昨日の続き | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 今回の学会で、日本頭痛学会の脳神経外科領域の重鎮とされる先生の「片頭痛と頚椎捻挫の合併」について述べました。この中で、「急性期の頚椎捻挫は男子3名女子3名であり、男子は3人とも、女子も1人は頚椎捻挫が速やかに治癒していた」とされます。
 調査期間は、2010年1月から2014年12月までの5年間でした。
 最も問題とされることは2点です。それは「頚椎捻挫」の治癒の判定をどのようにしたのか、ということと、「頚椎捻挫」と「体の歪み(ストレートネック)」の関連性です。


 「頚椎捻挫を合併している片頭痛患者の頭痛は、合併していない症例より頭痛が特に難治性とは言えなかった」とされています。


 「頚椎捻挫を合併している片頭痛患者」それぞれ個々の患者さんの「頚椎捻挫」の治癒の判定を下すまでの観察期間がどのようであったかが示されていません。
 昨日私の症例でお示し致しましたように、ムチウチ事故に遭遇してから、長年月経過して、ムチウチの影響が出現してくることは日常茶飯事にみられます。このように長い経過の観察期間から治癒の判定を下すことが重要と考えております。
 さらに「急性期の頚椎捻挫が速やかに治癒していた」という判定をどのようにされたのかということが最も問われることです。

 一般的に、専門家は得てして、患者さんが受診しなくなれば、医師は患者さんが治ったものと判断し、「治癒判定」を下し勝ちです。
 このように考えるのが、”専門家の常とする”ことで注意が必要です。
 それとも、こうした「患者さんが受診しなくなった方々」に以後何らかの手段で、頭痛その他の愁訴がまったく軽快してしまったことを確認されたのでしょうか。

 通院をされなくなった方々は、恐らく、カイロプラクター・整体師・鍼灸師のところで治療を継続されているはずです。このような事実を知っておく必要があります。
 この「治癒判定」に関して、まったく説得力のある成績とは思えないところがあります。

 

 そして、最も大切なことは、ムチウチの事故に遭遇しますと、その後、ストレートネックが形成・増悪してきて、このために緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛のいずれの形でも頭痛が引き起こされてくるという事実です。
 片頭痛の場合、ムチウチ事故に遭遇しなくても、もともと「体の歪み(ストレートネック)」を高頻度に合併しています。私の成績では片頭痛患者さんの何と95%の高頻度にみられます。この点の成績をどのように評価し、今後さらに追試すべきであると、平成24年の9月にこうした成績を出した段階で、今回発表される先生を含め、学会を主導される方々に対して呼びかけを致しました。しかし、こうした呼びかけに対して、この先生を含め、すべての方々は全く無視されました。今回の調査期間2010年1月から2014年12月まで、ということから、この期間が含まれていることから、まず、片頭痛患者さんへの頸椎X線検査が全て行われていたとは考えられないことから、「体の歪み(ストレートネック)」の確認はまずされていないということは明らかです。
 もともと、片頭痛患者さんにはムチウチ事故と関係なく、「体の歪み(ストレートネック)」が存在します。これが存在するということは、謂わばサスペンシヨンのない車と同様で、ムチウチという衝撃に対して多大な影響を被るということを意味しています。
 こうしたことから、もともと存在する「体の歪み(ストレートネック)」に対して、ムチウチ事故に遭遇してから事故直後から経時的に間隔をおいて追跡して、「体の歪み(ストレートネック)」がどのように変化してきているかを確認する必要があります。
 このような変化を確認した上で、自覚症状(頭痛およびその他の不定愁訴)が消失しているのかどうかを確認することが必要になってきます。この2点から「治癒判定」を下す必要があります。今回の発表では、このようなことがなされているとは到底思えません。


 こうしたことから、「頚椎捻挫を合併している片頭痛患者の頭痛は、合併していない症例より頭痛が特に難治性とは言えなかった」といった結論には至らないはずです。


 少なくとも、頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」が、果たしてエビデンスなきことなのかを、明確にしないことには無駄な発表としか言わざるを得ないと考えます。
 このような基本中の基本を無視したのでは、まったく話にならないということです。