病気の原因の90%が活性酸素
活性酸素に関しては今から50年以上前に米国の生化学者フリードビッヒ博士によって解明され、その後世界各国で研究が行われてきました。
その結果、人が罹るあらゆる病気に活性酸素が関与していることが明白になりました。 今や病気の90%は活性酸素が原因だということが判明したのです。それでは残りの10%は何かといいますと、風邪やエイズ、また最近増えてきている結核などの菌が体内に入っておこる病気、すなわち感染症です。
人は呼吸することによって空気中から酸素を取り入れています。そして細胞はその酸素を使って栄養分を分解し、生きていくためのエネルギーを作り出しているのです。
ところが、この過程で吸った酸素の2~3%が体内で電子の欠けた悪い酸素になります。これが「活性酸素(フリーラジカル)」といわれている酸素なのです。
活性酸素のイメージとしてはなにか生き生きとした元気のよい酸素と思われるでしょう。ところが大変攻撃的な性格の激しい酸素なのです。そして正常な酸素から電子を奪い取ります。するとこの奪い取られた酸素もまた活性酸素になってしまい、他の正常な酸素を攻撃し電子を奪い取りにいくのです。こうしてどんどん連鎖反応をおこして活性酸素が一気に増えていくのです。
私たちの体は約60兆個の細胞で出来ています
私たちの体は約60兆個の細胞で出来ています。髪の毛も皮膚も血管もそしてあらゆる臓器が、一つ一つの細胞から成り立っているのです。
ですから健康であるということは、この細胞一つ一つが元気であるということなのです。 活性酸素はこの細胞に攻撃をしかけ、細胞を酸化させてしまいます。この細胞が酸化させられることによって、老化や癌、動脈硬化などの生活習慣病が引き起こされるのです。
あらゆる臓器が細胞の集合によって構成されているのですから、もしも仮に皮膚の細胞が酸化されたとすると皮膚の病気になるということです。同じことが目、胃、腎臓、脳等におこれば各々の病気になるということです。
酸化されるということがどういうことかといいますと、例えば、りんごを半分に切ってしばらく放っておくと、切り口が赤茶色に変色します。または、鉄クギは半年、1年するとしだいに赤く錆びついてきます。こういう状態が我々の体内で起こっているということです。
ところで、人が老いることを老化していくと一般的には捉えられていますが、年を一年一年積み重ねることが果たして老いるということでしょうか?
そうではなくて実は血管が老化することなのです。この血管が老化していくことに活性酸素が深く関わっているのです。活性酸素によって血管が酸化され硬くなり、脆くなる。しかも、活性酸素によって酸化されたコレステロールや中性脂肪がたまって血管を狭くしてしまうのです。
そこを血栓(血の塊)が詰まれば一巻の終わりです。心臓の動脈が詰まれば狭心症や心筋梗塞を引き起こします。また、脳で動脈が詰まれば脳梗塞であり、血管が破れれば脳溢血です。
このような血管が老化するという現象は中高年に多く見うけられましたが、昨今は、若い世代でも活性酸素を体の中にたくさん作るような生活が習慣化されて、早くから血管が老化しているのです。
従って、20代30代で既に40代50代の血管になっている若者が、非常に増加しているのです。まさに老化がこの世代から始まっているのです。
このことから現在、日本は長寿社会かもしれませんが、これから先10年もすれば日本の平均寿命は70代に下がっているかもしれないと予測されるのです。
活性酸素はどのような仕組みで発生するのでしょうか
それでは、いったい活性酸素とはどのような仕組みで発生するのでしょうか?
これを説明するためには、どうしても化学構造を持ち出さねばなりません。少し学生に戻って科学の授業で習ったことを思い出してみましょう。
酸素分子(O2)は酸素原子である(O)が2個結びついて1個の酸素分子を形成しています。
この酸素原子(O)は、その中心に1個の原子核があって、その周りを8個の電子が回っています。酸素原子の場合は電子の軌道が2つあり、この8個の電子は内側の軌道に2個、外側の軌道に6個が回っているという構造になっています。
普通、電子は2個がペアになって存在しており、それが最も安定的な形だとされています。ところが、酸素原子の外側の軌道を回る6個の電子のうちの2個だけはペアになる相手を持っていないのです。そこで同じようにペアとなる相手を探している他の酸素原子の外側の2個の電子とくっついて2つの酸素原子が結びつき酸素分子(O2)となって安定するのです。
ところが、なにかのはずみで、くっつくことが出来ない、ペアの組めない電子(不対電子)ができるのです。そしてなんとかペアの相手を見つけて安定しようとします。そのために、他の物質の分子から電子を掠奪しようと襲いかかります。これが活性酸素です。
つまり、普通の酸素がなにかのはずみで、ペアとなる電子を欠き、掠奪者となった酸素が活性酸素なのです。この掠奪者のことを”フリーラジカル”といいます。
一方、掠奪された側も活性酸素となって他の分子を襲って電子を掠奪します。するとまた掠奪された分子が他の分子から電子を奪い取ります。こうして、次から次へと連鎖反応をおこしていくのです。この電子が奪われていくことを”酸化”と呼び、逆に電子を奪って安定することを”還元”と呼んでいます。
つまり、このフリーラジカルが他の分子から電子を奪いとることにより、その分子は「酸化」してしまうのです。酸化するということは、金属の腐食や食べ物が腐ることと同じ意味です。そして酸化が進めば、鉄がサビつくように細胞をサビつかせるのです。
そしてこの”活性酸素”は非常に過激で酸素力が強烈なのです。この強烈な酸化力を持って、体内の細胞を次から次へと酸化していくのです。この超酸化力によって私たちの体内にある血管や臓器がボロボロになっていくのです。
活性酸素には4つのタイプがあります
以上の仕組みで活性酸素ができて、私達の細胞を酸化させていくわけですが、じつは活性酸素には次に上げる4つのタイプがあり、それぞれ違った悪さをするのです。
① スーパーオキサイドラジカル
最も一般的な活性酸素で、体内では、酸素分子から最初に生成されます。酸素分子の一方の原子にあたる電子が一つ欠けたもので大量に発生します。活性酸素の中では代表的存在です。
この活性酸素は体の中の細胞内でミトコンドリアが酸素からエネルギーを作るときに生成されるので、私たちが呼吸をしている限りこの活性酸素の発生を避けることは出来ません。
放っておくと細胞を傷つけたり破壊したりして、生体に大きな損害をもたらすことになります。また、白血球が体内で侵入してきた細菌などを殺すときの武器にもなり、このとき大量発生します。
② 過酸化水素
酸素原子2つと水素原子1つがくっついて出来た活性酸素の仲間で、極めて不安定な性格をしており、非常に強い毒性をもっています。
過酸化水素は「オキシドール」とも呼ばれています。「オキシブル」という商品名で売られている消毒剤をご存じでしょうか。この水溶液を怪我したときなどに、傷口にかけると白い泡ができますが、これは過酸化水素が傷口のばい菌をその毒性で酸化し、殺菌しているという証拠なのです。
③ 一重項酸素
酸素分子を構成している2個の酸素原子の片方の電子がもう一方の不対電子軌道に入ってしまった結果、片方の不対電子軌道が空いてしまった状態の活性酸素。悪質な性格をしており、反応性が強いために次々と他の活性酸素に姿を変えてゆく性質をもっています。 一重項酸素は、放射性(X線)や紫外線に皮膚があたると皮下組織で大量に発生し皮膚がん等を引き起こす非常に怖い活性酸素であり、肌にとっては大敵です。
④ ハイドロキシラジカル
過酸化水素水を半分にしたような化合物で、酸素分子が分裂して互いに独立したうち2個の酸素原子で、それぞれ酸素原子1つと水素原子1つがくっついた状態の活性酸素です。 この活性酸素は最も酸化力が強く、このハイドロキシラジカルが多くなると人を高い確率で死亡させるといわれています。
こうして活性酸素は細胞を攻撃します
人は空気を吸って、体内に酸素を取り入れています。その酸素を使って食物を体内で代謝させることによってエネルギーをつくり出しているのです。その役割を果たしているのが細胞内のミトコンドリアです。
ミトコンドリアが酸素の新陳代謝によりエネルギーを作り出すときに、酸素の一部が活性酸素になります。
私達の体は60兆個の細胞から成り立っています。ですから、この一つ一つの細胞が酸素を使って栄養を代謝するたびに活性酸素を発生させているということになります。
ということは、人間は生きている限り、活性酸素から逃れることはできないということです。
では、どのようにして活性酸素は細胞を傷つけ病気を生みだしているのでしょうか?
細胞膜が活性酸素によって酸化されます
細胞は不飽和脂肪酸という脂肪の膜で覆われています。この細胞膜が活性酸素によって酸化され、有害物質である過酸化脂質にかわります。
“酸化される”ということは、例えば、天ぷら油を使ったあとそのまま放っておくと、その油は日が経つにつれ、黄色く変色し、ボロボロになります。鉄クギを屋外へおいておくとやがて赤く錆びついてしまいます。これが過酸化脂質なのです。不飽和脂肪酸が空気中の酸素によって”酸化”して”過酸化脂質”になったというわけです。
私達の体内においても、同じようなことが起こっています。活性酸素によって体内の細胞膜(不飽和脂肪酸)が過酸化脂質に変わると、それが血管の壁にこびりつき、やがては血管を狭くし、塞いでしまいます。私達は血液によって酸素や栄養が体の隅々まで運ばれているのです。ですから血管が塞がれてしまうと、供給不足になり、各細胞は衰えていきやがては死滅してしまいます。
もちろん、酸化されるのは血管だけではありません。内蔵のあらゆる器官から皮膚にいたるまで活性酸素による酸化は体のすべてでおこるのです。
癌も活性酸素が原因で発生します
細胞の外側を覆っている細胞膜が活性酸素によって過酸化脂質に変化することにより細胞膜自体が破壊されると、活性酸素が細胞内に侵入し核のある「DNA」に直接襲いかかります。「DNA」は人間を正常な体に構成するために一つ一つ作り上げるための、いわば遺伝子の基になるものです。この「DNA」が活性酸素によって狂わせられて、突然変異の遺伝子をつくり出してしまいます。
この変異した細胞がガン細胞なのです。
活性酸素がいかに私達の体を蝕んでいるかご理解頂けたかと思います。
酸化は私達の気付かないところで常に起こっています。知らず知らずのうちに私達の体は酸化されているのです。そして、老化を促進させ、心筋梗塞、脳梗塞、癌、片頭痛などの生活習慣病を引き起こすのです。人間の体は60兆個の細胞で構成されています。従って胃を構成している細胞が酸化されれば胃の病気になるし、膵臓でおこれば膵臓の病気になり、皮膚でおこれば皮膚の病気になります。
風邪のウイルスなどによる細菌感染でおこる病気以外はすべてこの活性酸素によっておこるのです。故に現代病の90%は活性酸素が原因であるということになるのです。
「後天性ミトコンドリア病」
ミトコンドリアがエネルギーを産生する際に必然的に生み出されるのが活性酸素です。
以上のように、人が罹るあらゆる病気の90%は活性酸素が関与していると言われていることから、感染症以外の、ほとんどの現代病である生活習慣病(片頭痛、動脈硬化、ガン、認知症を含めて)は、「後天性ミトコンドリア病」と考えられています。
「後天性ミトコンドリア病」は、ほとんどの現代病に当てはまります。
すなわち、ほとんどの現代病は、後天性ミトコンドリア病と考えられています。水や食生活、放射能汚染や環境汚染、有害物質の蔓延などや酸素不足などを原因として、後天的に発症するミトコンドリア病です。
後天性ミトコンドリア病とは、いろいろな原因でミトコンドリアDNAが傷つくことによって、活性酸素で身体が”酸化”していく全身病です。
ミトコンドリアDNAは活性酸素によって傷つきやすい特徴があります。
活性酸素によって傷つけられたミトコンドリアDNAの数が一定数を超えくるとエネルギー産生能力が低下し、「後天性ミトコンドリア病」が発生してくることになります。
「後天性ミトコンドリア病」とは、馴染みのない病名ですが、これは”ミトコンドリアの機能が低下する病気”です。
今までは、先天性の病気”遺伝的疾患”として考えられていましたが、現在では後天的な発症や、薬による副作用で発症することが証明されています。
ミトコンドリアの機能(ミトコンドリアDNA)は、生活環境によって生み出された活性酸素および有害物質などの外部の生活環境要因に、食生活上の問題点、マグネシウム不足・必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランス・鉄不足・抗酸化食品の摂取不足・過食に、睡眠不足や運動不足や不規則な生活などの生活習慣が加わることによって、低下してきます。
ミトコンドリアの機能が低下すれば、ミトコンドリアが「ホメオスターシスを制御」していることから、「自然治癒力」が低下することになります。
このようにして、現代病である後天性ミトコンドリア病が発症してきます。
片頭痛も全く同様に、後天性ミトコンドリア病です。
活性酸素と抗酸化物質
ところで、抗酸化物質は活性酸素を除去するといわれる物質です。
活性酸素を除去する抗酸化物質として、様々なサプリメントが提供されております。
ところが、抗酸化効果を謳うサプリメントが必ず抗酸化効果があるとは限らないのです。
そこで、「抗酸化物質を含むサプリメント(抗酸化サプリメント)」について検討してみたいと思います。
酸化状態をバランス良く維持するため、身体には生来の分子と摂取した化合物から成る精巧なネットワークが備わっていますが、これは最良の機能と健康を維持するためにはとても重要なものです。
酸化ストレス、すなわち体内の酸化促進物質と抗酸化物質のバランスが崩れた状態は、老化作用に深いかかわりがあります。
また、果物や野菜を豊富に摂ることが酸化ストレスの予防を促進することを示唆する各種研究結果は増え続ける一方です。
果物や野菜が数多くの恩恵をもたらすことができるのは、抗酸化剤(フリーラジカルを抑制あるいは中和できる化学物質)の働きのお陰であると考えられています。
しかし果物や野菜を十分量摂取している人はわずかであることから、その恩恵を授かるためには抗酸化物質を含むサプリメントが重要な鍵になります。
ところが、抗酸化サプリメントを選ぶ際には十分な注意を払う必要があります。
抗酸化サプリメントの問題点
単一成分の抗酸化サプリメントを高濃度で摂取する、あるいは2、3種の抗酸化物質を組み合わせて摂取した場合には、効果がないことがあるだけでなく、場合によっては有害になることが試験により立証されています。
有害になることが立証された試験においては、抗酸化物質の濃度が実際の果物や野菜に含まれている量よりはるかに高く、また脂溶性抗酸化物質あるいは水溶性抗酸化物質のいづれかしか入っていない場合も多かったのです。
抗酸化栄養素に富んだ食物と抗酸化サプリメントの間には、他にも重要な違いがあります。
体内における抗酸化物質は、単独の状態では機能しないのです。
自然の食材が抗酸化能力を高めるための各種化合物で構成されているのに対し、抗酸化サプリメントは単離した栄養素を単純に供給しているだけの場合が多いのです。これでは正常機能のために必要な付随栄養素が不足してしまいます。
また食物内の栄養素は、サプリメントの形で存在する場合よりもゆっくりと放出されます。
生体利用率の高い抗酸化物質を大量に摂取すると、血清の抗酸化レベルが短時間に急上昇し(健全レベルの範囲を超えてしまいまい)、すぐに今度は不足のレベルにまで戻る結果となります。
対照的に、食物ではより緩やかで持続的な保護能力が得られます。
サプリメントでありがちな高濃度の単離栄養素での補完は、時に好ましくない結果をもたらす可能性があります。
例えば、ビタミンAはタンパク質と結合して身体中に輸送されます。
ところが、遊離(非結合)型のビタミンAが細胞に損傷を与えることから、そのタンパク質の数を遥かに超えたビタミンAを摂取した場合には毒性を示す症状が表れてしまいます。
つまり、バランスの取れた食事からビタミンAを得ている人はビタミンAの毒性を生じることは少ないのですが、サプリメントによって補完するとビタミンAを過剰摂取してしまう可能性が非常に高くなってしまいます。
同様に、ベータカロテンのサプリメントの場合も危険性があります。
食物を通してベータカロテンを摂り過ぎても、皮膚が黄色くなることはあっても害になることはありません。
研究者たちは、実験ラットの前立腺がんの発ガン阻害のためには、トマトに含まれるカロチノイドのリコペンに比べトマトをまるごと乾燥させ粉末にしたものの方が効果があることを確認しています。
これは自然の食材を使ったサプリメントがより機能的であり、逆に高濃度の単一栄養素には効き目がないことを立証しているのです。
酸化ストレスと戦う際に抗酸化物質を豊富に含む食物は必ず効果的ですが、抗酸化効果を謳うサプリメントが必ず効果があるとは限らないのです。
こういったことから、自然の食品から摂取すべきです。サプリメントの宣伝通りにはいかないということです。