後のトリプタン製剤によって薬剤乱用頭痛に陥れば、もう服用する鎮痛薬はないことになり、一生、頭痛地獄を味合うことになってしまいます。
 このようになるまでの間に、生活習慣の問題点を是正しなくてはなりません。このような競争をしなくてはならないということです。これが、お薬を服用する際の原則です。このことは、”予防薬”を服用する際にも当てはまり、まったく同じ考え方で行う必要があります。


 最近、市販の鎮痛薬も各種のものが新たに工夫が施されたものが多数開発されてきましたが、こうした新薬ほど、これまでになかったものであることから、私達の体にとっては、これらの薬剤は、つい最近まで人類の体内に入ることはなかった物質(異物)なので、体は”異物・毒”と理解してしまうのです。
 そして、異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程でも、活性酸素が発生してしまいます。
 このようにして、ミトコンドリアを弱らせる結果となり、頭痛を増強させてくることになります。結果的に、薬剤乱用頭痛を併発させることになります。