片頭痛はどのようにして発症するのでしょうか | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 この点に関しては、以前にも


「若い女性の方々へ(美容と健康のために)」


http://ameblo.jp/yoyamono/entry-11948893544.html


 の中で述べました。この点は極めて重要なことで、もう一度繰り返して述べます。


     片頭痛
   big(true)migraine
  連続体

緊張型頭痛           緊張型頭痛
small migraine       (脳内セロトニンの関与)
            
緊張型頭痛と片頭痛は連続したものです

 片頭痛発症の当初は”緊張型頭痛”のような状態から、ある一定期間を経過して片頭痛を発症してきます。子供さんの片頭痛は、大人の片頭痛と異なり、緊張型頭痛のようなパターンを示すことが多く、そして痛む時間も4時間以下であることがほとんどです。
 こうした点は、片頭痛の発症様式を典型的に示しているといえます。
ところが、診察する多くの医師は、受診時の頭痛にしか関心はなく、以前の頭痛を厳密に確認しません。このことは、受診前の頭痛が極めて軽いため患者さんの意識にはないことが多いためです。(少なくとも、こういった事実に全く医師は無関心です。)
 このことは、まず、頭痛を引き起こしやすい誘発要因の存在によって頭痛発作を起こしたことがあったかどうかを確認するすれば簡単です。実際に患者さんが言われる発症年齢よりも数年以上前の段階で,人混み,疲れのあと,寝過ぎ,映画のあとなどに頭痛が現れた経験のある患者さんが多いように思われます.とくに、前屈みの姿勢を長時間とった後には頭痛をよく経験される方々も多いようですが、こういった頭痛は、しばらくすれば軽快してしまうために患者さんの記憶に残っていないことがほとんどです。


いきなり片頭痛から発症することも


 しかし、なかには、いきなり片頭痛の様式から発症してくる場合もあります。これは重要な点であり、忘れてはなりません。これは「生まれつき存在する”ミトコンドリアの働
きの善し悪し”」で、このような発症様式をすることがあるということです。
「生まれつき存在する”ミトコンドリアの働きの善し悪し”」の程度は千差万別であり、これが極端に悪ければ、これと同時に「セロトニン神経の働き」も悪くなり、このために「脳内セロトニンが低下」し、「脳過敏」や「体の歪み」を同時に引き起こしてくるため、発症時期も早くなってきます。こうした方々が、”遺伝的疾患”であるかのごとく思わせる原因でした。このように「ミトコンドリア」「脳内セロトニン」「体の歪み(ストレートネック)の3つが最低重なり、これに「有害物質の摂取」の要因が加わることにより、改善に至るまでには相当根気を要することになります。
 結局、片頭痛は”全身的なミトコンドリアの働きが悪い”ことに原因があり、これによって当然のこととして「セロトニン神経の働きが悪くなります」この両者が原因となり「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こしてきます。さらに食生活の問題・有害物質の摂取により、ミトコンドリアの働きをさらに悪化させてきます。


慢性頭痛全般の起こり方


 慢性頭痛とは、「体の歪み(ストレートネック)」を基盤として、緊張型頭痛ではこれに「脳内セロトニンの低下」の要因が関与し、片頭痛では、「ミトコンドリア」の要因が大きく関与し、これに「脳内セロトニンの低下」の要因が追加されて、症状を多彩なものとしてきます。
 これまでの当医院の調査では、ストレートネックの確認率は、男性で52%、女性では68%と圧倒的に多く、緊張型頭痛では84%、片頭痛では95%に、群発頭痛では全例に、ストレートネックが確認されています。


緊張型頭痛の起こり方



 上記のように、脳のなかに原因のない”慢性頭痛”の方々には、頸椎レントゲン検査を行いますと共通してストレートネックが認められます。それでは、どうしてストレートネックが頭痛を引き起こしてくるのでしょうか?


 次に、この点に関して、説明することにしましょう。


 人間の背骨(脊柱)はS状の湾曲を呈しています。人間は直立位を保っていますから、背骨が一直線ですと、全体重が下の背骨にかかることにより、すぐに下の背骨がダメになってしまいます。こうしたことにならないようにS状の湾曲を呈しています。ということは頸椎は前に湾曲を示していることになります。ところが、頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜しておれば、後頸部の筋肉に張力が常に加わることになり、これが肩こりに繋がり、このこりが上部へと拡がることによって鈍い痛み、締め付けられるような痛みとなってきます。


片頭痛の起こり方


 このようにして、日常生活を送る際の”何気ない姿勢(とくに前屈みの姿勢)や動作”などが原因となって形成される「体の歪み(ストレートネック)」を基盤として、まず、緊張型頭痛が引き起こされ、片頭痛になる可能性のある方は、生まれつき「ミトコンドリアの働きの悪い」”遺伝素因”があり、頭痛を訴える度に、アスピリンを含んだ鎮痛薬を服用し続けたり、ミトコンドリアをさらに弱らせる抗生物質の服用・マグネシウム不足を来す生活習慣等によって、さらに「ミトコンドリアの働きが悪く」なって来ます。これとは別に“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれば「脳内セロトニンが低下」することにより、これがさらに増強されてきます。こうした「ミトコンドリアの働きの悪さ」があるところに、さらに「マグネシウム」が不足してきますと、「脳過敏」を引き起こしてきます。そして先ほどのストレートネックが持続すれば、頸部の筋肉が絶えず刺激を受けることになり、この刺激は三叉神経核に絶えず送られることによって、さらに「脳過敏」を増強させます。これに生活習慣の不規則・ストレス・生理周期により「脳内セロトニンの低下」の要因が追加されて、「脳過敏」を増強させ、さらに症状を多彩なものとさせます。


 「ストレートネック」→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
↓                 ↓
↓      脊髄を介して三叉神経脊髄路核
↓                 ↓
↓     中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
↓                 ↓
↓         脳の過敏性、頭痛の慢性化

自律神経失調症状 → 交感神経機能低下→頚性神経筋症候群
                               (慢性頭痛)


尾側亜核で三叉神経と頚神経が収束する


 ストレートネックのために、頭半棘筋に凝りが出ると、それが大後頭神経を刺激し、その刺激が三叉神経に伝わります。大後頭神経と三叉神経は脳のなかで、三叉・頚神経複合体を形成していて、つながっていますので、大後頭神経の刺激は三叉神経にも伝わります。
 私の以前まとめた成績では、緊張型頭痛以上に、片頭痛の場合にストレートネックの合併頻度が高かったということを示していました。
 このような結果をみますと、少なくとも、ストレートネックが「片頭痛の誘発・増悪因子」となっているものも存在することが推測されます。

 片頭痛も緊張型頭痛も共通して「頸部筋肉群の疲労」を基盤として発症すると考えられます。この根拠として、両頭痛に共通してストレートネックが認められる点です。
 
 片頭痛の遺伝素因(ミトコンドリアの活性低下)のない場合は、首の筋肉のこりは、大後頭神経に痛みのみ起きることによって、「緊張型頭痛」を発症します。
 片頭痛の遺伝素因(ミトコンドリアの活性低下)があれば、片頭痛の場合は、「セロトニン神経が働きが悪くなって「痛みの感じやすさ」が存在するところに、首の筋肉のこりの刺激が、大後頭神経から三叉神経に絶えず刺激が送られ続けます。このため、「痛みの感じやすさ」がさらに増強され、常時、脳の過敏性が高まった状態が継続していきます。

 片頭痛の基本的な病態は「脳過敏」(脳がちょっとしたことで反応しやすくなることです)にあるとされます5)。このように「脳過敏」を引き起こす要因が次々に追加されることによって、”緊張型頭痛”から”片頭痛”にまで進展していくことになります。だいたいこうした時期は、女性の場合、初潮を迎える13歳頃に一致します。この点に関しては、女性は健常男性より 約52% 脳内セロトニンを産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の4倍減少する、と言われています。
女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は、月経周期でその分泌量は大きく変わります。
 特にエストロゲン(卵胞ホルモン)が減ると、それに伴って神経伝達物質であるセロトニンも急激に減ります。
 その時に頭の中の血管が拡張することで片頭痛が起こると考えられています。
 このエストロゲンが減少するのが排卵日や生理の初日前後です。
 
 つまり排卵日や生理の初日前後にはエストロゲンが減少するためにセロトニンも減少→頭の中の血管が拡張して片頭痛が起こりやすいということなのです。

 以上のように、だいたいこうした時期は、女性の場合、初潮を迎える13歳頃に一致します。こうした年代に女性の場合は、片頭痛を発症してきます。
 そして、発症当初は、発作の程度も頻度も少ないのですが、これが結婚を契機として出産・育児を経験することになり、これまでの生活習慣は一変します。具体的には、睡眠時間が、育児に際して、十分に確保できなくなることを意味しています。片頭痛の場合、睡眠時間が確保できませんと、ミトコンドリアの働きを悪くさせ、ひいてはセロトニン不足に繋がってきます。根底にあるストレートネックは経験的に30歳までに改善させませんと、固定化してきます。こうしたことから、概して女性の場合、30歳を超えてきますと、とたんに頭痛の頻度も増え、程度も酷くなってきます。


次々に追加される悪化要因


このため30~40歳代の苦難の時期を迎えてしまいます。さらに特に女性の場合、さまざまなストレスが加わることにより、「脳内セロトニン」不足が持続することになります。
 こうした時期になると、鎮痛薬やトリプタン製剤の服用も月に10回を超えるようになり、これがさらに「化学的ストレス」となって(見方を変えれば、鎮痛薬やトリプタン製剤も私達の体には異物です。異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程でも、活性酸素が発生してしまうのです。このため発作を起こりやすくします)、益々「脳内セロトニン」低下を倍増させてきます。これに対して抗てんかん薬(特に、デパケンは注意が必要です)を追加されることにより、一時的には発作回数は軽減されることはありますが、長期間連用しますと今度は「ミトコンドリア」を弱らせる結果、さらにトリプタン製剤の服用を減らすことができなくなるといった”泥沼の状態”を引き起こしてきます。まさにエンドレスの状態に至ってしまいます。さらに、更年期を過ぎてきますと、若い頃のように血管の”しなやかさが失われ”反応性も乏しくなり、片頭痛本来の拍動性頭痛でなく、緊張型頭痛のような鈍い頭痛に変化してきます。これは、ストレートネックがそのまま持続しているためです。そして、頭痛に加えて、イライラ、不眠、めまいなどの不定愁訴が加わってきます。これが、東京女子医科大学脳神経外科の清水俊彦先生が提唱される「脳過敏症候群」、そのものであり、東京脳神経センターの松井孝嘉先生の提唱される「頸性神経筋症候群」に相当します。こうしたことから、うつ状態・めまい・冷え性等々のさまざまな”共存症”を合併することになります。


 男性の場合は、ストレートネックに加えて、食生活の問題から「ミトコンドリアの働き」が悪くなり、これに生活習慣の不規則により、また仕事上のストレスが重なることによって「慢性的な脳内セロトニンの低下」が引き起こされることによって、片頭痛へと発症していきます。


根底にはストレートネックが存在します


 このように、慢性頭痛発症の根底には、まず、体の歪み(ストレートネック)が存在するということを考えなくてはなりません。このストレートネックは早い人では子供の頃から既に存在します。遅い場合は、前屈みの姿勢を強いられる作業環境に置かれ続けた場合、後天的にも形成されてくることになります。こうした方々は、片頭痛の発症時期は当然遅くなってきます。30歳以降に発症してくることも多いように思われます。


 また、ムチウチの事故に遭遇しますと、その後、ストレートネックが形成・増悪してきて、このために緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛のいずれの形でも頭痛が引き起こされてきます。しかし、国際分類では、ムチウチ後7日までに出現しませんとムチウチとの関連性は否定されます。しかし、現実には、ムチウチ後、かなり時間が経過してからムチウチと同じ症状が出現してくることは日常茶飯事ですが、この点は、国際分類では極めて曖昧な形になっています。これは、頭痛と頸椎病変に関する取り決めが極めて曖昧なことによります。こういう点から、ムチウチからストレートネックが形成されてくるという松井孝嘉先生の主張を頭痛専門医は全く受け入れることなく、片頭痛の慢性化の治療不可能な要因として”頭部外傷・頸部外傷”を挙げています。これは余談ですが・・


 また、群発頭痛の場合、最初は片頭痛のようなパターンをとりながら、ある時期から群発頭痛へ移行したり、片頭痛と群発頭痛との間を行ったり来たりする場合も経験されます。 群発頭痛は「体内時計」の乱れによって起きてくることが従来から指摘されています。
体内時計は、ミトコンドリア、セロトニンと関係があります。こうして考えれば、緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛の慢性頭痛は、一連のものと考えなくてはなりません。


根本的に解決するには


 このように慢性頭痛の発症には、「体の歪み(ストレートネック)」「ミトコンドリア」「セロトニン」の3つの要因が関与しています。根本原因は、「ミトコンドリアの働きの悪さ」にあり、この3つがお互いに、密接に関与し・影響しあっています。
 この3つが片頭痛の”環境因子”となっていて、これらの関与の仕方の比重は各人・各様であり、どの要因のスペクトラムが色濃く関与しているかの違いと思われます。
 こうした観点から治療の対策を考えていくべきべきです。そして、根底には「酸化ストレス・炎症体質」が潜在的に形成されていることから、このような体質にならないよう配慮するとともに、これを改善しませんと根治には至らないということです。


 このような基盤ともとにして、これまで言われてきたような、誘因(引き金・・トリガー)が加わって、容易に、「片頭痛」発作が引き起こされるものと思われます。
 この際、トリガーとなるものが、どの程度重なるかで、片頭痛発作の程度が決まってきます。


緊張型頭痛がひどくなると片頭痛になる?


「日常的に肩こりを自覚していて,疲れたり睡眠不足になると肩から後頭部に重い感じの
痛みが上がってくる。後頭部の鈍痛で終わるときもありますが,我慢していると頭仝体がガンガン痛んで吐き気も出現し,ひどいと嘔吐する。ガンガン痛いときには,家族の話し声もうるさく感じて,静かな部屋で暗くして横になると少し楽になる」といった患者さんはよく遭遇します。ひどい頭痛はおそらく片頭痛と診断して問題はないでしょう。後頭部の鈍痛に関しては、緊張型頭痛と診断される場合が多いと思われます。このように緊張型頭痛で始まり、程度が強くなると拍動性の頭痛を伴うものを、オーストリアのランス Lance は緊張・血管性頭痛 tension-vascular headache と命名しました。このように一連のものです。


片頭痛が緊張型頭痛に化ける?

 「20 歳ころから時々片頭痛発作を起こし結婚後片頭痛発作が頻繁になるが、40 歳ころから緊張型頭痛が加わってきて、50 歳を過ぎると寝込むようなひどい頭痛発作は起こらない代わりに、だらだらと重く締め付ける感じの頭痛が続くようになった。」このような患者さんは古い分類で混合性頭痛としていた典型例です。国祭頭痛学会分類では、以前のものは片頭痛で、中年以降の頭痛は緊張型頭痛と診断されるでしょう。このようなパターンを片頭痛が加齢とともに変化したということで、米国の Mathewは変容性片頭痛という概念を提唱しています。ただ国祭頭痛学会分類の範疇としては現在のところ認められていません。一方、片頭痛の治療に鎮痛薬などを乱用していますと頭痛が発作性の型から、連日性になっていくことがあります。いわゆる薬物乱用による慢性連日性頭痛ですが、これも 変容した片頭痛の一種と考えられています。


片頭痛と緊張型頭痛の多くは症状は重複



 片頭痛と緊張型頭痛の症状の多くは重複していて、個々の症状のみで診断することは困難です。たとえば、軽度~重度の頭痛、両側性および片側性の頭痛は両者に認められます。
 また、片頭痛、緊張型頭痛ともに拍動性でないことが多く、さらに、緊張型頭痛の特徴と認識されることの多い「肩こり」も多くの片頭痛で随伴しています。


片頭痛因子(血管症状)
    
    拍動痛
    片側性
    高度頭痛
    悪心・嘔吐


緊張型頭痛因子(筋症状)


    締め付け感

    圧迫感・頭重
    後頭部の頭痛
    肩こり


片頭痛の本質は「エスカレーシヨン」(Cady )


 まず神経系の変調があると予兆を、神経活性物質変化で前兆を、さらに、三叉神経が感作されますと(軽度の頭痛)緊張型頭痛が引き起こされます。 
 血管が賦活されますと神経血管系感作を引き起こし(中等度~重度の頭痛)片頭痛へ、中枢感作が起きますと、ひどい片頭痛(重度の頭痛)が起きてきます。
 すなわち、片頭痛は三叉神経の脱抑制により緊張型頭痛が起こり、さらに神経血管系が活性化されて初めて片頭痛が起こり、この過程が次の図のようになります。
 エスカレーシヨンの程度によって、緊張型頭痛~強弱さまざまな片頭痛が出現することが理解されることと思います。このように一連したものということです。

 天気に喩えますと、片頭痛は「雨」、緊張型頭痛は「曇り」に相当し、両者には明瞭な差があります。雨は曇り空から降り出します。つまり、緊張型頭痛が先行します。雨の降り方もさまざまであり、片頭痛の臨床症状の”多彩さ”と一致します。
 Cady28)は片頭痛と緊張型頭痛は共通の病態生理を持つと考えられるとして,一次性頭痛一元説(Convergence Hypothesis)について述べています。
 片頭痛の発生過程は,まず患者の”遺伝素因”にホルモン状況の変化や睡眠時間の変化,アルコール摂取などの”環境因子”が加わることで,片頭痛が起こりやすくなること,すなわち脳の感受性が高まることから始まります。
 次いで,気分や食欲の変調,肩こり,感覚や意識の変化,疲労などの前駆症状があり,症例によっては眼がチカチカするなどの前兆を伴って頭痛が出現します。ここまでが前駆期で,次の頭痛期は一般的に軽度の頭痛で始まり,病状が進行すると中等度~重度となり,光過敏や音過敏が増強,悪心・嘔吐などを伴って国祭頭痛学会分類診断基準を満たすことになります。そして頭痛が頂点に達すると,中枢性のアロディニア(異痛症)を呈することになります。
 つまり,一次性頭痛一元説では,頭痛が軽度の段階でおさまる場合は緊張型頭痛とみなしています。ひどくなれば片頭痛へ移行するということです。


 頭痛が起こり始めた時、この頭痛がどこへ行くかはミステリーなのです。緊張型で終わるのか、緊張型頭痛経由片頭痛なのか、片頭痛直行なのか。これは患者さんにも分かりませんし、医者にはもっとわかりません。(引き金がどの程度重なるかで左右されます。)
 頭痛体操やストレッチ、階段の上り下りをしてみても見極めがつかない場合は、飲み慣れた使いやすい鎮痛剤を飲んで戴いて、30 分後に頭痛が悪化してくるようならトリプタン系薬剤を飲んで下さい。また、朝から痛い場合は片頭痛と考えられますし、ご自分の経験上片頭痛だとわかる場合には、最初からトリプタン系薬剤を服用して下さい。


 以上のように、緊張型頭痛も片頭痛は明確には、現実に区別できないということがお分かり頂けたかと思います。その理由は、緊張型頭痛も片頭痛も共通して、頸椎レントゲン検査で、ストレートネックを高頻度に認めます。このため、このように臨床症状には、重複するものが多いということです。
 緊張型頭痛のところでも述べましたように、片頭痛は緊張型頭痛と連続したものです。
 緊張型頭痛から、片頭痛へと移行して発症してくるということです。


 ただ、なかには、ミトコンドリアの働きが極端に悪いような場合は、いきなり片頭痛のタイプから発症してくる場合も当然あります。この点も重要な点です。
 このように、片頭痛にしても緊張型頭痛の場合も、どのような”症状”があるかということで「国際頭痛分類 第2版」という国際頭痛学会が定めた基準に従って診断されていますが、これまでも述べてきましたように、クリアカットには区別できません。この理由は緊張型頭痛と片頭痛が連続したものであるからに他ならないからです。

 単純な表現をすれば、日常生活を送る際に、支障を来す程の激しい頭痛の場合は、片頭痛であり、支障を来す程でない軽い場合は緊張型頭痛ということになります。ということは、この中間に位置するものが当然存在するということに他なりません。

 こうしたことから、実際に頭痛が起きた場合、今回はどちらの頭痛なのかを、その都度、自分で判断する必要があります。ここが実際の対処の仕方の難しい点です。
 多くの片頭痛の方々は、「典型的な片頭痛」の経過で図示しましたように、「予兆期」に”生あくび”が出たり肩が異常に凝ってきたりというように”頭痛信号”を自覚されておられるようです。こうしたことから、自分の「片頭痛の経過」を、あらかじめ把握しておくことが大切になってきます。そして、間違いなく「片頭痛の発作」であると判断できれば、即座に「トリプタン製剤」を服用することです。こうして、たちまちの発作に対処しましょう。こうしておいてから、根治のための工夫をしていくべきです。


 以上のように、慢性頭痛の起点は緊張型頭痛です。これを起こすものは「体の歪み(ストレートネック)」です。
 しかし、現在の頭痛専門医は、エビデンスなし、と否定されるために、慢性頭痛の原因は不明とされ、混沌としたままとなっています。
 これを否定する根拠は「国際頭痛分類 第3β版」にあります。


 詳細は、以下をご覧下さい。


   http://taku1902.jp/sub004.pdf