片頭痛とミトコンドリア その6 鉄分の役割 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 電子伝達系があるミトコンドリア膜には鉄は必須です。
 貧血や鉄欠乏貧血など鉄の不足があると、TCAサイクルや電子伝達系での反応が進みにくいため、エネルギー不足で疲れやすい、強い冷え症などの症状が発現し、また脂肪が燃えにくくなります。
 このように、鉄分の不足は、ミトコンドリアのエネルギー代謝がスムーズに行かなくなります。その結果、機能低下を招くことになります。そして、片頭痛を引き起こしやすくなってきます。


 女性は月経の出血により鉄分が少しずつ失われていくことで鉄欠乏性貧血になる人が多く、20代、30代、40代と年齢が高くなるにつれて貧血の人が増える傾向にあります。40代になると女性の約3割が貧血になっています。
 体内で鉄が減少すると、貯蔵鉄であるフェリチンが使われ減っていきます。 フェリチンが不足すると血液中の鉄分も徐々に不足し、最後にヘモグロビンが減少し貧血が起こります。
 貯蔵鉄のフェリチンの理想値は100~300 で、男性の99.9%はフェリチン100以上です。 50歳以上の女性の80%はフェリチン100以上です。
 しかし、15~50歳女性の80%はフェリチン30以下の鉄不足で、40%はフェリチン10以下の深刻な鉄不足です。
 鉄欠乏性貧血にまで至らない鉄欠乏状態である方々は成人女性の約40%存在します。


鉄分不足の貧血が片頭痛を引き起こす!?


 鉄は体内で以下のような様々な重要な役割を果たしています。


1.鉄は赤血球の重要な構成要素として酸素の運搬に関わっています
 

 全身の細胞へ酸素を運び、蓄えます。
 

   ・酸素の運搬 : 赤血球のヘモグロビン
    ・酸素の備蓄 : 筋肉細胞のミオグロビン

 
2.エネルギーを生み出す
 

 ミトコンドリアでATPを産生します。ATPは細胞の中にあるミトコンドリアで作られます。そして、ミトコンドリアの中には鉄が保存されています。
 たとえば、過度なダイエットなどで鉄分が不足すると、ミトコンドリアに蓄えられていた鉄が使われて減っていきます。


 鉄が減ればATPを充分に作れなくなりますので、体温を維持することができず、冷え症が起こってくるのです。鉄不足がもっと進むと貧血になりますが、冷え症はその前に起こる現象です。
 電子伝達系があるミトコンドリア膜には鉄は必須なのです。すなわち、鉄不足があると、ATP不足と乳酸蓄積を生じます。ミトコンドリアはチトクローム系酵素「ヘム酵素」を含みヘム鉄が材料のため、ミトコンドリアの多い臓器は鉄の赤い色をしています。貧血や鉄欠乏貧血など鉄の不足があると、TCAサイクルや電子伝達系での反応が進みにくいため、エネルギー不足で疲れやすい、強い冷え症などの症状が発現し、また脂肪が燃えにくくなります。鉄は、ヘモグロビンの材料になるだけではなく、各細胞のミトコンドリアにおけるエネルギー代謝の触媒のような働きをします。


3.活性酸素から体を守る

 
 抗酸化酵素(カタラーゼ・SOD)の補助因子として働きます。
 カタラーゼやグルタチオン・ペルオキシターゼなどの抗酸化酵素の構成要素となって活性酸素の消去に関わっています。


4.コラーゲンの合成を助ける
 

 酵素シトクロムP450は鉄を補因子として、ビタミンCを補酵素としてコラーゲン特有のアミノ酸 (ヒドロキシプロリン・ヒドロキシリジン)を合成します。これは皮膚に関連し、美肌に影響があります。
 

5.有害物質の排泄を助ける

 
 肝臓に多い水酸化酵素シトクロムP450の補助因子として、水に溶けやすく排泄されやすい形に換えます。ミトコンドリア内でシトクローム酵素の構成成分としてATPの合成に重要な働きを負っています。

 
6.神経伝達物質(脳内セロトニン)の産生に関わっている

 
 鉄分が不足すると、ヘモグロビンが充分に作られないので、貧血が起こります。貧血が起こると、脳内にも酸素や栄養素がしっかりと届かなくなるため、充分なセロトニンを合成することもできなくなります。
 鉄分は実はセロトニンなどの神経伝達物質を作るときの酵素を助ける「補酵素」として機能しているため、鉄分が充分潤っている体内ではセロトニンがスムーズに作られますが、鉄分不足だと、セロトニンの生成自体が出来なくなるわけです。
 つまり、セロトニンの合成には、トリプトファンとビタミンB6とマグネシウムとナイアシンが必要!であり、実は「鉄分」も必要なのです。
 トリプトファンというアミノ酸からセロトニンができる過程や、チロシンというアミノ酸からドーパミンができる過程で、鉄が必要になってくるのです。
 片頭痛持ちの人は、鉄欠乏性貧血になると頭痛が増え、頭痛の強度が増強してきます。

 
鉄不足はエネルギー不足と心得ましょう 


 鉄については新しい認識として「鉄不足=貧血」ではなく、「鉄不足=エネルギー不足」だと思って下さい。というのも鉄はエネルギーを作り出すうえで欠かせない成分なので、鉄が不足するとエネルギー不足になります。
 その結果、元気もでませんし、疲れやすいし、体温も上がらないので冷え症にもなりやすくなります。体のすべての機能が低下してしまうのです。
   このようにして、ミトコンドリアの機能を悪化させてきます。


 鉄不足の影響が体のどこにでるか、どういった症状で現れるかは人それぞれなのですが、いわゆる女性特有のトラブルといわれるものの背景には鉄不足が関わっているケースが多いということは覚えておいてください。
 実際に、不正出血だったり、鉄を摂取したところ便秘が改善したというケースもあるのです。この例は筋肉を収縮させる働きもする鉄分を補ったことで、子宮の筋肉がきちんと収縮するようになったこと、腸の蠕動運動が正常化したと考えられます。
 今現在、体の調子がいまいちすぐれないとか、年齢のせいかな?と思う衰えを感じているようなら、まずは鉄を補給するようにしてみてください。病院に行くのはそれからでも良いと思います。


カフェインの作用として・・コーヒーの飲み過ぎ


 カフェインには鉄分や亜鉛などミネラルの吸収を阻害する性質があります。
 カフェインは鉄分の吸収を阻害しますので、貧血気味の女性、貧血の人は、せっかく他で鉄分を補ってもカフェインのせいで鉄分吸収がうまく行われないことがあります。
 その他にも体から亜鉛、カリウム、カルシウムなどのミネラル、ビタミンCやB群を奪うことが知られており、このためエネルギー代謝を始め、多くの代謝に支障がでます。
 またカフェインの過剰摂取(1日300mg以上)はホルモンバランスを崩しますので、こちらも様々な影響を及ぼします。
 コーラ類や紅茶にはインスタント・コーヒーと同じくらいカフェインが含まれていますし、緑茶、ココア、チョコレートなどにも含まれます。市販薬に多量のカフェインが含まれているケースもあります。
 知らず知らずのうちに、自分が思っている以上にカフェインを摂ってしまう状況があります。有効な部分ももちろんあるのですが、摂りすぎには注意した方が良い成分、ということです。
 その良い例が、カフェインは頭痛を抑える働きがあるのですが、飲みすぎると逆に頭痛を引き起こす、という作用です。
 うまく摂り入れると良いのですが、過剰になると毒となります。注意したいものです。何でもそうですが、偏った摂り方は良いことはありません。


 鉄が大事だと思えば普段から食事の中で症状が出ていない人でもなるべく鉄を摂るようにしていきましょうという風に考えて下さい。その時の鉄、食べ物で言えばやはりレバーです、それからお肉の赤身です、レバー嫌いな人はお肉の赤身でいいですからそれをしっかり摂って下さい。そしてひじきにも入っていますが、少ないのでひじきだけで鉄をまかなうのはかなり難しいです。小松菜、ほうれん草に至っては鉄分が非常に少く、農薬を使っていますのでこれで摂るのもかなり厳しいです。バケツ1杯とか2杯とかのほうれん草を食べると賄えるかもしれませんがちょっと考えただけでも食べたくないです。それよりはお肉の赤身ということになってきます。